ここ最近の口腔衛生関連記事で何度も「口腔内の健康は、全身の健康に影響します」と書かれていましたが、それに関する読み物系health essentials記事に、お口の健康と、心臓病など肉体的な問題との関係についてまとめたもの、それから精神的な健康との関係についてまとめたものの両方が目につきました。
やや短めなhealth essentials記事ですし、せっかくだからどっちも見てみようかなと思うのですが、まずは、英語の場合、DentalとMentalでクソウマギャグになってる(別にギャグではないと思いますけどね(笑))、歯と心との関係性についてまとめられた方から見ていこうと思います。
「デンタル(歯)とメンタル(精神)に関係はあるの?」というタイトルの記事(↑のリンクカードに表示されているヘッドタイトルと、実際の記事に書かれているタイトルは少し違いましたが)ですが、まぁ何度も「ある」という記述を見てきたことを抜きにしても、人間を形成しているのは胃腸から吸収される食事などの栄養であり、それを取り込む入り口は文字通りの口と、歯や舌といった口腔ですから、そこが汚れていたら食事時に限らず常時汚いものが体内に入ってきてしまうわけで、この部分の健康状態が与える心身への影響は、そらないわけないでしょうな、って気もしますね。
そんなに特筆すべき話もない気がしますが、デンタルとメンタルの関係性について、今回もクリーブランド・クリニック記事を参考にさせていただきましょう。
歯の健康と心の健康の関係: 知っておくべきこと(The Link Between Dental Health and Mental Health: What You Need To Know)
歯と歯茎は、いかにして他の健康問題を歯科医に警告しているのでしょうか
年に2回歯医者に通院することは、歯が最高の状態であることを確認するために重要です。しかし、歯科検診が精神の健康状態(※以下、今時はそちらの方がよく聞く気がするので、「メンタルヘルス」と記述しようと思います)をチェックする機会にもなるということには、気付いていない方もいらっしゃるかもしれません。
「歯の健康が口腔の健康につながっていること、そして口腔の健康がそのまま順にメンタルヘルスにつながっていると聞くと、しばしば皆様は驚かれるんですよ」と、心理学者のスーザン・アルバースPsyD(心理学博士)がおっしゃっています。「でも、これらは本当に相互につながり合っているんです。」
デンタルヘルス(歯の健康)はメンタルヘルスに影響するの?
はい、歯の健康はメンタルヘルスに影響を及ぼし得ます。「口腔の健康が損なわれると、生活の質が低下したり、メンタルヘルス上の問題が悪化したりする可能性があります」とアルバース博士が説明している通りです。「歯の健康状態に恥ずかしいと感じる部分があると、それが社会的不安を引き起こすことに気が付くことがあるかもしれません。引きこもってしまうこともあるかもしれませんね。あるいは自尊心が傷つくこともあり得るでしょう。その結果、メンタルヘルスの症状悪化につながる可能性があるわけです。」
アルバース博士によれば、その逆もまた然りとのことです―メンタルヘルスが、歯や歯茎の健康といったデンタルヘルスに影響を及ぼすことがあり得るわけです。ストレスにさらされていると、歯の衛生管理を無視してしまうかもしれません。実際、歯の健康状態は、全体的な健康状態に関する多くのことを明らかにしてくれるのです、とアルバース博士が付け加えています。「歯の健康は、ストレスレベル、不安、情緒、それから慢性的な食の問題の有無に関する手がかりになるんですよ。」
2015年に公開された25年にわたる25報の研究からのメタ分析で、研究者は、重度のメンタルヘルス障害を持つ方々は、一般集団の方々よりも歯を失っている可能性が2.8倍高いことを見出しました。この違いは、未治療の健康状態や歯科治療へのアクセスの困難さが原因です、とアルバース博士が付け加えています。
こういったことは全て、身体的な健康にも影響を及ぼし得ます。例えば、アルバース博士が「自己鎮静行動」と呼ぶ行動―飲酒、喫煙、加工度の高い食品の多食など―をする方がいらっしゃいますが、これらは全て健康に悪影響を及ぼすと報告されているものです。
メンタルヘルスについて、歯の健康状態が教えてくれること
落ち込んだり、不安を感じたりすると、自分自身のケアをしたり、日常の小さな仕事をしたりすることさえ不可能に感じることがよくあるものです。その中には歯の健康管理も含まれます。「歯の衛生管理を行うやる気も気力もなくなってしまうかもしれませんね」とアルバース博士がおっしゃっています。「また、痛みを感じることが増え、歯医者を避けるようにもなるかもしれません。」
それゆえ、口と歯は、潜在的なメンタルヘルス上の問題に関する、多くの手がかりを与えてくれるわけです。「不安がある場合、夜間に歯ぎしりをしたり、顎の痛みを感じることがあるかもしれませんね」とアルバース博士が話します。「エナメル質の摩耗はまた、高レベルの不安やストレスを抱えていることを示す、非常に大きな危険信号かもしれないですよ。」
強迫性障害や双極性障害の方も、エナメル質が磨り減っているかもしれません。「1日に何度も歯を磨くなんてこともあるかもしれません」とアルバース博士が付記して続けます。「歯のクリーニングというよりも、儀式のようになってしまっているわけですね。」
エナメル質の磨耗は摂食障害の副作用でもあり得ます。「摂食障害と闘っている方は、酷い虫歯が多かったり、歯茎の状態が悪かったりすることがよくあるんです」とアルバース博士が話します。これは栄養失調や、甘いものもしくは加工度の高い食品を多く食べていることが原因です。
メンタルヘルスとデンタルヘルスを管理するにはどうすれば良い?
