最近は、見た記事内で貼られているリンクの中から可能な限りネタを拝借させていただいている形ですが、今回も、前回の塩分電解質記事で紹介されていたものの中でいくつか取り上げるのにちょうど良さ気なものがあったので、そちらをピックしてお茶を濁させていただこうと思います。
ズバリ、「なぜ塩の摂り過ぎはダメなのか?」というもので…
…「いや、塩分の摂り過ぎなんてダメに決まってるじゃん」という話ではあるんですけど、実際「なぜ?」と理由を聞かれたら、「…だってお母さんがそう言ってたもん」みたいな、案外答に窮する感じかもしれません(笑)。
…いやまぁ「高血圧になって、血管が破れて死ぬからだよ」という話なのはそこそこ健康意識の高い方なら当たり前かもしれませんが、「なぜ塩の摂り過ぎが高血圧につながるの?生理学的な作用機序は?」とまで問われたら、やっぱり結局なかなか難しい質問ではあるかもしれないですね。
…とはいえ、この記事は細胞生理学や代謝学の講義ではなく、あくまで一般向けの医学的なお話なので、ほぼ間違いなく「イオンチャネルやポンプの働きが浸透圧でうんたら~」みたいな仕組みにまつわる内容は触れられてないと思いますけど、逆にそんな話されても困りますしね(笑)、そんなの知っても何の役に立つわけでもありませんから、今回も例によってクリーブランド・クリニックによる健康のためのまとめ記事を参考にさせていただきましょう。
なお今更の豆知識ですが、↑のリンクカードの記事タイトルにもあります通り、「塩のメイン成分がナトリウム」というのは中学生でも知ってる常識ですけど、その「ナトリウム」ってのは実はドイツ語由来で、英語では決してそう呼ばれず、「sodium(ソディウム)」と呼ばれることにはご注意かもしれませんね。
なぜ塩分の摂り過ぎが体に悪くなり得るのか(Why Too Much Salt Can Be Bad for You)
塩分とナトリウムの過剰摂取は世界的な健康問題です
食卓に食べ物が並ぶ度に、塩振り容器に手を伸ばしていませんか?もしそうなら、塩を振りかけるたびに長期的な健康を害しているかもしれません。
食塩に含まれるナトリウムの過剰摂取は、心臓病や脳卒中といった生命を脅かす健康問題を引き起こす原動力となっています。調査によると、人々は必要以上に塩分やナトリウムを摂取していることも明らかになっています。
「誰もが、自分の食べている塩分の量と、それが自分に与える影響を意識すべきです」と、登録栄養士のジュリア・ズンパノRD/LD(登録栄養士/管理栄養士)がおっしゃっています。
以下がその理由です。
塩は体に悪いの?
驚く準備はよろしいですか?その質問に対する基本的な答えは、ノーなのです。食べ過ぎない限り、塩は本当に全く不健康なものではありません。
食べ過ぎとは?それについては後ほど見ていくとして、その前に、なぜ塩が良いものたり得るのか、もう少し詳しく見てみましょう。
2つのミネラル―ナトリウム(40%)と塩化物(60%)―が、塩の構成要素です。これらは体を動かし続けるために働いている、電解質の王様と女王様とでもお考えください。生きていくために、両者が必要なのです。
ナトリウムと塩化物は、体液レベルを維持し、栄養素をエネルギーに換えるのを助ける成分です。また、心臓のリズム、脳の機能、および筋肉のコントロールもサポートしています。
しかし、ナトリウムの摂り過ぎは…そう、命取りになるんです、とズンパノ栄養士が注意を促しています。ナトリウムの多い食事は血圧を上昇させ、世界中で死因の筆頭となっている心臓病や脳卒中のリスクを高めてしまいます。
塩分を摂りすぎると何が起こるの?
