最近見ていた糞便・排便記事で取り上げられていたhealth essentials記事の他に、もう一つ、お堅めの医学用語解説まとめであるHEALTH LIBRARYの方にも、リンクが張られている中に珍しくそこそこ短めのものが目に付いてました。
それがズバリ、記事タイトルにもしました、Anusについて!
まぁ照れ隠しから「エイナス」なんて表記しましたけど、これはズバリ、何を隠そう、肛門ことお尻の穴のことですね。
とはいえ、「肛門というのは英語でアナルじゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれないのですが、これ、恐らく全日本人の80%ぐらいが勘違いしているのではないかと思えるんですけど、
(「そんなこと考えたこともねぇわ」って人の方が多いかもしれませんが(笑))
…アナル=anal、英語読みでは「エイナル」の方がより正確ですけど、これは実は形容詞でして、この単語は、「anal 〇〇」という形で、何か別の名詞を修飾する形で使わないとおかしいんですね。
つまり、例えば前回の記事でも出てきた裂肛、これは肛門の裂傷のことですが、これを「anal fissure」というのは完全に正しいんですけど、例えば、
「アナルが痒くて…」
とか
「アナルに物を入れて抜けなくなってしまいました」
とか、まぁそこをわざわざカタカナ呼びする人もいないと思いますけど(笑)、少なくともこの語が使われる文脈はそんな感じでほぼ100%名詞として使われている印象があるんですけれども、これは完全におかしく、名詞なら「エイナス」(よりアルファベットのベタ読みならアヌス)と言わないと、誤用にも程があるわけです。
日本語で例えるなら、
「冷たいが飲みたい」
とか
「黒いに切符を入れてたはずなのに見つからない!」
とか、「いや、『黒い何』のことだよ(笑)」と突っ込みたくなるのと全く同じで、形容詞を名詞として使うとあまりにも不完全な文が出来上がってしまうということなわけですね。
正直、恐らく勘違いされている方が多いであろう、このことに触れたかっただけなので、もう記事はどうでもいいと言いますか、「今日はこれだけ覚えて帰ってください」と言いたいぐらいではあるんですけど(笑)、まぁせっかくなので、別に知りたくもない気もするものの、エイナスに関する医学的なお話、アナルストーリー(←「肛門の話」で正しい使い方(笑))を参考にさせていただくといたしましょう。
肛門(Anus)
肛門は大腸の終点で、食べ物の残骸が消化管を通過し終え、旅の出口となるところです。肛門では、筋肉、神経、および粘膜が、自分の意思でコントロールできる健康的な排便を行うために協力して働いています。それらはまた、外からの感染源に対して、肛門を閉じておく働きもあります。
概要
肛門とは何?
肛門は、大腸の末端―ちょうど最後の3~4 cmの部分です。ここで大腸は外に開き、うんちを排出します。肛門では、大腸の内側を覆っている組織が、柔らかい粘膜から普通の皮膚に変わり始めます。括約筋と呼ばれるリング状の筋肉が肛門を取り囲み、うんちを出すために活性化されるまで閉じています。
肛門の上部と下部は異なる性質を持っています。両者は櫛状線によって隔てられています。 (※Pectinate (dentate) line:櫛状線(歯状線)、Anal sinuses:肛門洞、Anal columns:肛門柱、Puborectalis:恥骨直腸筋、Rectum:直腸、Anocutaneous line:肛門皮線、Anal canal:肛門管、Internal anal sphincter:内肛門括約筋、External anal sphincter:外肛門括約筋)
肛門と直腸の違いは何?
直腸は肛門の直前にある大腸の部分です。長さは約5~6センチです。ここは、うんちが出る前に溜めておく場所になります。直腸がいっぱいになると、神経が便意を誘発し、内肛門括約筋が自動的に緩みます。外括約筋は、準備ができたときに作動するよう、意識的なコントロール下で動かせるものとなっています。
機能
肛門の機能は何?