メンタルヘルスとデンタルヘルスは相互に関連しているため、一方の管理のために行うことは、もう一方にも利益をもたらしてくれます。幸いなことに、日常生活にちょっとした変化を加えるだけで、持続的な影響を与えることが可能です。
健康的な食生活を送る
栄養価の高い食事―つまり、果物や野菜他、ビタミンがぎゅっと詰まった食事―を摂ることは、常に良い考えです。「何を食べるかは、気分と口腔内健康のどちらにも大きく影響します」と語るのはアルバース博士。「栄養価の高いものを、バラエティ豊かに沢山食べるようにしましょう。そうすることで、気分が高揚し、歯と歯茎を守ることができますよ。」
どんな兆候や症状にも注意を向ける
歯の衛生状態に異常があることを示す兆候や症状は沢山あります。歯磨きやフロスの使用中に歯茎から出血することがあるかもしれません。また、時には顎が痛むこともあるでしょう。あるいは、暑さや寒さに極端敏感になることもあり得ます。
ドライマウスも、特定の抗うつ薬、抗不安薬、および気分安定剤の副作用として考えられます。「口腔内の唾液が減少してしまっている状態です」とアルバース博士がおっしゃっています。「唾液は口腔の健康にとって本当に重要なんですよ。」食べ物の消化を助けるだけでなく、唾液には歯や歯茎の問題につながり得る、有害な細菌を殺す働きもあります。
ドライマウスが疑われ、薬を服用している場合は、かかりつけの歯科医師、医師、およびセラピストに相談し、唾液が歯に悪影響を及ぼしていないか確認してみることをアルバース博士が推奨しています。
ストレス低減法を実践する
エナメル質が摩耗していることに気が付くことがあれば、それは不安やストレスのレベルが高いことを示している可能性があります。その場合、ストレスや不安を軽減する活動を実践するとよいでしょう。
これには、睡眠を改善し、夜を穏やかに過ごす役に立つ、または深呼吸や瞑想の練習をするためのアプリをダウンロードすることなんかが挙げられるかもしれません。実際、ストレス解消と集中のために、深呼吸と瞑想は一日中どんな時でも実践することができるものとなっています。
歯医者を受診する
歯医者は、歯を真珠のように磨き上げるためだけにあるのではありません。患者さんの人生で何か他のことが起こっているとき、それを察知することもできるのです。「歯科医は時に、メンタルヘルスの問題を最初に発見し、診断する専門家であることがあるんですよ」とアルバース博士が語っています。「歯科医は、カウンセラーやセラピストに多くの紹介状を書いています。」
実際、歯科医からの紹介でいらっしゃった、摂食障害の方を診ることも多いんです、とアルバース博士が話しています。歯ぎしりに気が付いた歯科医は、マウスガードを処方し、潜在的な不安について尋ねてくることもあるかもしれません。
歯科治療不安への対処法
もちろん、歯医者に行くことは、緊張、恐怖、不安のために難しいこともあるでしょう。アルバース博士は、歯科予約受診の前に少し不安になるのは普通のことだと断言していますが、中には歯医者を全力で避ける方もいらっしゃいます。「そういった方たちは、歯科恐怖症として知られる症状をお抱えなんですね」とアルバース博士が語っています。「これが自分自身のことのように聞こえる場合は、心の健康と歯の健康のお世話ができるようにご自身を助けてくれて、メンタルヘルスとデンタルヘルスの治療先を見つけることを可能にしてくれる、セラピストに相談することが本当に重要となります。」
歯医者に行く前の不安を和らげるために、事前に質問や懸念事項をリストアップして、予約時に担当の歯科医と共有できるようにしておくと良いでしょう。歯、口内、または歯茎の状態など、身体的な問題があればそれを含めて書いておくのもいいですね。あるいは、何かしっくりこない気がすることがあれば、それを記述しておくのも意味がありましょう。
「歯医者に行く前は、懸念、不安、そして恐怖でいっぱいになるのが普通です」とアルバース博士がおっしゃいます。「ポジティブな自己対話をしたり、リラックスして落ち着くための役に立つマントラ(※宗教的な真言)を唱えたりすることで、状況を和らげることが可能となりますよ。」
それ以上に何よりも、歯、歯茎、または口の中に問題があっても、決して恥ずかしいなどとは思わないようにしてください。「口腔衛生で悩んでいらっしゃるようでしたら、自分自身と向き合ってみてください」とアルバース博士が語ります。「メンタルヘルス上の問題が邪魔をしているのかもしれません。」
もしそうかもしれないと思われたら、かかりつけのセラピストにそのことを話すか、担当医と協力して相談できるセラピストを探してみましょう。「歯科医師はとても協力的です」とアルバース博士が話しています。「歯科医は、以前から疾患の兆候や症状を診続けてきています。そして、歯科医とセラピストが協力することで、患者さんのメンタルヘルス上の問題に取り組むことができ、お口の健康と全身の健康を守ることができるのです。」
むーん、まぁ正論ティーが目立つといいますか、「そりゃそうでしょうね」という、言われずとも当たり前に思えてしまう話が多く、「へぇ~そうなんだ、知らなかった、意外!」と思える話はあまりなかったのが正直な所ですが、しかし、ちょうど最後の段落の、歯医者恐怖症的なものへの対処については、ちょうど前回の歯科クリーニング記事でも似た話が出ていましたが、最近の歯科医では色々工夫があるみたいですね。
前回の記事と今回の記事で違うものが紹介されていましたが、せっかくなのでそちらも順に見ていこうかなと思います。