前回のニキビパッチ記事の冒頭で、「『吹き出物を摘まみ取ってはいけない』は鉄則ですが…」という文があり、そこにまたリンクが張られていました。
前回ラストにちょろっと書いていた通り、「いやそうは言うけどさ、現実的に、潰した方が結果オーライなことも稀によくある気がするよ?」と思う僕としては、どうせ「潰すな!」と叱られるだけであろう記事はそない見たくもなかったのですが(笑)、開いてみたらどうも、ニキビではなく別の吹き出物、いわゆる水膨れ(英語ではブリスター)について扱った記事のようでした(↓)。
画像は拡大され過ぎてどの部位かもよく分かりませんが(多分、指でしょうか)、これだけ大きな水膨れだと、確かに潰すのはちょっと躊躇われる気もしてしまうものの…
…でもやっぱり、こういうのって潰れないように意識して過ごすだけで多大なるストレスになりますし、実際擦れたらめっちゃ痛いという現実的な被害もあるわけで、別に「潰すのが快感で、楽しむために潰す」とかそういう理由でもなく、「こんなのをそのまんま放っておくと、QOLが下がるんだよQOLが!」というやむにやまれぬ切実な事情みたいなものから、僕はやはり潰した上で、薬なりパッチなりで清潔な良い環境に保つのがベストではないかなぁ、なんて気がしちゃいますねぇ。
しかし、医療機関の推奨としては「絶対厳禁」なのは分かり切っているわけですけれども、どういう理屈が捏ね広げられるのか、今回も早速health essentials記事の方に参りましょう。
水膨れは潰すべき?(Should You Pop a Blister?)
3種類の水膨れとその対処法(ネタバレ:水膨れを潰すのは、最善の解決策ではありません)
水膨れ、ですね?誰にでもできるものです。足に合わない靴を履いてしまったのでしょうか。オーブンの天板が十分に冷える前に触ってしまったのかもしれないですね。あるいは、水膨れができるような病気やウイルス感染症にかかっているのかもしれません。
由来がどこからにせよ、水膨れを破裂させたいという誘惑に負けてしまうことはあることでしょう。しかし、専門家は口を揃えて、それは通常最善の策ではないと言っています。
皮膚科医のシルピ・ケタルパルMD(医師)に、ほとんどの水膨れを破裂させてはいけない理由と、その代わりとなる、一般的な3種類の水膨れを治療する方法についてお聞きしました。
水膨れは潰すもの?
簡単な答えは?ほとんどの場合、ハッキリ大きな声で「いいえ」と断言できます。
「水膨れは、怪我をした後に、体が絆創膏を作ってくれるようなものなのです」とケタルパル医師がおっしゃいます。「水膨れの中の液体は、中の皮膚への更なるダメージを防ぎ、また皮膚を回復させるのに役立つものになっているんですよ。」
水膨れの潰し方(どうしても潰す必要がある場合)
ほとんどの場合、水膨れは自然に治るのを待つのが一番です。しかし、アメリカ皮膚科学会(AAD)は、水膨れが「非常に大きく、痛みを伴う」場合は、水膨れを排出してもよいとしています。
水膨れを破裂させたり、排出したりすると感染症になる可能性があるので、どうしても行う必要がある場合は、清潔に保つように注意してください。
- 小さな針を消毒用アルコールで消毒する。
- 水膨れの端を針で刺し、水膨れの一部を排出させる。
- 水膨れの「屋根」(水膨れを保護する皮膚)はできるだけそのままにしておく。これは、中の皮膚を保護するための自然な絆創膏の役割を果たしてくれるものです。
感染症のリスクがある方は、水膨れを排出する際、かかりつけの医療従事者に相談するようにしてください。医師が滅菌した注射針を使って、体液を排出させてくれます。これは、以下のような免疫系の不全が見られる方には特に重要です:
- HIVに感染している方
- 糖尿病を患っている方
- 免疫系を抑制する薬を服用している方
破裂した水膨れの治療
水膨れが破裂した場合は、自然にであろうとなかろうと、適切に治るようにし、化膿しないように注意すべきです。
角質部は剥がさないでください。汚れ、ゴミ、および細菌から内部の皮膚を守るために、そのままにしておくようにしましょう。
体液が自然に排出されるのを待ってから、治癒を促し清潔に保てるよう、乾いた滅菌絆創膏で患部を覆うようにしてください。
水膨れの種類と治療法
水膨れはしばしば、靴や手袋などによる摩擦の繰り返しで形成され得るものです。火傷をした後にもよくできます。また、病気の状態によって水膨れが引き起こされることもあり得ます。
ケタルパル医師が、以下、異なる種類の水膨れの原因、予防法、および治療法について説明してくださいます。
摩擦による水膨れ
よくあるパターンです。新品のランニングシューズの靴紐を締めました。しかし、走り始めて10分後、靴擦れのような痛みを感じてきます。翌朝、目にすることになります: 怒りのように赤く腫れ上がった皮膚は、液体で満たされた袋状になっているわけですね。
