クラシックの「Op.」ってそういう意味だったの?!僕はてっきり…

それではこないだの記事で紹介したままで保留状態になっていたコメントの方に、改めて触れて参りましょう。

まずはコメントの該当部だけ再度コピペしておきます。

 

そして、早速検索してみた it's gonna be alrightは…

出てきませんでしたね、やっぱり。


あと、今ちょっと何を調べてみるかパッと思いつかなかったので、

 こないだの記事に出てきていたopus…!

operaはopusの複数形」でしたよね?

これ、軽く調べてみたんですけど、opusの複数形はoperaとも書かれてありますが、operaの複数形はoperasとも書かれてある…そして、opusの複数形はopusesとも書かれてありましたねぇ。

オペラの意味のoperaの複数形はoperasで、作品の意味のopusの複数形はoperaなんでしょうか??ならば、opusesは一体なに??いやこれ、ややこし過ぎじゃん笑


っていうことで、このopus…

COCAは大文字で入力すれば複数形もフォローされるということだったので、opusesやoperaも出てくるんか?と思って検索してみましたが、、あっさりopusだけでしたね笑

まぁ、いろいろ出てきたところで日本語訳はわからないので、結局自分が理解できるとも思えないですけど。ちょっと残念。

 

…そう、corpus→corporaという複数形変化からチラッと触れていたopus→operaという変化形の話、せっかくなので面白そうですしここでちょっくら深入りしてみようかと思います。


まず、opus(単)→opera(複)という変化を紹介だけしてみたものの、実際本当にあの「オペラ」は複数形の名詞であって、単数形でopusとなるのかについては、しっかり確認していませんでした。

まぁ正直、そんな訳なくない?とも思えますし、きちんと辞書の定義をチェックしてみよる必要がありそうですね。

オンライン辞書は色々あって今までも色々と参考にさせていただきましたが、検索したらトップで出てきた&中身も結構充実していて面白そうだったので、今回は信頼と伝統のメリウェブ辞書を参考にさせていただきましょうか。


単語記事のリンクはこちら(↓)ですが…

www.merriam-webster.com
一応、この単語が「plural(複数形) opera」「also opuses(opusesとも)」といなっていることをはっきり示すために、スクショも貼っておきましょう。

 

https://www.merriam-webster.com/dictionary/opusより

ちょうど横のメニューにも表示されているように、「Did you know?(知ってた?)」とか「Word History(単語の歴史)」など面白そうな項目もあったので、せっかくなので翻訳引用紹介をしておこうと思います。

opus 名詞

[ˈō-pəs]

【複数形】opera [ˈō-pə-rə]  または opuses [ˈō-pə-səz] とも

WORKの、項目 2 意味 3bと同義(※注:概ね「作品」という意味ですね)

...は、文明史に関する膨大なopus(作品)を産み出した。
―ノーマン・カズンズ

現在、彼はパンプキンズの次のリリースである、前作を手にしたファンを喜ばせるに違いない、二枚組アルバムのopus(大作)を計画しており……
―クリス・マンディ


とりわけ
:通常、発行順に番号付けされた楽曲または楽曲のセットのこと

その作曲家の最初のopus(作品)

「opus numbers(作品番号)は音楽作品の年代順を示すものだが、正確な作曲順ではなく出版順を示す場合もあるんだ。作曲家の死後ずっと経ってから年代順の目録を作るのは、実は学者だったりするんだよ。...」
―マイルス・ホフマン


知ってた?

A literary opus(文学作品)とは、多くの場合、一冊の小説を指すが、作家の全作品を指すこともある。しかし、opusは通常、音楽作品に対して使われる。例えば、メンデルスゾーンのOpus 90はイタリア交響曲だとか、ブラームスのOp. 77はヴァイオリン協奏曲だ、という具合である。多くの作曲家の作品には、きちんとした作品番号が与えられなかったため、現在では後世の学者によって付けられたカタログ番号が付いていることが多い。ゆえに、ハイドン交響曲第104番はHob.104(Hob.は目録作成者のアンソニー・ファン・ホーボーケンの略)であり、モーツァルトの「フィガロの結婚」はK.492(K.はルートヴィヒ・ケシェルを意味する)なわけである。

 

類義語

composition(構成物・作曲など)、number(番号、順番など)、piece(作品・楽曲など)、work(作品など)

