舌がとんでもない大きさになってしまうことも…

前回の「嘘つきオデキ」こと「一過性舌乳頭炎」の記事で、特にU字型というタイプ(画像がなかったので何のこっちゃという感じですが)を呈することが多いという疾患に、巨舌症というものが並んでいました(↓リンクが張られていた個別記事)。

 

my.clevelandclinic.org

 

「-glossia」というのは「舌」を意味する医学用語なので、「巨」を意味する「マクロ」と合わさって「巨舌症」としましたけど(日本ではあまりないのか、以下のWikipediaも日本語版はなく、検索してもあまりハッキリした名称は出てこなかった感じです)、今回のHEALTH LIBRARY記事には画像がなかったので、どんなものなのかウィッキー先生を参考にさせていただくと…

https://en.wikipedia.org/wiki/Macroglossiaより

…まぁデカイっちゃデカイ気もするけど、そこまで特筆する程でもないような…というか、拡大しすぎてよく分かんねぇよ(笑)…と思えたものの、もうひとつ、下にあった「重篤な例」を見てみると…

同記事より、重篤な巨舌症

…これは大変ですね…!!

 

どうやらこの症例はある日いきなり発症するようなものではなく、基本的には先天的なもの(=生まれ持ってのもの)、というか別の先天疾患の合併症であるもののようで、健康な成人が「いきなり舌が肥大した」なんてことは普通はないようですけど、下の画像の子だと話すのも食べるのも大きな困難を伴いそうで、これは本当に厄介そうです。

 

現在の医学でどの程度対処できるものなのか、今回もクリーブランド・クリニックの記事を参考にさせていただきましょう。

 

巨舌症(Macroglossia)

時に巨大舌(giant tongue)や肥大舌(enlarged tongue)と呼ばれることもある巨舌症は、典型的には成人よりも小児に多くみられる稀な疾患です。ベックウィズ・ヴィーデマン症候群やダウン症など、他の疾患があるために巨舌症になる患者さんがほとんどです。巨舌症の治療は、原因となっている基礎疾患によって異なります。

 

概要 

巨舌症とは何?

巨舌症(舌肥大)は、通常、成人よりも小児に多くみられる稀な疾患です。巨舌症の方は、口の大きさと比較して普通よりも舌が大きくなっています。ほとんどの患者さんは、ベックウィズ・ヴィーデマン症候群やダウン症といった疾患と関連し得る形で、生まれつき巨舌症を抱えています。また、ある種のガンや重度の感染症が原因で、巨舌症を発症することもあり得ます。巨舌症の治療は、言語療法から手術まで多岐にわたります。

 

自分が巨舌症かどうかはどうすれば分かるの?

巨舌症になると、舌が口からはみ出して来る可能性があります。また、食事、呼吸、あるいは会話に支障を来すこともあるかもしれません。感染症や特定のガンに罹患すると、巨舌症になることがあります。お子様が巨舌症である場合、この症状は遺伝性の基礎疾患によって引き起こされるいくつかの症状の内の一つである可能性があります。

 

巨舌症は一般的な病気なの?

どれくらいの方が巨舌症を患っているかは、一概には言えません。大抵の場合、巨舌症は多くの医学的疾患に由来するひとつの症状であり、そういった疾患を持つ全ての方が巨舌症を発症するわけではありません。

 

症状と原因

巨舌症の症状は何?

常に舌が飛び出しているような大きすぎる舌が、最も明白で一般的な巨舌症の症状と言えましょう。その他の症状としては:

  • うるさく、甲高い呼吸(喘鳴音)
  • いびきや低音の呼吸(高いびき呼吸)
  • 飲食困難(嚥下障害)
  • 流涎(よだれを垂れ流すこと)
  • 発話困難

 

何が巨舌症の原因なの?

巨舌症にはいくつかの原因があります。ごく稀に、生まれつき舌が大きいけれど、他には医学的な問題がない方もいらっしゃいます。より多くの場合、巨舌症は、遺伝的なもの、あるいは病気によって発症する基礎疾患の一症状です。手術や医学的治療が、巨舌症を引き起こすこともあり得ます。

 

どんな遺伝性疾患が巨舌症を引き起こす可能性があるの?

巨舌症はいくつかの遺伝疾患に結び付いています。以下が、その内のいくつかの疾患に関する情報です:

  • ベックウィズ・ヴィーデマン症候群: これは、体格を大きく、臓器を大きく、かつ特定の小児ガンを発症するリスクを高くする成長障害症候群です。ベックウィズ・ヴィーデマン症候群の子供の約90%は、巨舌症も併発しています。
  • ハーラー/ハンター症候群(ムコ多糖症): これは、体内で糖分子を分解する能力に影響を及ぼす疾患群です。
  • ダウン症候群ダウン症の方は染色体を1本多く抱えて生まれてくるため、脳や体の発達の仕方が変化し、身体的・精神的な問題が生じます。

 

どんな後天的疾患が巨舌症を引き起こす可能性があるの?

