話が広がりそうな脱線ネタも見当たらなくなってきたため、少しずつ元のネタに戻っていく形ですが、今回は、こないだの腸疾患・IBS記事で「セラピーのひとつ」として挙げられていました、Hypnosis!
ヒプノゥシスというこの単語もあまり見慣れない気はしますが、意味は「催眠」で、医療的なこの文脈ではズバリ、催眠療法って感じですね。
「催眠療法ぅ~?そんな怪しいのが、最先端医療機関のライブラリー記事にまとめられてるとか、ホントにぃ~?」と大いに気になるものです、一体催眠療法とはどのようなものなのか、今回も早速クリーブランド・クリニックのまとめ記事(↓)を参考にさせていただきましょう。
催眠療法(Hypnosis)
催眠とは、集中力が高まり、意識が一点に集められた状態のことです。訓練を受けた認定催眠術師または催眠療法士によって誘導される催眠は、人間の知覚、感覚、感情、記憶、思考、または行動を健康的に変化させるための暗示に対し、よりオープンになることを可能にしています。
概要
催眠とは何?
hypnotherapyとも呼ばれる催眠療法(※「hypnosis」だけだと「催眠」「催眠術」という意味にもなるため、「-therapy」と、「~療法」であることをハッキリさせる単語も使われる感じですね)は、深いリラクゼーションと一点に向かった集中の状態を指します。心身医学の一種です。
訓練を受けた認定催眠術師または催眠療法士が、言葉による合図、反復、およびイメージによって、被験者をこの深い集中状態とリラックス状態に導きます。催眠にかかると、この強烈な一点集中力によって、通常の雑念を無視することが可能となり、健康を改善する目的の変化を起こすための誘導暗示に対して、よりオープンになることが可能となるのです。
催眠療法はどう作用するの?
催眠の仕組みは完全には解明されていません。しかし、催眠療法で得られる深い集中とリラックスの状態は、一般的に以下のように考えられています:
- 意識的な精神が静まっていく。
- 思考、信念、知覚、感覚、感情、記憶、行動が発生する脳の部分に触れることが可能となる。
- この状態になると、催眠療法士からの穏やかなガイダンスを受け入れやすくなり、現在の行動の原動力となっている無意識の思考を修正したり、置き換えたりする一助となる。
催眠に関する俗説は何?
俗説:催眠術は本物ではない。エンターテイメントの一種だ。
- 催眠術は舞台上の演技や魔法のようなものではありません。臨床催眠は伝統的な医学的アプローチを含む治療計画の一部として用いられることが多い、医学的療法の一種です。
俗説:催眠術にかかると意識がなくなったり、記憶喪失になったりする。
- ほとんどの方は、催眠中に起こったことを全て覚えています。自分が誰なのか、どこにいるのか、催眠セッション中に何が起こったのかについての意識はあるままです。
俗説:催眠療法を受けているとき、催眠療法士のコントロール下に置かれてしまう。
- 催眠術師や催眠療法士は催眠を導きますが、催眠は自ら行うものなのです。自分の意志に反して何かをさせられることはありません。秘密にしておきたかった情報を明かしてしまうことはありません。自分の行動がコントロールできなくなることはありません。催眠は暗示を受けしやすくしますが、特定の経験を強制するものではないのです。
俗説:催眠は深い眠り以外の何ものでもない。
- 催眠は睡眠ではありません。催眠の中には、体が非常に安静でじっとしているため、眠っているように見えるものもありますが、眠っているわけではありません。
催眠療法はどんな症状の治療に役立つの?
催眠療法は、心理的要因が身体的症状に影響を及ぼしているあらゆる病状の治療に役立つ可能性があります。
一般的なメンタルヘルスの用途には、以下が含まれます:
一般的な医療用途には、以下が含まれます:
- 不眠症
- 喘息
- 更年期のほてり
- 過敏性腸症候群(IBS)を含む、胃腸障害
- 手術後、出産後、ガン、線維筋痛症、火傷、頭痛(片頭痛、緊張性頭痛)を含む、疼痛コントロール
- イボや乾癬を含む、皮膚疾患
- 吐き気や嘔吐を含む、ガン化学療法や放射線治療の副作用
催眠療法は、以上のものおよびその他多くの病状に使用できるよう、研究が続けられています。
催眠体験はどんな風に表現されるもの?