摩擦による水膨れは、きつすぎたり緩すぎたりする靴を履いた後に、つま先や足、足首によくできるものです。(ゴルディロックス(※イギリスの童話「3びきのくま」に登場する女の子で、熱すぎるおかゆでも冷たすぎるおかゆでもなく「ちょうどいい」おかゆを選ぶことで有名)のようなもので…靴はちょうどぴーーったりにしなければいけないのです。)しかし、きちんとフィットしていてもなお、新しい靴の中には、履き慣れたお気に入りの靴よりも水膨れができやすいものがあります。例えばレザーのような素材は、足に馴染んで柔らかくなるまでに時間がかかります。
また、雪かきやガーデニングやその他手を使う作業をした後にも、手の平や指に摩擦による水膨れができることがあるかもしれません。
予防法
AADは、しつこく痛みを伴う摩擦性水膨れを予防するために、以下の方法を提案しています:
- 手足にフィットした靴や手袋を着用する
- 綿の靴下や手袋は、汗が染み込んで擦れるので避ける
- パウダーやワセリンを摩擦部分に塗る
治療法
改めて、水膨れを破ってしまうのは禁物です。代わりに以下の方法を試してみましょう:
- 緩めの絆創膏で水膨れを覆う
- 小さなパッドをドーナツ状に切ってクッションを作る。水膨れが真ん中にくるようにし、ドーナツのくぼみから水膨れを突き出す形ですね。
火傷による水膨れ
まず第一に、軽いやけどを負った場合―例えば誤ってコンロから熱いフライパンを取り出そうとしてしまったときなど―、その部分を冷やすことから始めてください。素早くです。
「やけどをしたら、まず最初に取るべき行動は、冷たい水を当て続けてやけどを冷やすことです」とケタルパル医師が話します。「そうすることで痛みを和らげ、腫れを抑えることも可能となります。」
やけどをした部分を冷水に5分ほど、または痛みがなくなるまで当て続けましょう。氷や氷水は、組織を更に傷つける可能性があるので使わないでください。
AADは、やけどの水膨れを破裂させないことを提唱しています。代わりに、以下の対処法を試してみてください:
- やけどの跡を、くっつかないタイプの滅菌済み絆創膏で覆う
- ワセリンを1日2~3回塗る
- 軟膏を塗ったり、歯磨き粉やバターのような他の家庭薬を塗ったりすることは、感染を引き起こす可能性があるので避ける
やけどが2週間経っても改善しない場合や、強い痛みを伴う場合は、医療機関に更なる解決法をご相談ください。
皮膚疾患や感染症に伴う水膨れ
特定の疾患やウイルスが、水膨れの斑点や全身での水膨れ形成を引き起こすことがあり得ます。これには以下が含まれます:
こういった疾患の治療法は様々ですが、ほぼ例外なく全ての場合で、水膨れを破裂させたり、排出したり、掻いたりしてはいけません。水膨れの状態に対処するための選択肢については、かかりつけの医療従事者にご相談ください。薬、軟膏、その他の対処法を勧められることもあるかもしれません。
水膨れは痕が残るの?
水膨れの深さによって、瘢痕ができるかどうかが決まります。
「傷が深ければ深いほど(特に化学薬品や熱による火傷の場合)、瘢痕が形成されやすくなります」とケタルパル医師がおっしゃいます。「一般的に、摩擦による水膨れは表面的なものなので、瘢痕にはなりません。」
いつ医師に診てもらうべき?
ほとんどの水膨れは自宅で治療可能です。水膨れが特に大きく、また痛みを伴う場合は、自分で水膨れの水抜きをする前に、医療従事者に相談することをお勧めします。
また、以下のような場合も医療従事者に相談してください:
- 水膨れから黄色や緑色の分泌物が出る
- 水膨れの周囲が熱かったり、痛かったりする
- 水膨れの周囲に赤い筋がある
- 新たな病状に関連して水膨れが生じた場合
「大きすぎる・痛みがあるものは、潰す選択肢を取るのも可」とは、まさに自分の考えが正しかったことが証明されたようで思わずガッツポーズを取ってしまいました(いやそこまではしてませんけど(笑))。
後半にあった、「皮膚疾患によるもの=水ぼうそうや帯状疱疹を潰してはいけない」は、これは確かにそう思うといいますか、まぁそういうのは数も多いですし、その手の病状水疱を自分で潰す人は言われなくても存在しないですかね(笑)。
「天然の絆創膏」と言われると途端にいいものにも思えてきますが、ただまぁ水膨れは確かに良いものそうではありますけど、ニキビは膿のカタマリですから、これはやっぱり、こんなもんとっとと潰してオサラバした方がいいだろ、とは思えるかもしれません。
いずれにせよ、中高生の頃はそんな知識もほぼありませんでしたが、今は微生物・感染の知識もつきましたし、「潰すにしても、絶対に清潔に!目に見えないだけで、微生物は本当に大量に存在しているよ!」ということを、もし子供ができて思春期を迎えてニキビに悩んだりしていたら、ぜひ教えてあげたい限りです。