…ほっときゃ治る、ってのが前回見ていた鼓膜記事でも既に触れられていた話でしたし、正味な話、鼓膜なんて破れるわきゃないですしさほど気にもならないわけですが(笑)、何気に前回の鼓膜記事よりも長めの単独記事が用意されていたため、まぁ何か興味深い話はあるかもしれない…ということで、せっかくなので鼓膜破裂について取り扱っているHEALTH LIBRARY記事(↓)を、今回は参考にさせていただくといたしましょう。
記事タイトル頭の「Rupture」は、普通に一般的な英単語で、そのまんま「破裂する・断裂する」って意味ですね。
(ゲームの武器なんかで、「ラブチャーなんちゃら」というのもよくある気がします。)
また、リンクカードのランニングタイトルにはありませんが、記事本文のタイトルは括弧書きで「Perforate」という語が使われていましたけど、こちらは「貫く・穴を開ける・突き破る」といった意味で、こちらは「パーフォレーション」で「歯に穴が開いてしまっている状態」を意味する、歯科用語として使われることが多い感じでしょうか。
ネタがないので単なる一般用語に触れてしまいましたが、早速参りましょう。
鼓膜破裂(急性の鼓膜穿孔)(Ruptured Eardrum (Acutely Perforated Tympanic Membrane))
鼓膜破裂とは、鼓膜に穴が開いたり破れたりすることです。鼓膜が破れると、聴力や平衡感覚に影響が出ることがあります。鼓膜破裂は多くの場合、治療しなくても回復します。しかし、時には、ダメージを受けた鼓膜を修復するために手術が必要になることもあるかもしれません。鼓膜破裂を防ぐ最良の方法は、耳を保護することです。
概要
鼓膜破裂とは何?
鼓膜は、外耳と中耳を隔てている柔軟な膜です。重篤な中耳炎に罹ったり、鼓膜を傷つけたり破損したりしてしまうと、鼓膜が破れることがあり得ます。鼓膜が破れると、聴力や平衡感覚に影響を及ぼしかねません。鼓膜破裂は多くの場合、治療しなくても回復します。しかし、時に、鼓膜のダメージを修復するために手術が必要になることもあり得ます。鼓膜破裂を防ぐには、耳を保護することがベストな方法です。
(※特にどうでもいい気がしますが、説明文に出てこなかった図内用語、Nerves to brainは「脳への神経」ですね。)
鼓膜破裂は身体にどんな影響を及ぼすの?
鼓膜は、聴覚系で働く多くの機能部位のひとつです。外耳が、鼓膜を振動させる音を集めます。鼓膜の振動は聴覚神経に信号を送り、聴覚神経は脳に信号を送ります。脳はその信号を音に変換しています。鼓膜が破れると、音を効果的に送信することができなくなるため、聴覚系がショートを起こした回路のような状態になってしまいます。
鼓膜はまた、水、細菌、皮膚細胞の残骸といった異物から中耳の保護もしています。破裂した鼓膜は、耳の感染症(中耳炎)を引き起こす細菌にとって、格好の標的となってしまいます。
時に、皮膚細胞やその他のゴミが中耳に入り込み、中耳嚢胞(真珠腫)を形成することもあります。この嚢胞には、中耳の骨に損傷を与える可能性があるタンパク質が含まれています。また、中耳嚢胞は中耳炎の発症リスクも高めます。
鼓膜破裂は深刻なの?
症例によっては、耳の穴や裂け目が自然治癒しない場合、鼓膜破裂が深刻な健康問題につながることもあるかもしれません。例えば、鼓膜破裂は以下のようなことを引き起こし得ます:
- 長期の難聴
- 長期の(回転性)めまい
- 長期のふらつき
- 耳の中で広がり得る感染症
- 永続的な鼓膜穿孔(穴)
症状と原因
鼓膜破裂の一般的な症状は何?