後天的な原因としては、ジフテリアのような甲状腺機能低下症や感染症といった、代謝や内分泌の疾患が含まれ得ます。いくつか代表的な巨舌症を引き起こす後天的な疾患としては、以下が含まれます:

  • アミロイドーシス: 組織や臓器が、本来の働きができなくなってしまうタンパク障害です。巨舌症は、アミロイドーシスの最も一般的な口腔症状です。
  • 甲状腺機能低下症: これは甲状腺が十分な甲状腺ホルモンを合成せず、血液中に分泌しなくなる一般的な症状です。これにより代謝が悪くなります。甲状腺機能低下症は小児における巨舌症の一般的な原因です。
  • 先端巨大症: 成長ホルモンが過剰に分泌される稀な疾患です。先端巨大症の方は、しばしば舌、顎、手、足が大きくなりすぎてしまいます。
  • ジフテリア: 舌が腫れることがある感染症です。

 

どんな腫瘍が巨舌症を引き起こす可能性があるの?

巨舌症は、以下のような良性腫瘍や悪性腫瘍(ガン)の症状として現れることがあり得ます:

  • リンパ管腫: これはリンパ系に発生する良性の腫瘍で、口の中の粘膜に、液体が満たされた嚢胞を生じます。
  • 血管腫: 血管から発生する良性の腫瘍です。
  • リンパ腫: このガンはリンパ系に影響を及ぼします。

 

診断と検査

医療従事者は巨舌症をどう診断するの?

まず最初に、担当医が身体検査を行い、患者さんご自身またはお子様の舌、頭部、および頸部をチェックします。巨舌症と基礎疾患を診断するために、いくつかの検査を組み合わせて用いることがあるかもしれません。そういった検査には以下が含まれ得ます

  • コンピュータ断層撮影(CTスキャンCTスキャンでは、X線とコンピューターを連続で用いて、ご自身またはお子様の口腔、頭部、および頸部の三次元(3D)画像を作成します。
  • 磁気共鳴画像法(MRI。これは、大きな磁石と電波とコンピューターを使って、ご自身またはお子様の体内の臓器や構造を非常に鮮明に画像化する、痛みのない検査です。

 

管理と治療

巨舌症はどうやって治すの?

症例によっては、子供の顔の骨が成長し、口の中に舌を入れるスペースができるにつれて、巨舌症を「卒業」することもあります。

医療従事者が巨舌症を治療する場合、まず基礎疾患の診断と治療を行い、次に巨舌症の治療を行います。巨舌症の治療には、以下のようなものが含まれ得ます:

  • 腫れに対するコルチコ(副腎皮質)ステロイドなどの薬物療法
  • 歯列矯正治療
  • 手術。巨舌症の治療を受ける方の約10%は、舌を小さくする手術を受けます。

 

予防

子供が巨舌症になるリスクを減らすにはどうすればよい?

ほとんどの場合、巨舌症は予防が不可能な先天的な疾患と結び付いています。他の場合は、感染症の症状として現れることもあり得ます。感染症からご自身の身を守ることが、巨舌症を予防できるかもしれない一つの方法です。

 

見通し/予後

子供が巨舌症になった場合、何が予期される?

巨舌症は通常、遺伝性疾患や病気といった、基礎疾患に伴う症状です。典型的には、基礎疾患の診断と治療が、巨舌症の症状を管理するための最初のステップとなります。

 

受け入れる

子供をいつ医療機関に診せるべき?

お子様が巨舌症を発症している場合、恐らくその原因となった基礎疾患の治療を現在受けていることでしょう。その基礎疾患治療に対処することが、親御さんの最優先項目となります。かかりつけの医療従事者に、お子様の治療計画について尋ねてみてください。何が予期され、いつ連絡すべきかを教えてくれることでしょう。

 

担当医にはどんな質問をすべき?

お子様が巨舌症になった場合、なぜそのような状態になったのか、そして治療によって何が予見できるのかを知りたいと思うことでしょう。担当医に尋ねると良い質問には、以下が含まれます:

  • 巨舌症とは何ですか?
  • 子供にどのような影響がありますか?
  • なぜ子供が巨舌症になったのですか?
  • どのような治療がお勧めですか?

 

クリーブランド・クリニックからのメモ

お子様が肥大舌としても知られる巨舌症である場合、その診断は、お子様と親御さんご自身の人生を既に変えている遺伝性疾患の一側面である可能性があります。お子様のかかりつけの医療機関は、恐らくお子様の基礎疾患の治療に専念していることでしょう。しかし、この新しい症状について、またそれがお子様のQOL(生活の質)にどのような意味を持つのかについて、もっと知りたいと思っていらっしゃることを、担当医は理解してくれるはずです。お子様に何ができるのか、そして何が予見できるのか、担当医にお尋ねください。彼らは喜んで詳細を教えてくれるでしょうし、この新しい情報を前向きに捉える手助けをしてくれますよ。

 

もちろん先天疾患によるものが圧倒的多数ではあるものの、後天的に、何らかの重篤疾病で発症する可能性もなくはないようですね。

とはいえ、その場合も、舌よりもその疾患の方が重篤である可能性が高いので、後回しにされがちな症状なのかもしれません。

 

なかなか根治も難しいようですが、手術でサイズを小さくできなくもないようですし、そこだけでも簡単に解決してくれるといいですね。

 

次回は、疾患ではなくもうちょっと舌に関する一般的な話を見ていこうかなと予定しています。

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