催眠は人によって種々異なる形で表現されます。「ぼうっとしている」ように感じたり、トランス状態―周囲の雑念を遮断できるほど集中しているように感じたりするかもしれません。これまで、テレビ番組に集中していたり、良書に没頭したりしすぎて、周りの家族の話し声や犬の鳴き声さえ聞こえなくなったことはありませんか?この経験は、催眠術をかけられているときの感覚に似ているものです。多くの方は、集中力が高まっているにもかかわらず、穏やかでリラックスした気分を感じると言います。ほとんどの方が、それを心地よい体験だと述べています。
手順の詳細
催眠療法では通常、何が起こる?
催眠には4つの段階があります: 誘導、深化、暗示、出現です。
誘導
この段階では、リラックスし、意識を集中し、雑念を無視し始めます。担当の催眠療法士が、この段階を通して、コントロールされた呼吸法(7カウントで息を吸い、11カウントで息を吐く)、または漸進的筋弛緩法(息を吸うときに筋肉を緊張させ、息を吐くときに筋肉を弛緩させることを、全身の筋肉群に対して一定の順序で繰り返す)もしくは視覚イメージに集中するといった特定のテクニックを使って導いてくれます。
深化
この段階は第一段階に引き続き、リラックスと集中をより深いレベルへと導きます。この段階では、カウントダウンをしたり、あるいは階段を下りたり心地よいベッドにゆっくりと深く沈み込んだりするような、似たような下降のイメージを使うことがよくあります。この最初の2つの段階は、暗示に対する開放性を和らげることを目的としています。
暗示
この段階は、経験、行動、または知覚を実際に変化させる段階です。担当の催眠療法士が、心像および注意深く選んだ言葉を用います。暗示は通常、症状に焦点を当てたもの(症状を解決するためのもの)か、探索的なもの(症状の始まりに関連する経験を探索するためのもの)です。暗示による変化は、知覚、感覚、感情、記憶、思考、行動に現れるものとなり得ましょう。
- 例: 禁煙するためには、タバコを吸いたくなるきっかけを特定することを学び、ポジティブな変化方法を知り、変化をもたらすリソースを理解し、パターンを破壊し、より良い反応を取り付け、違いに気付き、変化した行動をインストールすることを学びます。背後の鏡に映った肺が真っ黒な「古い」自分と、正面の鏡に映った肺がきれいな「新しい」健康な自分を見るように勧められることがあるかもしれません。そして、どちらの自分自身が好きかを選び、その自分に向かって歩くように導かれるのです。
出現
この段階では、催眠から覚めます。担当の催眠術師は、階段を上っているとか、数を数えているといった暗示を与えるなど、逆深化術を使うことがあります。
催眠療法は単独でやられる治療法なの?
催眠療法は通常、他のセラピーや治療法とともに、完全な総合治療計画の一部として用いられます。臨床の場で催眠療法を単独治療として、あるいは心理療法や伝統医学の追加治療として使用するかどうかは、催眠療法の使用と限界について訓練を受けた、公認の専門家と相談して決定します。
催眠療法の一般的な治療期間はどのくらい?
典型的な治療期間はありません。治療の内容は、問題の内容や程度によって異なります。催眠療法には多くのセッションが必要な場合があります。
リスク/メリット
催眠療法は効果があるの?
催眠療法は1700年代から使われているにもかかわらず、医学界では懐疑的な見方が続いています。しかし、催眠療法はより受け入れられ、治療法の形として認知されつつあります。催眠療法を診療に取り入れる、認定および免許を持った医療専門家の数は増え続けています。
催眠療法の有益性を裏付ける科学的証拠は限られていますが、増えつつあります。いくつかの研究は、「有望な」結果や「役に立つかもしれない」という結論を示しています。催眠療法の使用を支持する最も強い論拠は、催眠による疼痛、IBS、およびPTSD症状の治療に関する研究から得られています。ほとんどの医学団体や組織は、催眠療法の有効性について意味のある結論を出すには、もっと多くの研究が必要であるとしています。
催眠にかかることは誰でもできるの?
催眠をかけられるかどうかは、人それぞれ異なります。催眠に対する恐怖心や懸念が、催眠にかかる能力の妨げになることもあります。
どんな人が催眠療法の恩恵を最も受ける?
最も恩恵を受ける可能性が高いのは、問題を克服しようという意欲が高い人です。他の治療と同じように、催眠療法は特定の症状や特定の人に役立つこともありますが、役に立たないこともあり得ます。
催眠療法は、特定の人や特定の状況には不適切になる?
催眠療法は、幻覚や妄想を含む精神病症状といった、重度の精神衛生上の問題を抱えている方々には適切ではないかもしれません。また、薬物やアルコールを使用している人にも不適切となる可能性があり得ます。記憶を取り戻すための催眠の使用は、研究によってほとんど裏付けられていません。また、幼少期からのストレスフルな出来事に対処するための催眠の使用にも注意が必要です。こういった状況での催眠の使用は、特に意図しない暗示が与えられてしまった場合、誤った記憶を作り出す可能性があり、苦痛や不安を増大させることがあり得ます。
その他のよくある質問
催眠療法は危険?
