ピューラックスは偉大

それでは今回も、アンさんからいただいていたご質問コメントの続きを見ていく感じですね。


補足しておきたかったポイントのナイス質問提起、毎度感謝の限りにございます…!


(なお、こちらは最近の記事に対してではなく、もう割とずっと前の記事にいただいていたものであるため、その後の記事で解説していた話と被る部分もあるかもしれませんが、それは単に話の順番でそうなっているだけとでもいいますか、アンさんが理解せずに同じことを質問されているわけではない、ということにご注意いただければと思います。)

 

『食塩はNaClであるため、何をどう頑張ってもpHに影響を与えることができません。』

ということですが、では、水に溶かした時にpHに影響を与える物質もあるということですか?もしかして、それには「 H」が含まれていたりして…?(何も思いつきませんけど)

 
⇒これはズバリ、「水に溶かした時にpHに影響を与える物質」は、まさにまさしく「酸」「塩基(アルカリ)」だといえる感じですね…!


・pHというのは水素イオン濃度のことであった

→「酸」は水に溶けたら水素イオンをドバドバ増やすし、「塩基(アルカリ)」は水酸化物イオンを出す=水素イオンがガンガン減る(※)

→当然、pHがめちゃくちゃ変わる

…って話ですね。


(※)の部分も以前書いていたことの復習ですが、水には「H濃度とOH濃度の掛け算は常に一定」という性質があることから、水の中に水酸化物イオンOHがドバドバ増えると、水素イオンHがどんどん水分子に戻って減っていく=水素イオンが減る、というお話でした。

(なお、「なぜ酸は水に溶けたら水素イオンをドバドバ増やすのか?」という点については、こないだの「酸とは…」という記事で見ていた通り、「そういう性質のものを酸と呼ぶから」というだけの、いわば「理由も何も、勝手に人間がそうグループ分けしているのが酸という物質なだけ」って感じですね。)


なので、そういうpHを変える物質には「H」か「OH」が含まれていることがほとんどというのは、アンさんのご推察通りといえましょう(もちろん、ルイス酸であるアルミニウムイオンとか、一番簡単な見方であるアレニウスの定義だと、アンモニアNH3の解釈とかは解釈が難しくなるのですが、まあまあほとんどの酸や塩基にはH(例:塩酸HCl、酢酸CH3COOH、硝酸HNO3など)やOH(例:水酸化ナトリウムNaOH水酸化カルシウムCa(OH)2など)が含まれると考えて問題ないと思います。


ただここでややこしいのは、食塩NaClはpHに一切影響を与えないものの、塩(えん)の中には水に溶かすと酸性になったりアルカリ性になったりするやつもいる、って点もあるんですよね。

まぁそれはまさにこないだの「塩」の話(↓)で触れていた、かつ、割とどうでもいいポイントにも思えるので、深入りする必要もないような気がします。

con-cats.hatenablog.com
一応、酸や塩基のみならず、塩と分類されるものの中にもpHを動かすやつは存在する、って話ですね。

(そもそもがそんなの人間が勝手に決めたグループ分け・カテゴライズでしかないので、その辺はあんまりあれこれ悩んだり躍起になって覚える必要はないように思えてなりません。)

 

続いては、ちょうどその塩についての追加ご質問ですね。

とにかく、「塩(えん)」というのが全くイメージできなくて、「しお」としか思えないわけですが、更に食塩の塩が「しお」ではないような感じになってくると、、もうお手上げですね笑(最初からわかってませんけど)

しかも、洗剤2種の混合で発生する塩(えん)は家庭のお塩でしかないということも書かれていましたので、「しお」は「塩(えん)」であり、食塩の塩は「しお」でない…うーん…これはややこしさMAXです笑


⇒「食塩の塩が『しお』ではない」なんて書いたっけ…?…と思ったら、これは例の真水記事の、この辺の話のことですね(↓)。

ご質問の最後の部分「食塩の塩は、塩基性の塩とは無関係なんですね?」に戻りますと、これ……パッと見「いや無関係ではないような…」と思えたものの、食塩の塩は「塩化ナトリウム」の塩、つまり「salt」というより、塩素(chlorine)・塩化物(chloride)の「塩」であるため、そう考えると、塩基性(basic)の「塩」とはあんまり関係がないというのもその通りかもしれない、という気もしてきました。

…普通に「saltというより…」って書いてましたね(笑)。

これは正直ちょっとややこしい話にしてしまっていただけな気もしますが、改めて考えると、「塩素」の塩と言えなくもないかな…という感じからこねくり回したような無理くりな話だったともいえる話でしかなく、普通に考えたらやっぱり食塩の「塩」は「お塩」の「しお」と考えるのが自然な気もしてきました(笑)。


まぁこれはやっぱり、人類が生まれてからこの方、最も身近で代表的な「塩(えん)」はどこの食卓にもあるあの「食塩・お塩」なので、何といいますかもう「しお」と「えん」は切っても切り離せない、ほぼ同じものを表す言葉になっているといって差し支えないぐらい、ややこしさの極みみたいな話になっているのではないかな、なんて思えます。


事態をややこしくしてしまったことへの単なる言い訳かもですが(笑)、改めて、そんな用語とか分類とかは人間が無理やり設定しただけの穴があるものですし、ぶっちゃけ割と適当に考えても問題ない…というか適当に考えた方が上手くいくとさえいえる部分かもしれませんね。