塩分やナトリウム過大な食事は体液の保持を強制し、これが短期的にはむくみにつながり得ます。
しかし、それより遥かに問題となるのは、塩分が長期的に体に与える影響です、とズンパノ栄養士が話しています。塩分やナトリウムの過剰摂取は、血圧を上昇させることに加えて、腎臓の機能にも悪影響を及ぼしかねません。
塩分摂取量が多すぎることによる兆候には、以下が含まれます:
膨満感
ナトリウムは水分を引き寄せます。塩辛いものをたくさん食べると、体液貯留(ナトリウムが体内の水分を保持すること)が起こります。その結果は?特に腹部や目の周りが腫れぼったく感じられるようになります。また、手足のむくみに気付くこともあるでしょう。
喉の渇きの増加
最近の研究によると、ナトリウム濃度が高くても必ずしも喉が渇きやすくなるわけではないようです。しかし、それでもやはり、塩辛いものを食べた後、より多くの水分を一気飲みせずにはいられない方も中にはいらっしゃいます。
高血圧
ナトリウムは主に血液中に存在し、そこで水分を取り込んでいます。ナトリウムを摂り過ぎると、血液中に水分が増えることになります。より容積の大きくなった血液が血管壁を押し、高血圧を引き起こしてしまうわけですね。
睡眠の質の低下
ナトリウムを摂りすぎると(特に夕方)、睡眠が妨げられる可能性があります。血圧が急上昇し、急に飲み物を飲みたくなったり、おしっこをしたくなったりして、安眠が妨げられかねないわけです。
どのくらいのナトリウムが摂りすぎにあたるの?
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、健康な成人のナトリウム摂取量を1日2300ミリグラム未満に抑えるよう推奨しています。参考までに、これは食卓塩小さじ1杯分に相当する量です。
「ある1日にそれ以上食べてしまっても、体に害はないでしょう」と語るのはズンパノ栄養士。「しかし、常に推奨量を超えているのであれば、それは摂り過ぎです―そして、その場合は健康に影響を及ぼしかねません。」
そしてほとんどの方にとって、ナトリウムの摂り過ぎは問題となります。
研究者によれば、ナトリウムの多量摂取は世界共通の健康問題になっているとのことです。(アメリカ人は1日平均3400ミリグラムのナトリウムを摂取しています。これは推奨量を約48%上回っている形です。)
ナトリウムを体外に排出する方法
塩辛いものを食べ過ぎてしまった後、体内の余分なナトリウムを排出する必要があるですって?以下が、その任務を完了させるための3つの方法です。
- 汗をかく。体内のナトリウムは汗を通して自然に排出されます。(そのため、汗は少ししょっぱい味がするのです。)汗をかくトレーニングをしたり、サウナに入ったりすることで、一滴ずつ余分なナトリウムを排出することが可能となります。
- 水分を補給する。体内の余分なナトリウムは腎臓や尿からも排出されます。十分な水分をゴクゴク飲むことで、そのプロセスを促進する手助けをすることが可能です。
- カリウムを多く含む食品を食べる。カリウムは、ナトリウムの体への影響の一部を打ち消す働きがあります。カリウムを多く含む食品には、アボカド、バナナ、ジャガイモ、ホウレンソウ、トマト、オレンジなどが含まれます。
ナトリウムが少なすぎるのは問題になり得る?
ナトリウムは1日に最低1500ミリグラムは必要です、とズンパノ栄養士が明言しています。それを下回ると、低血圧や電解質の不均衡につながりかねません。
ナトリウムが不足しすぎている兆候には、以下が含まれます:
- めまい
- 頭痛
- エネルギー不足
- 筋肉疲労
- 吐き気
しかし、繰り返しになりますが、人々の食習慣を鑑みれば、通常、ナトリウムが少なすぎることが問題にはなりません。
結言
塩分の摂り過ぎが健康に悪いことは疑いようもありません。食事中のナトリウムを意識的に管理することで、適切な血圧を維持し、心臓病や脳卒中のリスクを減らす一助となり得ます。
加えて、塩分やナトリウムの摂り過ぎによる腹部膨満感やその他の問題から解放され、単純に気分も良くなることでしょう。「これは間違いなくWin-Winな状況ですね」とズンパノ栄養士が奨励しています。
まぁ予想通り、分子レベルでの根本的な仕組みを語る形での「なぜ」ではなかったものの、そんなことは誰一人必要としていませんし、一応メカニズムの現象論的な記述「ナトリウムは水を引き寄せるから」というのが、血圧が上がる部分的な説明にはなっていたと言えるので、良いまとめ記事ではあった形でしょうか。
この記事のリンクはまだ全部チェックしていないんですけど、前回開いておいたリンクに今回の記事でも再登場してきた「カリウム」に関する記事があったため、次回はそれを見てみようかな、と予定しています(既に前回軽く触れてしまっていましたけどね)。