まぁ、何かトレンドっぽい取り上げ方をされていたので「話題の」としましたが、「どこで話題になっとんねん」と言いますか、僕は全然聞いたことすらなかったですけどね(笑)。
食用油シリーズとして色々見てきましたが、前回の「育毛効果があるかもしれない」というパンプキンシードオイルから、今回はMCTという、こちらはどうやら特定の植物を意味するわけではない油を見てみるとしましょう(↓)。
一体何の略だと思ったら、冒頭にはなく記事の途中にありました、MCTはmedium-chain triglyceridesのことで、日本語にすると「中鎖脂肪酸」を意味する語だったんですね。
こちらは医療記事なので、恐らく脂肪酸に関する分子レベルの解説とかはないと思いますけど、このブログではずっと前、楽しい有機化学講座なんかでも触れていた通り(この辺の記事から、色々細かい話を見ていた感じでした(↓))…
脂肪酸ってのは、炭素原子がズラズラと手をつなぎ合って並んだ分子であり(炭素は4本腕を持っているので、炭素同士がつながるのに腕2本を使い、残りの空いた腕には水素原子がくっついているため、より正確には「炭化水素鎖」ですね)、その長さに応じて「パルミチン酸」とか「オレイン酸」とか異なる種類のものが存在しているわけです。
(一応、サイズ以外にも、二重結合の位置・数でも種類は変わってきますし、脂肪酸の性質としてはそちらの方が重要な気もしますが。)
で、「中鎖脂肪酸」ってのは、自然界に見られる色々な長さの炭素がつながった脂肪酸の中で、中ぐらいのサイズのものを指すと、そういうことでしかないわけですけど、まぁ正直そんな細かい分子レベルの話は食べる上で全くどうでもいいので、気にするこたぁない話でしょう。
具体的にどういう意味があるものなのか、今回も早速クリーブランド・クリニックによるhealth essentials記事を見ていこうと思います。
MCTオイルは誇大広告に値するものなの?(Is MCT Oil Worth the Hype?)
評判の健康効果には、減量やエネルギー補給が含まれます
間違いなし、保証します、約束します…。体重を落とす、活動パフォーマンスを高める、あるいは健康的なエネルギーを供給する、といった謳い文句のダイエット製品の類は、常にいくつも注目を集めているようです。そこで今回取り上げるのはMCTオイル、こちらは食物脂肪から作られた伝説的な液体です。この脂肪は、高脂肪・低炭水化物のケト・ダイエットのおかげで人気が高まりました。
しかし、MCTオイルは本当に健康に良いのでしょうか?また、試してみるべきものと言えるのでしょうか?登録栄養士のアンソニー・ディマリーノRD/LD(登録栄養士/管理栄養士)と一緒に、MCTオイルについて調べ、その研究と科学について探っていきましょう。
MCTオイルとは何?
MCTオイルは、多くの場合、トロピカルフルーツであるココナッツから作られる、ココナッツオイルから蒸留された栄養補助食品です。MCTパウダーは、MCTオイル、乳製品タンパク質、炭水化物、充填剤、および甘味料を含めて製造されます。
「MCTオイルの方が加工度が低く、MCTがより濃縮されているため、人気がありますね」とディマリーノ栄養士がおっしゃっています。(興味がある方のために念のため、MCTとは 「中鎖トリグリセリド(※一般的には日本語だと「中鎖脂肪酸」とされるようですが)」の略で、また後ほど触れていきます。)
健康上の理由でMCTが使われるようになったのは、医師が小児てんかんの治療法としてケトジェニック食を導入した、1920年代まで遡ることができます。その理由は?高脂肪・低炭水化物食は、本質的に脳が機能するためのエネルギーを得る方法を変えるのに役立つからです。
しかし、ケト・ダイエットの人気が高まるにつれて、より主流なものになりました。この製品は、健康食品店やオンライン市場にすぐに出回るようになったのです。
MCTオイルの考えられる健康効果
では、MCTオイルにはどんな効果があるのでしょうか?そうですね、以下、いくつか報告されている効能をご紹介しましょう。
減量
満腹感を得ることは、間食や余分な食べ過ぎを防ぐ良い方法です―そして、MCTオイルは、その点において役立つ可能性のあるものなのです。
研究者は、MCTオイルが、お腹が満たされたことを知らせるホルモンの分泌を促進し、食欲を抑えることにつながることを発見しました。この研究では、MCTオイルの使用量と全体的な食物摂取量の減少が関連していたのです。
別の研究では、MCTオイルは少量の体重減少を促進する可能性が示唆されましたが、その潜在効果を測るには更なる研究が必要だと付記されています。
素早いエネルギー補給
消化されやすい脂肪の一種であるMCTオイルは、摂取後素早くエネルギーを補給することを可能にします。(MCTオイルの特性により、通常の体内吸収プロセスの一部をバイパスすることができるのです。)
しかし、ディマリーノ栄養士は、この点に深入りしすぎることには警鐘を鳴らしています: 「代謝は非常に複雑なプロセスであり、それほど単純ではありません」とディマリーノ栄養士が話している通りです。
運動能力の向上
MCTオイルが運動能力を向上させることは証明されています…あるいは少なくとも、マウスでは証明済みです。
研究者は、MCTを多く含む餌を食べたマウスが、通常の餌を食べたマウスよりも運動能力が高いことを見出しました。この研究は、マウスを平均気温と最高気温の回し車の上で走らせたものです。
このマウスを使った研究では、得られた結果は虚弱な高齢者にMCTやその他のサプリメントを摂取させた研究と一致している、と付記されています。その3ヶ月間の高齢者試験では、握力、歩行速度、およびその他のフィットネス測定値の向上が認められました。
その他のMCT関連の主張
では、驚異のMCTについて、他にはどのようなことが言われているのでしょうか?MCTは糖尿病やアルツハイマー病などの慢性疾患を予防する可能性があると考える方も中にはいらっしゃいます。他には、自閉症の行動が改善されるのではないかと疑っている方もいるようです。血糖値の管理や炎症の抑制に役立つという説も存在します。
しかし、こういった理論にはまだ多くの研究が必要です。
「MCTがもたらす健康効果については多くの主張がなされており、この栄養素に『健康後光』が差している状態ですね」とディマリーノ栄養士が語っています。「しかし、研究者は、まだ具体的な証拠を提示できていません。」
MCTって何?
