前回は「入れ歯・義歯」に関する話を見ていましたが、そこで「へぇ~こりゃスゴイ!」と思えた歯科インプラント(デンタル・インプラント)についてのHEALTH LIBRARY記事を、予告通り今回は見ていこうと思います。
これ、僕が幼い頃は聞いたこともない名前だった気がしますけど、下記ウィキペ記事によると…
…最初期のものは1910年代にはヨーロッパに登場していたとのことですが、安全性も増し、世界的に臨床応用が盛んになる大きなターニングポイントとなったのは1982年の国際会議での研究報告だったようで、そこから少し遅れること、日本でも色々な製法が開発され普及に至ったのは1990年代になってからとのことですから、まぁ僕世代以前の方であればやはり、「生まれた頃はまだなかった、新しい技術」って印象の通りかもしれませんね。
まぁ↑のウィ記事にも色々詳しく掲載されており、「これ読めばいいじゃん」って話ではあるんですけど(笑)、やはり餅は餅屋ということで、世界最先端の呼び声高い医療機関、クリーブランド・クリニックのまとめ記事で、医学的にどんなものでどんなリスクがあるのか確認しておくといたしましょう。
前回の記事で書かれていたことからすると、「費用がかかること以外、完璧じゃん!」と思える形でしたが、もう少し網羅的に色々触れてみる形ですね。
歯科インプラント(Dental Implants)
歯科インプラントは、一般的な外科的手法による歯の置換法のひとつです。インプラントは、クラウン、ブリッジ、入れ歯のような、人工歯を支える役割を果たします。歯科インプラント埋入は、数回の施術と数ヶ月の回復期間を必要とするかもしれません。しかし、ひとたび治癒すれば、天然歯と全く同じように使用することが可能となります。適切なケアをすれば、インプラントは一生使用可能です。
概要
歯科インプラントとは何?
歯科インプラントは、失われた歯を外科的に置き換えるための、小さな、ネジ式の支柱です。歯科インプラントは、患者さんの笑顔の隙間を埋めるだけでなく、咀嚼機能と全体的な口腔内健康を改善します。一度治癒すれば、インプラントは天然歯とほぼ同じように機能します。
歯科インプラントは、3つの主要な部分から成ります:
- スレッドポスト(※スレッド=ネジ式、日本語ではより分かりやすく「スクリューポスト」と呼ばれることも多いようです): これは、人工歯根のようなものと考えることができます。口腔外科手術の際、医療従事者がこれを顎の骨に埋め込みます。
- アバットメント: これは小さな接続部品です。スレッドポストにねじ込まれる形で、歯茎から少しはみ出します。新しい人工歯の土台となります。
- レストレーション(修復物): 歯科レストレーション(修復物)とは、歯を修復したり、歯の代わりとなる補綴物のことです。一般的な歯科インプラント修復物は、クラウン、ブリッジ、および義歯です。
ほとんどのインプラントはチタン製ですが、セラミック製もあります。どちらの素材も安全で、生体適合性(口の中の組織に優しい)があるものです。
歯が失われると、口腔内の健康が損なわれます。しかし、それのみならず、精神的、感情的なウェル・ビーイング(健康全般)にも影響を与えるものです。社交的な場面を避けていませんか?笑うときに口を覆っていませんか?写真を撮る時にほとんど笑わないことはないですか?歯科インプラントはそんな方の笑顔と自信を回復可能なものであり、楽しむ活動を見逃さないでいいようにしてくれるものですよ。
(※Crown=クラウン・歯冠、Root=歯根、Gums=歯茎、Bone=骨)
歯科インプラントはどんな症状を治療するの?
歯科インプラントは、以下の理由で起こり得る歯の喪失を治療します:
- 虫歯
- 歯の欠け
- 歯周病
- 発育しない歯(無歯症)
- 歯の擦り合わせや食いしばり(歯ぎしり)
歯科インプラントはどのくらい一般的なの?
歯科インプラントは、歯の置き換えをする上で人気の選択肢です。アメリカでは、歯科医療機関が、毎年300万人以上のインプラントを処置しています。
処置の詳細
歯科インプラントを入れる流れはどんなもの?