 

例文

the composer's final opus was performed posthumously to great acclaim
(この作曲家の最後の作品は、死後に上演され、好評を博した)

 

ウェブ上での最近の例文

The approachable work may function more obviously as a meditation on pandemic life than a concept-heavy opus.
— Jeremy D. Goodwin, BostonGlobe.com, 23 Nov. 2022 

その親しみやすい作品は、コンセプトを重視した大作というよりも、パンデミック時代の瞑想的なものとして、よりはっきりと機能しているのかもしれない。
―ジェレミー・D・グッドウィン、BostonGlobe.com、2022年11月23日

(※以下、本当にリアルタイムで更新されていそうな最近の例文がいくつもありましたが、省略。)

 

単語の歴史

語源

ラテン語で「work」「effort(努力)」「product of labor(労働の産物)」を意味するoper-、opus(複数形opera)からの借用語であり、これは「work」を意味するインド・ヨーロッパ語族の *h3ep-os-, *h3ep-es- (サンスクリット語で「work, action(仕事、行動のapas-」とも)に遡り、 「ability, force(能力、力)」の*h3ep- から派生して、「power, ability, wealth, resource(s)(力、能力、富、資源)」のラテン語 op-, *opsへ、そして接尾辞を変化させて、サンスクリット語で「possession, property, work(所有、財産、仕事)」の意のapnas-、ヒッタイト語で「豊かな」のhappina-、「business, trade(ビジネス、貿易)」のhappar-、ゲルマン語*afla-(古英語で「power, might(力、強大)」のafol、古ノルド語で「strength(強さ)」のaflから)に由来する;また、母音交替級を長くすることで、サンスクリット語で「work, religious act(宗教的行為)」を意味するāpas-、アヴェスタン語で「performing good deeds(善行を行う)」の意のhuuāpah-、ゲルマン語で「to perform(行う)」の意の*ōbjan-(古サクソン語で「to celebrate(祝う)」の意のoƀian、古高ドイツ語で「to practice, exercise(練習する)」の意のuobenuoppenから)に由来する

注:古ノルド語で「to perform, fulfill(実行する、果たす)」を意味するefna、古英語で「to accomplish, achieve(達成する、成し遂げる)」の意のefnan(ゲルマン語の *abnjan- からか?)も関連している可能性があるが、これは不確かである。


最初の公知使用

上記で定義された意味においては、1808年

時間旅行

opusの最初の使用は1808年であった。

同じ年の他の単語を見てみる

opusを含むフレーズ

magnum opus(大傑作・最高傑作)

 

opusの前後の辞書項目

opuntioid
opus
opus anglicanum


…と、流石は最も著名な辞書だけあって中々充実した記述でしたが、結局の所、このopusという単語は「作品」という意味のみであって、歌劇の「オペラ」という意味はない(複数形にしたら、たまたま(といっても同じ語源の語なので、完全なる偶然でもないですが)operaと同じ表記になっただけで、いわゆるオペラの単数形がopusというわけではない)というのがファイナルアンサーといえそうですね。

 

なお、メリウェブ辞書には一番上のボタンで「Dictionary(辞書)」と「Thesaurus(シソーラス)」が選べるようで、シソーラスというのは、いわばコーパスみたいなものという印象があったため、「おっ、メリウェブでもコーパス機能があるんか?!」と思ってクリックしてみたら……

https://www.merriam-webster.com/thesaurus/opusより

…ただ類語が表示されるだけでした。


一応、(上で引用した)辞書にあった類語項目より沢山挙げられているので、類語をもっと知りたいような場合は役に立ちそうです。

 

ちなみに、operaoperaで、単独の項目が存在していましたね。

https://www.merriam-webster.com/dictionary/operaより

この通り、 1番に「OPUSの複数形」とあるものの、2番に独立して「音楽に合わせて作られたドラマで、オーケストラ伴奏の声楽曲とオーケストラ序曲および間奏曲で構成されたもの」という定義の、例のオペラが挙げられていたため、これは本当に独立した語だといえましょう。


なお、この語の複数形は、(上記スクショ画像の通り)メリウェブには掲載されていないし、意外と難しい問題なのか他の辞書でもちゃっかり表記が省略されていることが目立ちましたが、ブリタニカ辞書にははっきりと「複数形:operas」と載っていました。

とはいえ「複数形でも、operaとも書く」という情報も見かけましたし、この辺は結構ややこしい話なのかもしれません。


その辺の数の話に行く前に、個人的に「あぁ!」と思った話に触れておくと、記事タイトルにもしました、クラシック音楽のタイトルでよく見る「Op.」という表記、これがまさにオーパスだったとは!


