流れの補足:DNAは消えない…!

初めて学んだときは中々にややこしいDNAとかRNAとか何かそういうコマい話を続けていますが、特にここ何回かでプラスミドDNAという、普通に生きていたら巡り会うこともない謎のリングについて、多少深入りして見ていました。

ちょうどその辺の解釈について、非専門家の立場から大変ありがたいご質問をアンさんからいただいており、それについての補足を追加する感じで「初学者の方の陥りがちな疑問点」をクリアにしていこうと目論んでいる感じですね。

前回の「DNA二本鎖の内、タンパク質を指定する部分は、暗号鎖・鋳型鎖に分けられる。鋳型鎖は最終的に採用される配列ではないので要らない子…かと思いきや、RNAへの反応を進める上では実際こっちが使われているし、むしろDNA暗号鎖の方が実質何も働いていないので逆に要らないゴミクズ(そこまではいってないけど(笑))」的な話を受けて、「完全にモヤ様が晴れたわけではないが、モヤポ(モヤモヤポイント)の原因が少し見えてきた気もするぜよ…?」というコメントをいただいていました。

同じように詰まる方もいらっしゃるかもしれないので、いただいた「こんな風に考えていたんだが、こういうことか?」的な確認コメントを、また適宜改変しながら引用させていただきましょう。

 

確認Q. あちきの中の、めっちゃアバウトでザックリなイメージでは……って、これも元々アバウトな部分なのでお伝えするのはかなり難しいんじゃが…

プラスミドの塩基配列って、1から「順番に」

TTCTCATGTTTGACA→→→→CGTCTTCAAGAA

まで5708塩基読むのが普通で、最初はコレで次はアレで…最後の方にあんなのがあるよ!

…という感じなんかと思っちょって、
(これは、今まで出てきた話の中で、『お目当ての遺伝子よりも前の部分にないといけない』エレメントだかがあったりしたんで、順番も向きも重要かと思い込んじょった感じ)

そこにいきなり「逆から読む」みたいな表現で、読む=何か意味のあるものってイメージやったき、向きが重要やのに逆から?それで全てが同じものになるって…??という表現の違和感を覚えちょった形よね。

逆から読んでもええとか言いつつ、

『もちろんコドンとして読まれるならば逆の鎖からは全く別のタンパク質が生まれますけど、そもそもそっちは読まれることがない』って、「読まないって、何その矛盾!」って違和感じゃな。

「読む=意味のあるもの」やったきね。

まさかの、「逆向いてるやつは要らない子…?」的なハマリがあったわけや。

伝わるかの…?


そして、このモヤモヤが何なのか…

改めて考えると、これは、「プラスミドの塩基配列はただの設計図に過ぎない」ってもうそれ、記事で何度も書かれよったじゃん!って部分やけんど…

そのイメージがどいたちできざったんやと思う。


やき、「読まない」なんじゃのぉ。

だいぶん理解できてきた気がする…モヤモヤの夜明けも近いぜよ。

ただ、、これは無意味な部分の塩基についてであって、意味のある遺伝子に関しては「同じ向きで読めるようになっちょったらええのに!!なんでなっちょらんの??」って気持ちはまだあるかもしれん。

…じゃが、丸っこいプラスミドマップを12時から順番に時計回りに読むってことは実際には必要なくって、この設計図全体を見て、この部分のこの塩基では、〇〇ができる(DNA→RNA→タンパク質って進む)ってことが示されてるだけのもの、、って考えれば、ちょっと見えてくるような気がしないでもないような…笑

そんな考え方で……どーやろう??

 

A. な~るへそ~、「読む」という表現の、「読む=何か意味のあるものとして活用される」的なイメージが、最大の混乱招きポイントだった感じですかねぇ。

適当に、「DNAの配列を表記する」ことを気軽に「読む」とかで表現してしまっていたのが良くなかったといえそうです。

…かといって他にどう書くのがいいか、ってのも難しいですが、まぁ「人間が配列を紙に書く場合は…」みたいなのを徹底してもよかったかもしれませんね。


その他のモヤモヤポイント、「丸っこいプラスミドマップを12時から順番に時計回りに読む…」ってのも、なるほど、何となく持たれていたイメージが共有できてきた気がします。

恐らくアンさんがぼんやり頭に浮かべていた誤解イメージみたいなのは、

「プラスミドDNAというものは、A/T→T/A→G/C→ C/G→C/G→C/G→T/A→…(二本鎖のペアが延々つながってる感じ)…という具合に、順番に、何というか何者かが1つ1つ読んでいくというかスキャンしていくというかつなげていくというか、とにかく二本鎖として存在している以上、何か存在意義があるはず……特に矢印で示された所なんかは、二本鎖DNAとしてこの世に産み落とされた時点で、もう何か意味のあるものとして自らの力あるいは何者かによって活用されている物体に違いない」

…みたいな感じで、そこに「逆から読んでも向きが変わるだけで同じものっす」みたいなことをいわれたせいで、

「ほぉ!その『DNAが読まれて活用される』のは、逆から読まれる形でもいいのか!
…って、逆から読んだ場合、アミノ酸変わるやんけ!どういう事だよッ!さらには『やっぱ読まれてませ~ん』ってどういう事だッ!ナメやがってクソッ!クソッ!」