前述の通り、MCTは「medium-chain triglycerides 」の頭文字を取ったものです。では、MCTとは何なのでしょう?よくぞ聞いてくれました!
トリグリセリド(中性脂肪)は、血流に含まれる主要な食物脂肪の一種です。中鎖トリグリセリドは、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸の鎖が3本、アルコールの一種であるグリセロールの分子でつながったものです。
さて、中性脂肪は、体にエネルギーを与える働きがあります。しかし、中性脂肪やコレステロールの値が高ければ、心臓発作や脳卒中、そして膵炎のリスクを高めることになり、これは明らかに悪いことです。
MCTは、その名が示す通り、食物脂肪の内、中程度の長さの鎖からできています。この長さの鎖の炭素分子は、6~12個です。長鎖トリグリセリド(LCT)とは…そう、より長いもので、炭素分子が12個より多くある脂肪となっています。
MCTとLCTの食事における違い
MCTとLCTは少し異なる形で消化されるんです、とディマリーノ栄養士が付記しています。MCTは小さいため、循環系を通って直接肝臓に運ばれます。肝臓にある間に、利用可能なエネルギーに変換されるのです。
LCTは非常に大きいため、リンパ系を通って、更なる消化ステップが必要となります。ディマリーノ栄養士によると、このトリグリセリドがエネルギーとしてすぐに使われない場合、脂肪として体内に蓄積されてしまうのだそうです。(MCTには同じ蓄積効果はないようです。)
食事にMCTを加える
少量であれば、心臓や肝臓に疾患がない限り、MCT製品は安全です。ここでのキーワードは 「少量」です。MCTオイルをがぶ飲みしたり、MCTパウダーを何にでもひと掬い加えたりするのはやめましょう。
「MCTオイルは、一般的に健康な人であれば、少量なら安全でしょう」とディマリーノ栄養士がおっしゃっています。「それでも、MCTはやはり脂肪に違いありませんから、脂肪肝や心臓病を患っている方には勧められません。」
ディマリーノ栄養士は、MCTを食事に取り入れる前に、医療機関に相談することを勧めています。
MCTの天然摂取源
MCTは以下のものに見出されます:
- バター
- チーズ
- ココナッツ果肉およびオイル
- 牛乳
- ヤギ乳
- パーム核油
- ヨーグルト
MCTは母乳にまで含まれています。
MCTオイルやパウダーの使い方
MCTオイルは他のオイルと同じような粘性があり、ドレッシングやスープもしくは煮汁に混ぜたり、あるいは野菜にそのままかけたりすることが可能です、とディマリーノ栄養士が語っています。MCTパウダーは、プロテインシェイクやスムージーにより良く合いますね。(MCTオイルも選択肢のひとつですが。)
しかし、このダイエットのトレンドを取り入れるなら、現実的な期待をもって臨むようにしましょう。
「どんな栄養素も、それ単独を特効薬と考えるべきではありません」とディマリーノ栄養士が注意を促している通りです。「健康効果を約束しているサプリメントをいくつか見ていると、私は懐疑的になります。MCTオイルは、バランスの取れた多様な食事に少量加えるのであれば役に立つかもしれませんが、それで全てが解決するとは思わないようにしてください。」
考えられる副作用
MCTオイルやパウダーを大量に摂取した場合、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢を引き起こす可能性があるとディマリーノ栄養士が警告しています。また、MCTオイル製品を長期間使用すると、肝臓に脂肪が蓄積してしまう可能性もあるかもしれません。
流石は天下のクリーブランド・クリニック、前回に続き、意外と分子レベルの説明までちゃんとなされているしっかりした記事でした。
いやぁ~でもどうなんでしょうね、ココナッツや他のトロピコフルーツに沢山含まれる油とのことですが、こないだは、「ココナッツオイルはあんまり良くない」って言ってませんでしたっけ…?とも思えてしまうかもしれません(↓)。
まぁ「ココナッツオイルの摂り過ぎは良くないけど、MCT自体は凄くいいんです」ってパターンもあるのかもしれませんが、個人的には幼い頃からの刷り込みか、DHAとかオメガスリー系の方がより「いい脂肪」なイメージがあります。
とはいえ、減量に効果的なんて研究もあるとのことで、「空腹感を抑える」用途で使うなんてのはありかもですね。
いずれにせよ、ディマリーノ栄養士も言っていた通り、過度の期待を向けるものでもないのかな、という気はするものではあるかもしれませんね、やっぱり。