催眠療法は、訓練を受けたセラピストが行えば安全な施術です。催眠療法はマインドコントロールや洗脳ではありません。担当のセラピストが、何か恥ずかしいことや自分がしたくないことを強制的にさせることは不可能です。
自己催眠は可能?
はい、自己催眠を実践することは可能です。深呼吸、心像形成、漸進的筋弛緩法、およびマインドフルネス(※瞑想に近い心理過程)のテクニックは、催眠と似たような働きをするかもしれません。これは、化学療法の副作用を抑えたり、頭痛など繰り返し起こる健康上の問題を解決したりするのに特に有用です。
睡眠催眠療法とは何?
睡眠催眠療法とは、催眠療法を用いて不眠症や睡眠不安といった睡眠の問題を管理することです。催眠療法のセッション中に眠れるようにすることではありません。睡眠催眠療法は、質の高い睡眠を妨げている根本的な問題に取り組む手助けをしてくれます。睡眠催眠療法は、不眠症に対する認知行動療法など、他の治療法とともに用いられることがあるかもしれません。
催眠療法士はどう選べばよい?
まず、医学、歯学、精神医学、心理学、ソーシャルワーク、看護学などの医療分野で適切な訓練を受け、免許を持ち、認定を受けた医療専門家を探しましょう。この施術者は、催眠と催眠療法技術についての更なる訓練を受けているはずです。催眠療法は、精神衛生および医療的トレーニングとともに、追加の治療手段として用いられるべきものです。受診しようとする施術者に、催眠療法の訓練、資格、および免許について尋ねるようにしてください。また、ご自身が治療を求めている症状について経験があるかどうかもお尋ねください。
お近くの催眠療法士を探すには、かかりつけの医療機関に相談するか、米国臨床催眠学会、臨床実験催眠学会、米国催眠療法士協会に電話するか、ウェブサイトを検索してください。
誰しも、安心できて信頼できるセラピストを見つけたいことでしょう。催眠療法士が自分に合わないと感じたら、ためらわずに別の療法士を試してみてください。
催眠療法の治療費は保険が適用される?
催眠療法が保険給付の対象になるかどうか、診療予約の前に必ずご自身の保険会社に問い合わせてください。多くの保険会社は、認可を受けた医療専門家による催眠療法であれば、その費用の50~80%がカバーされます。
クリーブランド・クリニックからのメモ
催眠とは、コアとなる思考、感情、知覚、信念に入り込み―訓練を受けた催眠療法士の指導のもと―ご自身の健康問題をよりよく管理するために思考パターンを変えることを可能にする、意識の変化です。催眠療法は全ての人に効くものではありませんが、あなたの役には立つかもしれません。催眠療法は、他の伝統的な精神療法や医学的療法に追加することで、強力な効果を発揮し得るものです。興味のある方は、かかりつけの医療機関に催眠療法について尋ね、この治療手段を提供していない場合は催眠療法士を紹介してもらうようにしてください。
意外と面白い記事だったといいますか、「うーん、でも何か怪しいなぁ、やらせじゃないの?」と思ったら「エンタメだと断じるのは俗説です」とあったり、とはいえ「懐疑的な見方をされることも多いです」「まだまだ研究が必要です」など、完全に分かっているわけではないことも示してくれるなど、流石はクリーブランド・クリニックのまとめだったといえる感じでしょうか。
やはりテレビ番組(昭和の頃の方が、そういうのは圧倒的に多かった印象がありますが、今でもたまにバラエティとかのワンコーナーである気もしますね)とかで、「1, 2, 3, ハイッ!」で、何かマジでヘビが絶対に触れないアイドルの子とかが平気な顔でヘビに触るですとか、そういうのを見ると、「これは凄いなぁ」などと思えますし、個人的には興味津々ではあるものの、やっぱり自分がかかってみないと何とも言えない気はしてしまうかもしれませんね。
アイキャッチ用の画像がなかったので、何か自分でできるいいツールはないかなと思い検索したら、Amazonの「hypnosis tools」ページ(↓)がヒットしてきました。
…どんなものがあるかと期待したら、グルグル渦巻きのメガネとか、光るブッダ像みたいな面白グッズしかない感じでガックリでしたが(笑)、まぁ、本当に試してみるならまずは専門家の施術を受けるのがベストといえそうですね。
いつか機会があったらチャレンジしてみたい限りです。