歯科インプラント手術は個人に合わせたプロセスです。全員が同じ施術を受けるわけではありません。しかし、担当の歯科医、口腔外科医、歯周病専門医、または歯科補綴専門医が行うと予想される一般的な概要は以下の通りです:
- 外科的にインプラントを埋入する。
- 回復に時間をかける。
- ポストおよび最終的なクラウン、ブリッジ、または義歯を取り付ける。
歯科インプラント手術
歯科インプラント手術では、外科医が以下のことを行います:
- 麻酔する。この投薬で、歯茎を麻痺させます。もし鎮静法を選択された場合、担当医は、それらの薬も投与することになります。
- 切開する。担当の外科医が、歯茎を切開します。これにより下部にある骨が露出し、担当医がインプラントを埋入できるようになります。
- 顎の準備をする。担当の外科医が、専門的な器具一式を使用して、顎の骨に小さな穴を開けします。新しい歯科インプラントにちょうど良い大きさになるまで、開口部が広げられます。
- インプラントを埋入する。次に、担当の外科医がインプラントを顎に慎重に埋め込んでいきます。
- 切開部を閉じる。最後に、担当の外科医が歯茎の位置を調節し、切開した部分を縫合して閉じます。
インプラントが口の前面に近い場合、担当の歯科医が回復を待つ間に仮歯を作ってくれることでしょう。これにより、回復するまでの間、笑顔に隙間ができることはありません。インプラントが口の奥にある場合は、仮歯は必要ないでしょう。状況に応じて、何が予見されるかを担当医が教えてくれます。
回復期(オッセオインテグレーション)
回復期には、顎の骨とインプラントが癒合していくはずです。オッセオインテグレーションと呼ばれるこのプロセスは、安定性と長期的な成功のために重要なものとなっています。このプロセスには3~9ヶ月程かかり得ます。場合によってはそれ以上かかることもあるかもしれません。それは、患者さんの体の治癒の早さに依ります。
アバットメントと最終修復物の装着
インプラントが治癒したら、担当の歯科医がアバットメント(小さな連結柱)と最終修復物(クラウン、ブリッジ、または義歯)を取り付けていきます。これには通常約1時間かかり、2回目の小手術が必要になることもあるかもしれません。
インプラントはどのくらい痛むの?
インプラント治療中は歯茎の感覚を麻痺させる薬を使用しますので、痛みを感じることはありません。手術の後、わずかな不快感と腫れがあるのは普通です。市販(OTC)の鎮痛剤が、そういった症状を和らげるのに役立つことでしょう。
リスク/メリット
歯科インプラントのメリットは何?
歯を失うと、食事、会話、そして周りの世界とのつながり方が変わってしまいます。歯科インプラントは天然歯に最も近いもので、以下のような利点があります:
- より良い咀嚼能力
- 洗練された笑顔
- 発声と発音の改善
- 顎骨の保存
- 長寿命(歯科インプラントは、適切な衛生管理と定期的な歯科受診により、生涯使用することが可能です。)
- グラグラする入れ歯の安定化
もう一つの長所は、歯科インプラントはブリッジのようにエナメル質を削る必要がないことです。歯科ブリッジで欠損した歯を補う際、担当の歯科医は隙間の両側の歯を少なくとも1本変更する(削る)ことをしなければなりません。これは、時間の経過とともに天然歯の構造を弱めてしまう可能性があるものです。
歯科インプラントは、両隣の歯に負担をかけることなく、失った歯を置き換えます。1本の歯の問題を、1本の歯で解決するわけです。
歯科インプラントのリスクや合併症は何があるの?
インプラントを入れた後、少し出血したり腫れたりするのは普通のことです。しかし、他の処置と同様、歯科インプラント手術は合併症をもたらす可能性のあるリスクを伴います。
合併症は稀ですが、以下が含まれるかもしれません:
- 近くの歯の損傷
- 顎の骨の回復の遅れ
- 感染
- 顎の骨折
- 神経の損傷
- 重度の出血
- 副鼻腔の損傷
ごく稀に、チタン製のインプラントにアレルギー反応を起こす方がいらっしゃることもあり得ます。このような場合、外科医はセラミック製インプラントに置き換えることが可能です。
経験豊富な外科医がインプラントを埋入すれば、合併症のリスクは最小限に抑えられます。歯科インプラントを入れることを考えている場合は、信頼できる医療機関を見つけるようにしてください。
回復と見通し
歯科インプラント後の回復にはどのくらいの時間がかかるの?
