周期表と仲良く(ネオンは貴ガス)

前回は改めて原子関連の用語をまとめていましたが、こないだ触れていた電子配置に関する話を踏まえて、今回からは原子の反応性、要は原子同士の関係なんかを見ていこうと思います。


その話をする上で大変便利なのが、例の原子が順番にズラッと並んだ周期表ですね。


以前の記事でも貼っていましたが、ウィッキー先生掲載の周期表、また再掲させていただきましょう。

https://ja.wikipedia.org/wiki/周期表より


色々な話を見てきて、各マスの数字はもうおなじみのものといえるのではないかと思います。


マス内左上の数字が原子番号で、これは陽子の数を表しているのでした。

その隣のアルファベットが当然元素記号であり、その下には日本語名・英語名が表記されていて、そして一番下の数字は原子の体重=原子量ですね。

原子量は、基本的には陽子の数と中性子の数の足し算なんですけど、原子の中には中性子の数の異なる同位体が存在するため、その存在比に応じた平均値を取るため、小数になっているのでした。


(なお、原子量は、その原子1モルの重さ(グラム)でもあります。

 モルというのは約6000垓(がい)個(兆・京の次が垓ですね)のことでしたから、つまり、水素原子を6000垓個集めたら約1グラム(正確に1モルの場合、1.00798グラム)、炭素原子を6000垓個集めたら約12グラムになると、そういうことですね。)


まぁここまではこれまでの話の復習でしたが、電子配置の話を見てきたことで、もうちょいこの周期表が親しみをもって見られるようになるわけです。

(こんなのと親しくなんて別になりたくねーですけど(笑))

 

結論というか重要ポイントからいいますと、周期表というのは縦のつながりがとても強く、この縦のグループは「」と呼ばれるわけですが(=第1族から第18族元素まであるということ)、要は同族元素は似通った性質を持っている、の一言に尽きます。


原子番号1番の水素から2番のヘリウムで、いきなり一番端の18族までワープするのもそのためで、右端の第18族というのは何を隠そう、「電子が各電子殻の満杯まで詰まって、超安定している原子」に他ならなかったのです。


一番小さいK殻は電子が2つまで入る格納庫で、ヘリウムは陽子2・電子2の原子であるため、K殻が電子で満たされており超安定という話でした。

その下の原子番号10のネオンは、これまた10個の電子=K殻2・M殻8で満杯であるため超安定、その下の原子番号18のアルゴンは、K殻2・M殻8・N殻8で、満杯ではないものの電子8個というのは実は安定なのでこいつも超安定……という感じで、この族は「電子がピッタリいい塩梅で入っている」グループであり、原子単独で安定している=他の原子と全く反応しないやつらになってるんですね…!


ちなみに第18族は「希ガス」と呼ばれるグループで、特徴としては以下のウィキップ先生記事にある通り……

ja.wikipedia.org

…って、えぇっーーっっ?!


なんと、「希ガス」という表記は既に過去の遺物で、まさかの、今現在は「貴ガス」という表記に変更されているとのこと…!


これは知らなかった……遺伝の「優性・劣性」→「顕性・不顕性」なんかは自分の専門に近いからか知ってましたが、まさか希ガスの名前が変わっていただなんて……

「気がする」の意味のネットスラング希ガス」の立場は一体ど~なる?!(心配する所そんなことかよ(笑))


ちなみに、「きがす」で変換すると「希ガス」しか出てこないわけですが、これももしかしたら新しい変換ツールだとちゃんと貴ガスとなるのかもしれませんね。


変更の理由としては、2005年に化学系命名ルールの世界的権威・IUPACの勧告により、18族元素を英語では「noble gas」と呼ぶように改められたのに伴う…というものだそうで、元々は反応性の乏しさから化学的に分離するのが困難であり「まれな」ガスであったことから「rare gas」という名前だったわけですが、これ、nobleという「高貴な」という単語から、英語的には全く別の名称に変わったのに発音としては同じ「きがす」のままでいけた日本語はある意味奇跡のようにも思えます。