何かが耳に当たらない限り、聴力の変化や、耳から血や膿が滲出するなどの症状が出るまで、鼓膜が破れたことに気付かないこともあるかもしれません。一般的な鼓膜破裂の症状には、以下が含まれます:
- 突然の難聴。耳が聞こえにくくなったり、音がくぐもったように感じたりします。
- 突然の耳の鋭い痛み。
- 膿や血液のようなものが耳から排出される。
- 耳鳴り。これは、耳の中から聞こえる、羽音や鐘のような騒音です。
鼓膜破裂はどんな感じなの?
鼓膜が破れると、突然耳に鋭い痛みが走ったように感じられるかもしれません。これは通常、鋭利なもので鼓膜が破れたり穴が開けられたりした場合や、何かに耳を強くぶつけた場合に起こります。
何が鼓膜破裂からの耳漏を引き起こすの?
中耳炎があると、鼓膜からの耳漏が起こるかもしれません。破裂した部分から、感染由来の膿が流れ出る可能性があるわけです。
何が鼓膜破裂を引き起こすの?
鼓膜破裂の最も一般的な原因は中耳炎です。鼓膜が破れるかもしれないその他の原因には、以下が含まれます:
- 異物: 綿棒や、その他先のとがった小さい物で耳掃除をしたり耳のかゆみをかいたりすると、鼓膜が破れる可能性があります。また、投げた鉛筆が耳に当たったり、低くぶら下がっている小枝に走ってぶつかったりするなど、不慮の事故で鼓膜が破れることもあるかもしれません。
- 外傷: 誰かが耳を平手で叩いたり、耳や側頭部を非常に強く打ったりすることです。
- 気圧外傷: 耳管が詰まったり炎症を起こしたりすると、耳に気圧外傷を発症することがあり得ます。これが起こると、鼓膜と中耳の間に空気がこもり、気圧の変化で鼓膜が破れる可能性が高くなってしまいます。
- 突然の爆発音: 爆発音や銃声がしたときに近くにいると、鼓膜が破れてしまうことがあり得ます。
診断と検査
医療従事者は鼓膜破裂をどう診断するの?
医療従事者は、典型的には、耳鏡を用いて内耳を検査します。耳鏡は、鼓膜を観察するのに便利な光を発する器具です。聴覚機能訓練士と呼ばれる聴覚の専門家が、聴力や鼓膜の運動を測定する聴力検査を行うこともあるかもしれません。検査には以下が含まれ得ます:
- オージオメトリー/オージオグラム: これらの用語は聴力検査を意味しています。オージオメトリーとは、小さな音や様々な音の高低(ピッチ)を聞き取る能力を検査するものです。オージオグラムは、オージオメトリーの結果を図式化したものです。
- 鼓膜検査: この検査では鼓膜の動きを調べます。
管理と治療
鼓膜破裂は自然に回復していくの?
鼓膜破裂は多くの場合、自然治癒します。回復しない場合は、耳鼻咽喉科の専門医(ENT)に追加治療について相談するべきです。治療には以下が含まれるかもしれません:
- 鼓膜形成術: 担当のENTが、鼓膜の裂け目や穴の上に、薬入りの紙パッチを貼ります。やがて鼓膜が再生し、裂け目や穴が塞がります。
- 鼓室形成術: この手術では、ご自身の皮膚、軟骨、または体のその他の部位から材料を採取して、鼓膜の裂け目や穴を補修します。
予防
鼓膜破裂はどうやって防ぐの?
鼓膜破裂を防ぐには、耳を保護することが有効です。耳と鼓膜を守る方法には、以下が含まれます:
- 中耳炎の治療を受ける: 中耳炎の症状には、耳痛、鼻詰まり、発熱、聴力障害が含まれます。症状が数日以上続く場合は、医療機関にご相談ください。
- 丁寧な掃除: 綿棒やその他の物を使って耳掃除をするのはやめましょう―1本の綿棒でさえも、鼓膜というのは容易に破れます。代わりに、清潔な指や布の端で耳の外側をやさしく拭くようにしましょう。
- 飛行機耳を避ける: 飛行機耳とは、気圧外傷のことです。気圧外傷では、誰かが頭に綿を詰めてきたように感じられます。飛行機に乗っているときに飛行機耳になる可能性があります。飛行機の離着陸時の急激な高度変化で、耳に影響が加わることがあり得るわけです。あくびをしたり、ガムを噛んだり、気圧の変化を中和する特殊な耳栓をすることで、飛行機耳を避けることができる場合があります。
- 爆発音から耳を守る: 銃の発砲や爆薬の爆発といった爆発音の近くにいると、鼓膜が破れることがあるかもしれません。爆発音にさらされる可能性がある場合は、必ず耳栓やその他耳の保護具を着用するようにしましょう。
見通し/予後
鼓膜破裂はどのくらいで治る?