肛門は排便を促します。肛門を取り囲む神経と筋肉が協調して、うんちが必要なタイミングを知らせると同時に、トイレに辿り着くまでうんちを我慢できるようにしています。準備ができたら、この神経と筋肉が再び協調して、うんちを体外に押し出します。肛門の粘膜は粘液を分泌して通路を潤滑にし、うんちがスムーズに通過できる手助けをしています。
解剖学的知見
肛門の解剖学的構造はどんなもの?
肛門の内側には縦に並んだひだがあり、肛門を上下に分けています。ひだは柱(肛門柱)を形成し、溝(肛門洞)で区切られ、これらはより小さなひだ(肛門弁)で終わっています。肛門洞には粘液分泌腺が存在しています。肛門弁は洞の終わりと、粘膜が皮膚に変化し始める境界線(櫛状線または歯状線)を示しています。
肛門の上部と下部(櫛状線の上と下)では、血管供給と神経供給が異なります。肛門の内、痛みやその他の感覚に敏感なのは、この線より下の部分(下の3分の2の部分)であるのは、これが理由なのです。内肛門括約筋と外肛門括約筋も神経供給が異なるため、内肛門括約筋は不随意的(自分でコントロールできない)であり、外肛門括約筋は意識的なコントロールが可能となっています。
症状と疾患
肛門に影響を及ぼす一般的な症状や疾患は何?
肛門の症状や障害には以下が含まれます:
- 痔。痔は肛門や直腸の血管が腫れた状態です。櫛状線より上の場合は内痔核、下の場合は外痔核と呼ばれます。
- 裂肛。裂肛とは、肛門の内側の粘膜が裂けている状態です。痛みや出血の原因となり得ます。
- 肛門真菌感染。カンジダ感染(カンジダ症)は、肛門内部や周囲の痒みや痛みを引き起こすことがあります。
- 肛門の性感染症(STI)。性感染症や性病は、肛門への挿入や、口腔や指による刺激など、肛門性交を通じて肛門に影響を及ぼす可能性があるものです。肛門性感染症には、クラミジア、性器ヘルペス、ヒトパピローマウイルス(肛門イボ)、梅毒、淋病、A型肝炎、B型肝炎、およびHIVが含まれます。
- 肛門膿瘍/肛門瘻。肛門腺が詰まって感染し始めると、膿瘍、つまり膿のポケットが皮膚の下に形成されます。排出された肛門膿瘍の半数以上が、肛門腺から外皮につながる異常なトンネル状の通路である肛門瘻を残していきます。
- 肛門狭窄。狭窄とは、体管の1つが狭くなることで、通常は内部の瘢痕組織が原因です。怪我、手術、あるいは病気によって、肛門の内側に狭窄につながる瘢痕ができることがあります。
- 肛門奇形。肛門奇形は、肛門が異常な発達を示す先天性異常です。肛門が欠損していたり、位置がずれていたりする場合は、外科的な修復(肛門形成術)が必要になることがあります。
- アニスムス(※排便時の筋肉障害)。アニスムスは、排便に関係する筋肉と神経が正しく協調して排便できない場合に起こるものです。骨盤底筋協調運動障害とも呼ばれます。
- 肛門失禁。便失禁は、肛門括約筋が排便をコントロールできない場合に起こり得ます。うんちを出したくないときに出てしまうことがあるものです。
- 肛門ガン。肛門ガンは、直腸または結腸ガンとは別の病気です。肛門管に発生するガンは通常、扁平上皮ガンです。
肛門に起こり得る健康問題の徴候や症状は何?
以下のような症状に気付いたら、医療機関を受診してください:
- 肛門の痛み。肛門の痛みは、様々な疾患のサインである可能性があります。
- 肛門病変。肛門やその周辺に、イボ、発疹、出来物、ただれ、裂け目などが現れることがあり得ます。
- 肛門の痒み。肛門内やその周辺の痒みは、アレルギーや感染症に関連している可能性があります。
- 肛門からの出血。トイレに行ったときや、肛門を洗ったり掻いたりしたときに、肛門からの出血に気付くことがあるかもしれません。出血は、原因に応じて、痛みを伴う場合と伴わない場合があり得ます。
- 肛門からの分泌物。うんちや下着に粘液や膿が混じっている場合は、病気のサインかもしれません。
- 排便困難。うんちが出にくい、またはうんちを我慢することが難しい場合、肛門の筋肉が関係している可能性があります。便意がない、または過剰な便意には、神経が関与している可能性があります。
医療従事者は、肛門の健康状態をチェックするためにどのような検査をするの?