まぁ記事タイトルでは「僕てっきり…」と書いており、これは有名なネットネタの一つで、割と誰でも知ってる簡単な読みの漢字を挙げて、例えば「雰囲気ってふんいきって読むのかwwww俺ずっとwwww」というフリのスレタイから、「ふいんきだと思ってた」とかを期待させておいて、本文でいきなり「家族みんなで、この先いつまでも幸せに暮らせると思ってた」みたいな、全く関係ない人生ポエムみたいなのを語るのが定番になっていて僕もそのネタは好きですが、まぁそういうフリはともかく、さらには下ネタにも派生できそうないい字面をしているのにそういうわけでも別になく、何ともつまんない話で恐縮ですが(笑)、僕はずっと普通にこれを「オープニング」で、交響曲○番のオープニングから奏でる感じなのかな、とか思っていました。

そうではなく、普通に「作品番号」という意味でしかなかったんですね、あの「Op.」は!


これは大変タメになりました。

 

一方話を単数複数&コーパスに戻しますと、レマ化(大文字にして、活用形を含めて検索)してもヒットしないのは何ででしょうね…??

僕もチェックしてみましたが、レマ化して「OPUS」を検索しても、確かにopusしか出てきてくれませんね……

「OPUS」でのCOCA検索結果


ちなみに言うまでもなく、特殊な活用形であっても当然コーパスは対応しており、例えば「GO」で検索したら…

「GO」でのCOCA検索結果

goやgoingのみならず、完全にスペルの違うwentもちゃんとヒットしてきてくれる形です。

(それにしても例文の数・ミリオン超えとは、流石は俺達のゴーですね。)

 

もちろん名詞の特殊変化にも確実に対応しています。

 

「TOOTH」でのCOCA検索結果

トゥーッス!で検索しても、きちんと複数形のティーッス!がヒットしてきます。

(誤用のtoothsすら出てくるのも面白いですね(笑)。なお、歯という単語は一本だけ言及することもあまりないのか、複数形で用いられる方が圧倒的に多いことがよく分かります。)

 

うーん、こればっかりはなぜなのか分からないですが、opusはマイナーなのでコーパスのレマ化辞書に入っていなかったのか、あるいはもしかしたらopusesという形での利用例は存在しない…?と思ったものの…

 

「OPUSES」でのCOCA検索結果(小文字、非レマ化でも同じ)

たった15件ですがopusesという語が使われた例文も普通にありますし、やっぱりレマ化が機能していないとしか思えませんねぇ。

 

ちなみに、OPERAであれば…

OPERA」でのCOCA検索結果

opusはヒットしないものの、operaもoperasもヒットしてきていますね。


さらによく見たら謎の「operai」がヒットしてきているあたり(また、先ほどのtoothsや、goでもgosとかありましたし)、これって人間による登録じゃなくて、機械的にsがついたものや極めて近い語尾は勝手にレマ化検索に含まれているんじゃないか、とも思えるのに、「OPUS」では本当に活用形が全くヒットしてこないのは、完全なる謎に思えます。

例によって、このコーパスサイトはどうも動作が安定しないという話の一環にも思えますけど、これは「安定してヒットするべきものがヒットしてこない」なのでちょっと違いますかね。


このコーパス検索で「opusの複数形がoperaである」という知見を得ることはできないということになるのでやや残念ではありますが、どんなツールにも不完全な部分は存在するということで、仕方ない所でしょうか。

 

とはいえせっかく気が付いたポイントですし、ちょっくら運営に連絡してみようと思います。

もし返事がもらえたら紹介させてもらおうかなと思っていますが、ネタが増えることよりも、次の更新でこの不具合が直ってくれるとかあれば嬉しいですね!

 

という所で、次回はまたコメントの続きにいこうと思いますが、実はコーパスの謎挙動に関するご質問をもう1ついただいていたので、そちらにも触れていくとともに、運営にはそちらも含めて尋ねてみる予定です。

レスポンスを期待しましょう…!

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