前回は感染症の潜伏期間についての記事を見ていましたが、医療用語まとめのHEALTH LIBRARY記事だけあって大量の関連用語記事がリンクされていましたけれども、ほとんどが同じ長めのHEALTH LIBRARY記事ばかりで、特に取り上げる程でもないかな…と思えるものが目立つ中、いくつか健康読み物系のhealth essentials記事が目に付きました。
今回はその中から、食中毒どうこうの部分で取り上げられていた、生乳を飲むことの危険性についてまとめられている記事を見ていこうと思います(↓)。
↑のリンクカードでは別のランニングタイトルが使われていますが、記事自体のタイトルは「生乳を飲むのはトレンドだが…」となっており、ホントにそんなトレンドあるのかよ、むしろどこで飲めるんだよ(笑)…と思えてしまえたものの、まぁアメリカでは流通しているのかもしれませんね。
日本でも、何か牧場で搾り立ての牛乳体験コーナーとかはありそうな気がしますけど(気がするだけで、僕は経験したことないので、実際はそんなのないのかもしれませんが)、日本の場合はその辺の食の安全は徹底管理されていそうで安心はできる気がします(だからこそ、許可されていないような気もするわけですが)。
いずれにせよ、殺菌してない牛乳が結構危険なのはまぁ微生物に詳しい人なら常識とも思えるものの、どう危ないのか、記事を読んで学んでおくといたしましょう。
生乳を飲むのは流行かもしれないけれど、ダメ、安全ではありません(Drinking Raw Milk May Be Trendy, but No, It’s Not Safe)
殺菌されていない牛乳を飲むと、吐き気、下痢、嘔吐といった問題、あるいは場合によっては深刻な病気を引き起こすこともあり得ます
信じられないかもしれませんが、人間が牛乳をどのように調整してきたかには豊かな歴史があるのです。サルモネラ菌、大腸菌、リステリア菌など、生乳に潜む細菌を死滅させる安全なプロセスである「加熱殺菌処理」がルイ・パスツールによって発明されてから120年以上が経過しました。今日、牛乳が家庭の主食となっているのには確かな理由があるのです。牛乳に含まれるカルシウムは丈夫な骨や歯を作り、また心臓の鼓動や血液凝固、そして筋肉や神経の機能を維持するのに役立っています。
しかし近年、一般的な加熱殺菌済みの牛乳ではなく、無殺菌―つまり生―の牛乳や乳製品を好む方が、少数ながら増え始めています。生乳はより多くの栄養素を含み、アレルギーが少なく、健康全般を促進すると信じられているのがその理由です。
しかし、このように牛から直接搾った牛乳を飲む人々が増えているにもかかわらず、多くの専門家は生乳を飲むことによる健康リスクについて警告しています。
登録栄養士のエリン・ロッシRD/LD(登録栄養士/管理栄養士)が、最も安全な方法で牛乳を楽しむ方法を説明してくださいます。
生乳を飲むことの危険性
生乳を飲むことはより健康に良いのでしょうか?ほとんどの証拠は、はっきりと「ノー」を示しています。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の報告によると、殺菌されていない牛乳は殺菌された牛乳よりも、入院につながる食中毒を引き起こす可能性が高いとのことです。
牛、羊、ヤギあるいはその他の動物から搾乳されたミルクが、カフェラテやシリアルボウルに入る前に低温殺菌されなければならないのには理由があります。加熱殺菌の過程で細菌が死滅し、牛乳が安全に飲めるようになるのです。「生乳に関連する病気を防ぐには、少しの処理で大きな効果があるんですよ」とロッシ栄養士がおっしゃっています。
生乳を飲むと、以下のような病気にかかるリスクが高まる可能性があります:
- 大腸菌: ある種の大腸菌は、激しい腹痛、下痢(しばしば血便)、および嘔吐を引き起こすことがあります。場合によっては、腎臓を侵す重篤な疾患である溶血性尿毒症症候群(HUS)につながることもあり得ます。
- サルモネラ菌: この細菌は下痢、発熱、および腹痛などの症状を引き起こすことがあります。重症の場合は入院に至ることもあり、特に幼児や高齢者、そして免疫力が低下している方は注意が必要です。
- リステリア・モノサイトゲネス: この細菌はリステリア症と呼ばれる感染症を引き起こし、妊婦、新生児、高齢者、および免疫力が低下している方にとって特に危険です。流産、死産、早産、または新生児の生命を脅かす感染症を引き起こす可能性があります。
さらに、生乳を飲むと、鳥インフルエンザとしても知られるHPAIに感染する危険性が発生し得ます。鳥インフルエンザが人に感染することは稀ですが、いくつか症例が知られています。アメリカ食品医薬品局(FDA)は、このウイルスが野鳥から乳牛を含む他の種に感染する可能性があると表明する勧告を発表しました。
また、感染した牛の乳はHPAIウイルスを媒介する可能性があります。汚染された生乳を飲むことでHPAIに感染するかどうかはまだ不明ですが、FDAはそれでも生乳を高危険度食品とみなし、摂取しないよう注意を促しています。
危険性があるのはどんな人?