 

一方、最後の「洗剤2種の混合で発生する塩(えん)は家庭のお塩でしかない」については、これは正直、例として見ていた洗剤の混合でできるのがたまたまただの塩化ナトリウム(と、毒ガスである塩素)だっただけで、必ずしも塩素系と酸性の洗剤を混ぜたらお塩ができるというわけではありません。


何か他にいい例はないかな、と検索してみたら、厚労省労働災害事例にありましたね。

anzeninfo.mhlw.go.jp

こちらは、ホテルの従業員が、お客さんに聞いた「シュウ酸が汚れ落としにとてもいいよ」という情報をもとに、ついつい塩素系の洗剤と混ぜて使ってしまって起きた事故(呼吸困難に陥いりはしたものの、幸い死亡事故にはならなかったようです)とのことですね。


シュウ酸(H2C2O4)と、塩素系洗剤の代表格・次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)が使われた場合、このような化学反応式で…

4NaClO+2H2C2O4 → 2NaC2O4+2Cl2↑+O2↑+2H2O

シュウ酸ナトリウムと、塩素ガスさらには酸素ガスも発生するという感じですね。


もちろんシュウ酸ナトリウムは「塩(えん)」の一種ですが、食卓に並んでいる「お塩」とはいえない、毒物及び劇物取締法では「劇物」と定められている物質(とはいえ、人体に危険なのは気体の塩素ガスですが)になります(参考:同じく厚労省の、安全データシートより)。

 

ところでこないだは触れなかったものの、塩素系洗剤の代表格・次亜塩素酸ナトリウムですが、もちろん酸と混ぜたらヤベェやつなんですけど、これ自体はとても優秀な洗剤・殺菌消毒液ですね。


僕は、そういえば書いたことはなかったかもしれませんが、学生時代アルバイトを2つしたことがありまして、1つが何度か書いている塾の先生、そしてもう1つが、通信添削教材の添削、いわば赤ペン先生的なやつになります。

受験生時代に受講していた大手通信添削コースから、大学合格後「添削業務をされませんか?」という案内が来たため、本社ビルだかに行って試験とお試し添削をやりにいったら無事採用されていたのですが、生来マメな性格であるため、1枚の添削に死ぬほど時間がかかって、多分時給に換算すると100円ぐらいになってた気がするので(笑)、大学院に入るぐらいの頃に「ちょっともうきついっす」と思ってやめてしまったのですが、まぁそんなバイト遍歴はともかく、その赤ペン先生業務で、「間違えたときに消すのに、ピューラックスがオススメです」という情報をいただいていました。


ピューラックスというのは、オーヤラックス社が製造販売している割と有名な殺菌消毒剤ですけど、何てこたぁない、これは次亜塩素酸ナトリウムの水溶液なんですね!

www.oyalox.co.jp
リンクカードに画像が表示されていませんでしたし、ちょうどアイキャッチ画像に使えるため、画像も貼らせていただきましょう。

https://www.oyalox.co.jp/b/b01.htmlより

これはもちろん、本来の用途は殺菌消毒剤なのですが、実は赤のボールペン(もちろん水性インクに限りますし、逆に色は赤に限らないですが)に対し、ほんのちょっとこれを付けて湿らせたティッシュみたいなのでポンポンと叩いてやるだけで、マジで消しゴムのように綺麗に文字が消え失せてくれるという、魔法のような用途もあるんですね!


まさに塩素パワーの凄まじさといえましょう。

 

ちなみに、塩素系洗剤というと怖い響きもありますが、上記公式ウェブサイトにはそこまでの記述がなかったものの、確かボトルにもそう表記されていましたし、↓の詳細利用情報にもある通り…

www.ocsweb.co.jp
なんと、生野菜や果物を直接漬けて殺菌消毒もできるという、大変優れものなんですね。


(あぁでも、生鮮食品の消毒には、「食品添加物認定」されている、「ピューラックス-S」でないといけないのかもしれません。僕が使ってたボトルには「用途:野菜や果物の洗浄」とあった記憶があるので、僕は「S」の方を買ってたのかもですね。)


もちろん消毒後はしっかり水で洗い流す必要があるものの、「えぇっ?!食べ物にすら使えるの?殺菌の力はガチで最強だし、赤ペンは跡形もなく消えるし(←割とどうでもいい(笑))、これは本当に偉大な液体だなぁ」と感動を禁じ得なかったものです。


塩素の漂白力・殺菌力は冗談抜きにバリ強なので、逆に、色物の洗濯で使ってしまうと悲劇になるぐらいだといえますけど、(特にこれからの高湿度の時期には)衛生的な生活には欠かすことのできない、素晴らしい商品だと思います(↑の説明記事にもある通り、業務用の清掃なんかでは、どこでも多用されている感じですね)。


添削時に大変お世話になったこともあり(ちなみにちゃんと掃除用の消毒剤としても使っていました)、おもむろに取り上げて宣伝してみたくなった次第でした(笑)。

酸性洗剤との混合だけには十分にご注意ですが、食品や食器の洗浄にも使えるというのに本当に隙のない殺菌力(および赤ペン消し力(笑))、本当に偉大なヤツですよピューラックス(次亜塩素酸ナトリウム)は……。


では、続きのご質問はまた次回見ていこうと思います。

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