有益な呼吸法を見て行くシリーズ、4-7-8呼吸法、ボックス呼吸法、そして前回の横隔膜呼吸法を経て、「鼻呼吸 vs 口呼吸」という記事に挙げられていたラストはズバリ、交互片鼻呼吸法というもの!
Alternateが「交互、交替で」、Nostrilは「鼻孔、鼻の穴」という意味で、あと今さらですがBreathingは、「breath(ブレス)」という語はカタカナ語でも通じるレベルだと思いますがこれは名詞であり、動詞は「breathe」とお尻に「e」が付き、発音も「ブリーズ」と最後が濁る形ですね。
(なので、「呼吸すること・呼吸法」という意味としては、動詞にingがついた「breathing(ブリージング)」になるわけですけど、まぁ無駄に長いですしブログ記事タイトルでは「ブリーズ」としてみた次第です…厳密にいえば色々おかしいですが(笑))
したがって、今回の手法は直訳的には「交互鼻孔呼吸法」になるわけですが、まぁそこまで厳密な専門用語は存在しないものの、交互に鼻の穴を使うことから「交互片鼻呼吸法」という名称が日本語解説記事でも目に付いたため、ここではその呼称を採用しようと思います。
これまた面白そうな方法ですね、早速参りましょう。
交互片鼻呼吸を試す方法とその理由(How and Why To Try Alternate Nostril Breathing)
この呼吸法の型は自身を活性化し、集中力を高めるのに役立ちます
普段、呼吸について立ち止まって考えてみることがどれくらいありますか?大多数の人と同じであれば、ほぼ間違いなくあまりないことでしょう。息を吸って、吐いて、吸って、吐いて……体がやるべきことをやっている限り、この特定の身体機能について深く考えることは、ほとんどないのではないかと思います。
しかし、もしかしたら今が始める時かもしれません。交互片鼻呼吸法のようなテクニックは、ストレスを和らげ、集中力を高め、さらには全体的に呼吸が上手になるのに役立つものとなっています。
統合医療の専門家であるメリッサ・ヤング医師が、このヨガの呼吸法がなぜすこぶる体に良いのかを説明し、最高の効果を得るための具体的な方法を解説してくれます。
交互片鼻呼吸法とは何?
サンスクリット語でNadī Shodhana(ナーディ・ショーダナ)と呼ばれる交互片鼻呼吸法は、時にチャンネル・クリーニング・ブレス(経路浄化呼吸)とも呼ばれることがあります―そして実際、この2つの名前が、それがもたらす効果について多くを物語っています。
Nadīは全身を循環するエネルギーを指し、Shodhanaは浄化や清めを意味しています。つまり、ナーディ・ショーダナとは、エネルギーのチャンネル(伝搬経路)を綺麗にし、内なるバランスをもたらす一助となると言われているものなわけです。
「それぞれの鼻の穴を孤立させ、まず片方の鼻の穴から息を吸い、その後もう片方の鼻の穴から息を吐き出すことで行います」とヤング医師が言います。一人で行うためのステップ・バイ・ステップのガイドを紹介する前に、ヤング医師が健康上のメリットについていくつか説明してくださいます。
交互片鼻呼吸法のメリット
一般的に、呼吸法は心身の健康に良い影響を与えますが、交互片鼻呼吸法にはいくつか特別な効果があります。このテクニックがもたらしてくれる効果と、なぜ実践する価値があるかについて、以下ご紹介します。
ストレスを和らげる
人間の身体は、危険が差し迫っていないときでさえも、「闘争か逃走か」モードになることがあり得ます。これは交感神経系のせいですが、交感神経系というのはこの機能に対応した体の一部であり、ストレスを感じても活発になるものとなっています。
しかし、副交感神経系を活性化することによって、それに対抗することが可能となります。副交感神経系というのは、気持ちを落ち着かせ、リラックスさせるのに大いなる役割を果たしているものです。交互片鼻呼吸法のような呼吸法は、それを実現するための素晴らしい方法となります。
「身体がそのリラックスした状態になると、実際に治癒と修復とが始まってくれるんです」とヤング医師が語ります。「ストレスというものは多くの病状に関与していることが分かっていますから、神経系を落ち着かせることは、私たちの健康にとってとても重要なんですよ。」
ある研究では、交互片鼻呼吸法を12週間実践したところ、複数の男性参加者のストレスレベルが低下したことが報告されていました。また別の研究では、パートナーからの暴力に耐えた妊娠中の方々において、このテクニックがストレス軽減に役立つことが判明しています。
集中力とエネルギーを研ぎ澄まさせる
副交感神経系をリラックスさせるといっても、必ずしも伸びきった麺のようにのんびりし尽くすというわけではありません。実際、この特殊な呼吸法は、驚くほど活気づいた気分にさせてくれるものなのです。
「他のあらゆる呼吸法と同じように、交互片鼻呼吸法はとても落ち着くものなのですが、同時に、より明晰で聡明な集中力と、より高いレベルのエネルギーとにつながるものでもあると、きっとお気付きになることでしょう」とヤング医師が話します。