生乳を飲んだからといって、全ての人が同じように影響を受けるわけではありません。ほとんどの健康な人は、生乳に起因する感染症が引き起こす嘔吐、下痢、腹痛、およびインフルエンザのような症状からすぐに回復します。
しかし、高齢者、子供、妊婦、そして免疫力の弱い方はすぐに重症化する可能性があります。症状は慢性化し、重症化し、生命を脅かすことさえあり得るのです。
生乳製品を摂取して病気になった場合は、速やかに医療機関を受診すべきです―特に妊娠中の方は注意が必要となります。
なぜ生乳の方が健康的だと信じられているのか
生乳擁護派は、無殺菌牛乳の方がより多くの栄養素を摂取でき、アレルギーや喘息を予防でき、さらには乳糖不耐症を緩和できると信じています。生乳がこういった症状を改善するという証拠は全く存在しないことに注意することが重要です。
加熱殺菌牛乳と無殺菌牛乳にまつわる他の俗説についても聞いたことがあるかもしれません。以下が生の事実です:
- 加熱殺菌によって牛乳の栄養素が減少することはない。「栄養価はどの牛乳も同じであり、違いとして、加熱殺菌牛乳には細菌混入のリスクはありません」とロッシ栄養士が明言しています。
- 生乳にも加熱殺菌牛乳にも、アレルギー反応や乳糖不耐症の引き金となるタンパク質が含まれている。
- 加熱殺菌されているからといって、牛乳を冷蔵せずに(特に開封後に)長期間放置しても安全というわけではない。
- 加熱殺菌によって牛乳はより安全に飲めるようになる。
牛乳が加熱殺菌されていることを確認する方法
では、牛乳は何をもって「加熱殺菌」されていると言えるのでしょうか?加熱殺菌とは、牛乳を華氏161度(摂氏71.66度)で20秒間加熱することです。これにより、あらゆる細菌が完全に死滅します」とロッシ栄養士が説明している通りです。
アメリカの牛乳および乳製品のほとんどは、加熱殺菌または細菌を死滅させる方法で加工された牛乳やクリームを使用しています。しかし、生乳を使った製品もまだ見かけることがあります:
- ソフトチーズ(ブリー、カマンベール)
- メキシコ産ソフトチーズ(ケソ・フレスコ、パネラ、アサデロ、ケソ・ブランコ)
- ヨーグルト
- プリン
- アイスクリームやフローズンヨーグルト
- 特定のミルクやヘビークリーム
製品のラベルをよく読んで、「加熱殺菌済み」の文字があることを確認してください。それがない場合、その製品には生乳が含まれている可能性があります。農場のスタンドやファーマーズ・マーケットで売られている乳製品には特に注意してください。加熱殺菌されていることが確認できない限り、買ってはいけません。
結論
牛乳を飲み、乳製品を摂取することは、カルシウムとビタミンDを食事に取り入れる素晴らしい方法です。しかし、加熱殺菌牛乳にはこれらの利点がありますが、「生」であればより良いというわけではありません。それどころか、酷い腹痛や、場合によってはもっと深刻な症状に見舞われる危険性が圧倒的に高くなります。
「アメリカの食品供給は世界で最も安全な部類に入りますが、必ずしもリスクが存在しないないわけではありません」とロッシ栄養士が指摘しています。「食中毒は、適切な取り扱いと加工―重要な栄養素を保ちながらリスクを最小限に抑える加熱殺菌を含む―によって予防することができるものなんです。」
やはり、アメリカでも基本的に大企業が工場で作っているような製品は加熱殺菌済みしか存在しないレベルなんだと思いますが、農場併設店なんかではやはりフレッシュさを売りに生乳が売られている可能性もあるのかもしれませんね。
ちなみに、以前「低温殺菌牛乳の美味しさは凄まじいですよ」なんて書いていたことがあった通り(↓)…
…実は加熱処理していないというかよりマイルドなだけで本当に味が変わるので、生乳も新鮮なのは本当に美味しいんだろうな…とは思えるものの、まぁ危険を冒してまで飲むものではないというのは↑の記事で書かれていた通りだと言えましょう。
当たり前すぎて意識することもないですけど、人類の叡智は偉大だということですね。