鼓膜が破れた場合、数ヶ月の治癒期間が必要になるかもしれません。痛み、耳漏、または聴力障害といった症状がある場合は、かかりつけの医療機関にご相談ください。追加治療が必要な場合もあるかもしれません。
受け入れる
鼓膜破裂が治るまで、どうセルフケアすれば良い?
一番大切なのは、鼓膜を保護することです。そのためには、以下を心がけると良いかもしれません:
- 鼓膜を乾燥状態に保つ: シャワーや入浴の際には、防水性の耳栓や、コットンボールにワセリンを塗ったものを使用してください。運動のために水泳をする場合は、他の方法で体を動かしてください。泳ぐことで耳に水分が入ると、鼓膜に影響を与えることがあり得ます。
- 耳掃除をしない: 優しい耳掃除であっても、鼓膜の治癒を妨げることがあり得ます。
- 鼻をかまない: 可能であれば、鼓膜の治療中は、鼻をかまないようにしましょう。アレルギー体質の方は、鼻詰まりを予防する方法について、かかりつけの医療機関にご相談ください。
鼓膜破裂の場合、いつ医療機関を受診すべき?
鼓膜が破れていることが分かった場合、数週間以内に症状が治まらないようであれば、医療機関に連絡してください。
鼓膜が破れた場合、いつ救急治療室に行くべき?
耳の中に異物が入ったために鼓膜が破れたと思われる場合は、救急治療室(ER)におかかりください。
医療従事者にどんな質問をすべき?
鼓膜破裂と思われる場合、以下が医療機関に尋ねると良い質問です:
- 私は鼓膜が破れていますか?
- 鼓膜が破れている場合、どのような治療が可能ですか?
- 鼓膜破裂が治るまで、鼓膜を保護するために何をすべきですか?
- どの時点で他の治療法を検討する必要がありますか?
クリーブランド・クリニックからのメモ
鼓膜は壊れやすい器官です。また、必要不可欠な器官でもあります。鼓膜破裂は、聴力や平衡感覚に影響を及ぼしかねません。また、鼓膜が傷付くと、細菌の侵入から中耳を守れなくなってしまうため、耳の感染症の危険性が高まります。そんなわけで、鼓膜を保護することは大切なのです。鼓膜破裂は通常、自然に治りますが、治るまでには時間がかかります。鼓膜が破れ、治っていかない場合は、必ず医療機関にお知らせください。手術が必要かもしれません。
まあまあ、特に目ぼしい話もありませんでしたが、爆発音ぐらいまで行くと、やはり音波だけでも鼓膜は破れてしまいかねないということですね(前回のまとめでは「大声程度で鼓膜が破れるわきゃあないでしょう」とか書いていましたが、まぁある意味音波だって空間を動かす物理的な力ですしね)。
耳掃除は今回もご法度とされていましたが、推奨としては「清潔な指で外側を拭く」って、一見「指なら耳をほじってもいいってことか…?」と思えたものの、「outside」とあったので、あくまで耳の外側のみということでしょうか……
「そんなん何の意味もないじゃん(笑)」と思えたとともに、「清潔な」という但し書きがあっても、指なんぞを掃除用途で推奨するとは、あんまり衛生的じゃなくて意外な気もしました。
(まぁでも埃や汚れがついている場合、「指で拭う」ってのは、手先の器用な人間の基本行為ではありますけどね。)
あまり大した話は期待できないものの、鼓膜関連には意外と程良い長さの独立記事が多かったので、次回からももうちょっと鼓膜に関するあれやこれやを見ていこうかなと思います。