そんな希ガス…改め貴ガスですが……ってうーん、違和感バリバリすぎてそう書きたくねぇ~と思えますけど(笑)、まぁ2015年からは高校でもそう教えるようになったとのことで、若者に迎合して以後変えるといたしましょう、その貴ガスは「不活性化ガス」とも言われる通り(また既に上で何度も書いていた通り)、他の原子とほっとんど反応しません。


その理由は改めて、「電子が格納庫に既にピッタリ非常に居心地いい状態で収まっているから」でして、結局化学反応というのはそのほとんどが電子のやり取りですから、

「ワシらちょうどいい数の電子持ってますねん。居心地いいから、電子は誰にもあげたくないし、もらいたくもない」

という感じで、誰とも反応せず、イオンになることもなく、原子単独で、自由な気体のままでい続けるわけですね。


(とはいえ、「非常に反応しにくい」だけであり、近年の科学技術の発展に伴い、当然、強制的に電子を移動させて他の原子と化合物を作ることなどには成功しているようです。

 上記ウィ記事にあった通り、最新の貴ガス化合物には、とうとうこの世の元素で最もイオンになりにくい「ヘリウム」をイオン化させて作った「Na2He(ヘリウム化二ナトリウム)」なんてのがあるようですね(2017年に初めて合成に成功)!)

 

ja.wikipedia.org

そんな反応性に乏しい貴ガスですが、特徴として、反応性は低いけれど、真空管に貴ガスを充填して放電すると、鮮やかに発光することが古くから知られています。


そう、まさに「ネオンランプ」で、ネオンサインの「ネオン」というのは何てこたぁない、原子番号10番、第2周期(周期表横のグループは「周期」と呼びます)・第18族元素のNeのことだったんですね!

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/第18族元素より

ウィキP先生が貴ガスの発光例の写真も載せてくれていました。

 

もちろん放電等の条件によって色も変わるというのは記事内に書かれている通りですが、貴ガスの最も用いられている応用例の一つでしょうか。

(とはいえネオンランプも、もちろん貴ガスの安定性から寿命は長いものの、今時はもう、ほとんどがより高寿命省電力なLEDに取って代わられているのかもしれませんが…)


ちなみに「18族を貴ガスと呼ぶ」と書きましたが正確には違って、そもそも僕が高校の頃にはいなかった、こないだから何度か登場している現在原子番号最後尾にいる118番オガネソンなんかがいつの間にか入っているなど正直もうめちゃくちゃですが、幻の不安定元素オガネソンのみならず、実はその上・第6周期の「ラドン」も、「おいおい18族は安定だったんじゃないのかよ」という話な気はしますけどそれは「他の原子との反応性に乏しい」という意味であり、実はこのRnラドンには、沢山の同位体中性子の数が違う原子でした)が存在するのに、安定同位体が1つも存在せず、その全てがいつか勝手に壊れる「放射性同位体」になっています。

 

ja.wikipedia.org

一番安定しているものでも、半減期3.823日の222Rnだそうで、4日もせず全体の半分がこの世からいなくなるとか、ラドンくそ雑魚すぎワロタ(笑)。安定18族の面汚しめが(笑)。

 

そんなわけで、18族でありながらこのラドンや、もちろん人類史上たったの5粒しか観測例のないオガネソンも、貴ガスには分類されません。


でもまぁ基本的に周期表の後ろの方ってぶっちゃけどうでもいいので、無視していいように思います(笑)。



…といった所で、もっと周期表の話を進めるつもりが、案外貴ガスのみで長くなりました。

例によって時間が中々ない日が続いておりまして、今回は短めですがこの辺で一区切りとさせていただきましょう。


他の族は特にそこまで語ることもないので、周期表については次回続きで書こうと思ってたことをちょろっと述べて、その後また途中状態だったご質問の方に戻っていこうかなと思っています。

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