初期回復には約1週間かかります。しかし、顎の骨がインプラントの周りに融合する(オッセオインテグレーションと呼ばれる過程)には3~9ヶ月かかります。この過程でインプラントは安定し、天然歯と同じように使用できるようになります。
担当医が、数週間ごとに経過をチェックしていくことになります。インプラントが治癒したら、修復物(クラウン、ブリッジまたは義歯)を加えても安全です。
歯科インプラントはどのくらいもつの?
歯科インプラントは、代替の治療法(ブリッジや入れ歯など)よりも長持ちします。ブラッシング、フロス、定期的な歯科受診により、インプラントは一生使い続けることが可能です。
インプラントのレストレーション(修復)部分はいつか交換が必要になります。ほとんどのクラウンとブリッジは約15年、そしてほとんどの義歯は少なくとも7年もちますが、この時間枠は様々です。
医師に連絡する時
いつ歯科医に連絡すべき?
歯科インプラント治療を受けている場合、以下のことに気付いた際はいつでも歯科医にご連絡ください:
その他のよくある質問
何歳になったら、歯科インプラントを考えるべきではない?
歯科インプラントの最低年齢は一般的に18歳で、上限はありません。主な必要条件は、顎に十分健康な骨があることです。ご自身がインプラントできる候補であるかどうかをお伝え可能な唯一の人は、担当の歯科医だけだと言えます。
インプラント治療を受けるべきでないのはどんな人?
歯科インプラントは、以下の場合、最良の選択肢ではないかもしれません:
または以下の症状をお持ちの場合もです:
- 進行性または未治療の歯周病
- 特定の健康問題(骨疾患や一部の自己免疫疾患など)
- 広範囲の虫歯
- 良くない口腔衛生
- 重度の顎骨量減少
健康歴には個人差があります。ご自身が歯科インプラントの資格があるかどうかを確認するには、担当の歯科医にご相談ください。
クリーブランドクリニックからのメモ
歯の喪失は口腔内の健康と機能に悪影響を及ぼします。歯がなくなると、以前のように噛んだり話したりすることが困難になるかもしれません。歯科インプラントは長期的な解決策を提供するもので、担当の歯科医が、患者さん独自のニーズに合わせて治療を調整することが可能です。1本の歯、数本の歯、または全ての歯を失っているかのいずれにおいても、歯科インプラントは選択肢となり得ます。より詳細については、担当の歯科医にご相談ください。
まぁ何かを埋めるものだとは思っていましたが、こんな工業製品のような、ネジを埋め込む形だったんですねぇ!
改めて、前回の入れ歯記事でも触れられていた通り、設置後は神経と癒合し、神経を刺激し続けることで健康な顎骨・歯列を維持してくれるというのは、とても魅力的に思えます。
しかし、かなり大掛かりな手術が必要なだけに、必ずしも「入れ歯の完全上位互換」って訳でもないのかな、って気がしたかもしれません。
「手術を必要としないお手軽さ」というのは何気に極めて大きな利点と言えますから、入れ歯のような簡易版には簡易版なりの良さもあるように思えました。
実際、冒頭でインプラントの歴史を調べる際、「インプラント」と検索したら、「インプラント めんどくさい」はまだしも、「インプラント 後悔」とか「インプラント 絶対ダメ」とかいった検索候補まで目について、「あぁ、大掛かりで、一生ものだからこそ逆に、手入れが苦手な人とかには合わないのかもしれないな…」というような考えも頭をよぎったものです。
とはいえそういったデメリットを考慮しても、「一生もの」「自分自身の骨や歯への健康効果」を考えたら、個人的には断然第一のチョイスになる気がしますねぇ~。
もしも必要になったら、じっくりと考えてみたい所です。(まぁ、理想を言えば、一生必要にならないのがベストではあるんですけどね。)