肛門の検査には以下が含まれます:
- 直腸指診。直腸指診は、潤滑剤を塗った手袋をはめた指を肛門と直腸の中に入れて行う身体検査です。
- 肛門鏡検査。肛門鏡検査では、小さなスコープを使って肛門管の中を観察します。時々、スコープと一緒に高解像度の拡大鏡を使用することもあります。
- バリウム浣腸。これは、結腸、直腸、および肛門の内部を観察する、消化管X線検査です。蛍光透視法と呼ばれるリアルタイムのビデオX線撮影を行います。バリウム浣腸は、体内をより鮮明に映し出す役に立つものです。技師が肛門にバリウムを注入していきます。
- 排便造影検査。排便造影検査では、うんちをするときの体の仕組みをX線で撮影します。これは、機械的および機能的な排便障害の特定に使用されます。
- 直腸肛門マノメトリー(内圧検査)。この検査では、肛門の筋肉の収縮を測定し、肛門の感覚や神経反応のレベル、それから筋肉コントロールについても調べます。
- 筋電図検査。筋電図(EMG)は筋肉の電気的活動を検査するものです。これは肛門括約筋の問題を診断するのに役立ちます。
ケアする
肛門を健康に保つにはどうすればよい?
肛門のケアには、以下の方法が役に立ち得ます:
- 安全なセックスの実践。性行為の前にはパートナーを選別し、疑わしい場合は、STIを予防するために保護具を使用するようにしてください。肛門組織を傷つけないように潤滑剤を使用しましょう。
- 食物繊維をたくさん摂る。ホールフード(※素材全部が食べられる、未加工の食品)、特に植物は食物繊維の重要な供給源であり、これは便通をスムーズで規則正しく保つのに役立ちます。
- 優しい衛生管理の実践。しっかり洗って拭くことは重要ですが、肛門の敏感な皮膚や粘膜を傷つける可能性のある刺激の強い石鹸やウェットティッシュは、肛門の繊細な皮膚や粘膜を傷つける可能性があるため、使用しないようにしましょう。
- 症状を真剣に受け止める。肛門の症状について、恥ずかしがらずに医療機関に連絡し、必要なケアを受けるようにしてください。
クリーブランド・クリニックからのメモ
肛門は体の内側と外側をつなぐ出入口です。そのため、肛門は健康維持に重要な役割を担っています。肛門は、消化物が旅を終えて消化管を通過し終える際に、それを外に出すために開きます。また、感染源を排除するために、普段は閉じています。肛門は小さいものですが、傷ついたり、うまく機能しなかったりすると、その症状や影響は計り知れません。肛門に影響を及ぼす症状に関しては、躊躇わずに治療を受けるようにしましょう。
短めに見えましたが、やっぱりHEALTH LIBRARY記事はちょっと長めですね。
改めて、肛門の知識そのものよりも、「anal」という語の誤用をしないことの方が重要にも思えますが(笑)、まぁ僕は子供の頃初めて目にしたとき、
「お尻の穴だから、それを可愛らしく言った業界用語的なものなのかな?」
と思えた記憶もあります通り、響きがあまりにもアナにピッタリなのが悪い気もしますけど(笑)、誤用する人が増えないよう、今後はもっとエイヌスと呼ぶ人が増えていって欲しい限りです。
(いや、そんなの誤用した所で全く何の問題もないにも程があると言いますか、そもそも日常生活で「アナル」なんて言うことなんぞねーよ、って話でもありますけどね(笑)。)
何気に関連ネタは豊富にありそうなので、短めのものを中心に、もうちょい関連バッチィ系ネタを見ていこうかなと予定しています。