…みたいな混乱が生じたのかな、って気がしますが(まぁ長々書いた割に、ズバリ言い当てられているとは思えないし、言い当てられたところで何やねん、って話でしかないんですけどね(笑))、とりあえずプラスミドというかDNAは、いわばレシピ本的なものにすぎず、基本的に特定の部位がRNAに変換されない限り、それだけでは何の意味もないほぼ無能な物質、ってイメージで上書きしておいてもいいかもしれませんね。

(もちろん、oriは別にRNAに変換されませんし、RNAに変換される部分=ORF以外にも、当然重要な領域はいくらでもあるわけですが、まぁ入門編的には、
「DNAはレシピを載せてるだけの分厚い本。料理(タンパク質)を作るためには、本だけあっても何の意味もない!
 しかもその本は分厚すぎて直接使えないので、必要な情報のみ(特定のメニューのページ=マップでいう遺伝子の矢印部)をまずRNAにコピーしないと使えない!その『RNAにコピーされる』のはどちらか片方のページ(鎖)だけ」
…と考えてOKでしょう。)


あと、コメント最後の「同じ向きで読めるようになってたらいいのに!!なんでなってないの??」に関しては、改めて、別に各遺伝子は完全に独立した存在なので、お互いの向きは1ミリも関係ないから、別になっとらんでもえぇねん、って話に尽きる感じですね。

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かなり適当すぎる図ですが、このように、RNAポリメラーゼにとってはただ偶然見つけたプロモーターに結合してそっからRNAを合成するだけですから、それがプラスミド全体のどの辺の位置なのか、どっち向きなのかは一切全くどうでもいいポイントなわけですね。


やはり、最初に感じてしまった我流のイメージってのは強いもので、理解が進んでも何となく引っ張られちゃいがちなものかもしれませんね。

僕も、習った当初「どういう事だよッ!クソッ!クソッ! 」と感じてた内容は、実際専門課程で手を動かすなりしてようやく理解するまで長いこと「ナメやがってこの概念ンー 超イラつくぜェ~~~ッ!!」と壁をボコボコに殴り続けてましたからね(※注:殴ってません(笑))、上手くイメージが湧かずモヤモヤするのもよく分かりますし、ある程度、正しいイメージをもてるまでは、時間がかかるともいえる気がします。

この辺のややこしい部分の正しいイメージをもつ一助になりそうなので(まぁ今までの話とは直接関係ないのでならないかもしれませんが、こっちはこっちで全体の流れで大切なポイントなので)、紹介したままで保留状態になっていた元々のご質問2つ目について、これを進めてみるといたしましょう。

改めて、いただいていたQ2を再掲します。

Q2. まず、あの輪っかの図(プラスミドマップ)が、どいたち何のことかわからん苦手意識があるっていうか、さっきのラクトースオペロンがこのプラスミドにどう関係しちゅーかがちっともわからん。(まさに、得意の“つながらん”ってやつや。)  

そもそもなんやけんど、、プラスミドに入ったソーマチンDNAは、いつまでプラスミドに入っちゅーんやか?

そして、「最初のうちの菌の数を増やすフェーズ」っていうがは、あの実験全体フローでいう「5.」のことやか?

 

A2. 結局何度か書いてますが、「つながらない」については、やはりとりあえず最後まで全体の反応(DNA→RNA→タンパク質)の流れを見終えた方がいいのかもしれませんね。

2つ目の疑問ポイント、「プラスミドに入ったソーマチンDNAはいつまでおんねん」は、これは、ずっと入ったままです。

これも恐らく上手くイメージをもたれていないのかも…って思える点ですが、プラスミドに入った遺伝子DNAは、RNAに変換されるわけですけど、それは別にDNA自身が変わってしまうわけではなく、「DNAを鋳型に、RNAが新しく合成される」っていうことでしかないんですね。

…って、改めて、「変換」って単語が最悪だったかもしれません。

「DNAをRNAに変換」といわれると、「DNAがRNAに姿を変えて、元々のDNAはいなくなる」って素直に読んだらそう読めちゃいますが、そういうわけでは全くありませんでした。

本をコピーしても本は本で存在しているのと同様、DNAは、一方の鎖(鋳型鎖)を参照してRNAが合成されますが、それはそれとして、遺伝情報の保管庫であるDNAはそのまま存在し続けます。

ちょうど、転写バブル構造で見ていたように二本鎖DNAは一時的に一部がほどかれますけど、転写が進むにしたがって元の二本鎖に戻るという感じです。

そもそもDNAの最大の目的は遺伝情報の保存ですから、これが消えるなんてとんでもない!って話なわけですね。

まさに、ファンと仁とのeternalじゃないですけど、永遠に受け継がれていくぐらいに安定して存在し続けるのがDNAという感じです。

その辺含め、全体の流れに関しても、最後まで見終えた段階で改めて振り返って、正しいイメージが共有できているかどうか、また確認していきましょう。


Q2の3つ目と、それから、何気に1つ目の「オペロンとプラスミドがつながらん」も(このポイントをきっかけにプラスミド二本鎖DNAについて何度か見ていたわけですが、戻ってくるのは2つ目の「DNAはいつまでおるん?」ではなく、こっちの話でしたか)、改めて見ておきたい話になってましたね。

追って次回以降、その辺の話もしていこうかと思います。

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