ある研究では、交互片鼻呼吸法は血圧を低下させる一方、覚醒度を高めることが判明しました。(そのため、この呼吸法を寝る前に行うのはベストではありません。眠りに誘うには、代わりに4-7-8呼吸を試してみましょう。)
全体的な呼吸を改善する
何かを練習することで、それが上手になる―呼吸法も同じです。「大多数の方々は、実際には本来必要とされている程には上手く呼吸ができていません」とヤング医師が述べます。
しかし、交互片鼻呼吸法は役に立ち得るものです。この呼吸法は、心肺機能、つまり心臓と肺が協力して十分な酸素を確保する手法を改善することが示されています。さらには、競泳選手が水中で呼吸持久力を維持するのにさえも役立つものなのです。
交互片鼻呼吸法のやり方
「始めるために、まずは、椅子でも床でもいいから座ってください。背筋を真っ直ぐ伸ばして座っていれば、どちらでも構いません」とヤング医師が説明します。
交互片鼻呼吸法のアイデアは、それぞれの鼻孔を孤立させ、片方から息を吸い、もう片方から息を吐くことにあります。以下が、この呼吸法の実践方法です:
- まず、「フシュー」と音を立てながら、口から息を吐き出します。
- 右手を鼻に近づけ、人差し指を左の鼻の穴に、親指を右の鼻の穴に当てます。
- 親指で右の鼻の穴を塞ぎます。左の鼻の穴から息を吸ってください。
- 人差し指で左の鼻の穴を塞ぎます。この時点では、両方の鼻の穴を閉じたままにしておきます。
- 両方の鼻の穴を塞いだまま、1~2拍息を止めます。
- 親指を離して右の鼻の穴のフタをはずし、息を吐き出します。
- 息を吐ききったところで一呼吸おきます。その後、左の鼻の穴を閉じたまま、右の鼻の穴から息を吸い込みます。
- 親指で右の鼻の穴を塞ぎます。両方の鼻の穴を閉じたまま、再び1~2拍息を止めます。
- 人差し指を離して左の鼻の穴のフタをはずし、息を吐き出します。
まとめると、左から吸って右から吐く;右から吸って左から吐く、ということなわけですね。息を吸ったり吐いたりしていない方の鼻の穴は常に、人指し指か親指で閉じておきます。
この過程を好きなだけ繰り返してください。ヤング医師は1回に5分間を推奨しています。
続けましょう!
最大のメリットを収穫するために、交互片鼻呼吸法を1日5分行うことを試してみたください。しかし、すぐにコツを掴むことができなくても、自分に優しくしてあげましょう。
「この特殊な呼吸法を覚えたり、実践したりするのは、必ずしも簡単ではありません」とヤング医師も認めてくれています。「しかし、実践し続けることで、健康とウェル・ビーイング(幸福な状態)にポジティブな影響が必ず現れることでしょう。」
このトピックについてもっと知りたい方は、Health Essentials Podcastのエピソード、"Breathwork for Beginners."をお聞きください。Health Essentials Podcastの新しいエピソードは、毎週水曜日に公開されます。
相変わらずヤング医師のあっさいあっさい補助解説は全カットでも問題なかった気がしますが(笑)、めちゃくちゃ分かりやすい方法ですね。
気分を落ち着かせると同時に覚醒作用もあるということで、眠る前には向かないとのことですが、逆に気分をシャキッとさせたいときに打ってつけの素晴らしい手法といえましょう。
そういえば関連した面白い小ネタとして、僕は確か高校生になるぐらいまでその話を聞くまで全く知らなかった(自力では気付かなかった)んですけど、鼻の穴は2つあるわけですが、実は、呼吸には1つの穴しか使われていないんですよね!
まぁ一度知ったら「そんなことも知らなかったの?遅れてる~」と思えるわけですけど(笑)、具体的には、人間の鼻は大体2.5時間サイクルで、右の穴か左の穴か、どちらを使って呼吸するかが切り替わっており、もちろん使われてない方の穴も、強引に使われている方を閉じて思いっきり息を出し入れとかすれば通ることは通るわけですけど…
(そうじゃないと、今回の方法ができなくなりますしね(笑))
…実際、自然な強さで鼻から息をスーッと吐き出してみると、指を片方側だけに当ててみればよく分かりますが、もちろんこれも「完全にゼロ」とは言わないまでも、大体99:1かそれ以上の比率で、「今現在稼働中の鼻の穴からだけ空気が出てくる」ことが実感できるのではないかと思います。
初めて知った時は感動して、周りの人に教えてみたものですが、案外知ってる人も多くて拍子抜けしたものです(笑)。
まぁだからどうというわけではないものの、その左右切り替えも恐らく神経によって制御されていると思いますし、そこを刺激することで良い効果が得られるというのが今回の呼吸法のポイントなのかもしれませんね。
多分来週には忘れてる気もしますけど(笑)、気分をスッキリさせたいときはこの交互片鼻呼吸法、ぜひ試してみたいものです。