陽子は合体できる?

前回は、いただいたご質問からおもむろに原子の構造なんぞについての話を進めていました。

 

軽くおさらいしておくと、「水兵リーベ…」で覚えさせられる元素が小さい順に並んだ周期表とかいうあのリスト、あれは何順なんだというのは、実は「1つずつ陽子が増えている並び」というのがその本質だった、というのが最重要ポイントで……

さらに、原子は電気的に中性なので、陽子と同じ数の電子も含まれているということ(電子はマイナスに荷電した粒子で、クソ小さいので重さの影響は無視してOK)……

そしてもう1つ、陽子とほぼ同じ重さの中性子なる輩も原子を構成する粒であり、「原子の体重」は「陽子と中性子の個数の合計」で表される、なんて話を長々としていました。


周期表は前回貼ったので省略しますが、例えば原子番号3番のリチウム原子でおさらいしてみますと、周期表に掲載されていたリチウムの体重(原子量)は「約7」でした。

このことから分かるのは、まずリチウムは陽子を3つ持つこと(なぜなら、原子番号3番なので)、そして電子も3つ持つこと(全体で電気の偏りはないため。あ、ここで、例えば電子が1つ失われたら、マイナスの電気がなくなった=トータルの電気はプラスに帯電ということで、この状態のものを「陽イオン(この場合リチウムイオン)」と呼ぶというのも前回のおさらいですね)、さらに、体重は7だということから、中性子が4つ含まれることも分かるわけです。


(なお、原子量の数字については、これは「いくつ中性子が含まれるか」次第であり、特に全く法則性も根拠も何もないため、覚える必要のある数字ではありません。

 化学のテストでも、必ず「なお、リチウムの原子量は7とする」みたいに、情報として与えられるものになります。

 とはいえ、水素=1、炭素=12、酸素=16とかは、学習を繰り返していく内に絶対覚えてしまうんですけどね、でもこれらは、少なくとも大学受験のような場では絶対に問われることのない、覚えなくても良い数字になっています。)


実は、ちょうど「中性子」のWikipedia記事に、そのリチウム原子の構造が分かりやすく図解されて載っていました。

お借りさせていただきましょう。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/中性子より

説明文にあるように、青が中性子で4つ、(以下はなぜか説明文に記載されていないという適当っぷりですが(笑))赤が陽子で3つ存在して、グレーの電子も3つが、陽子+中性子のいわゆる「原子核」と呼ばれる中心部の周りを飛び回っている…というのが、先ほどから考えていたリチウム原子というものを粒子レベルで模式図的に表したものになってるんですね!


説明文にも但し書きがある通り、電子の大きさは陽子・中性子より遥かに小さいので全く正しい縮尺ではないですし、3つの電子も必ずしもこの楕円軌道を描いて飛んでいるというわけでもないものの、基本的に、

原子核(陽子+中性子)の周りを電子がビュンビュン飛んでいる」

というのが、原子というものになっています。


なので、電子はビュンビュン飛んでいるわけため、周りの環境の影響を受けて勢いよくその原子自身が制御している領域から飛び出してしまうこともあるのです。

それが電子を1つ失った陽イオンだし、逆にどっかから電子が追加で入ってきて自分の周りの領域を我が物顔で飛び交い始めるようになったのが、電子を本来より1つゲットした陰イオンだと、そういう話になってるわけですね。


ちなみに、陽子は電子と比べると大変に大きい粒であり(電子の1800倍もの重さでした)、そう簡単には他人の原子に出たり入ったりすることは不可能なので、イオンというのは基本的に必ず、電子のやり取りによって生じるものになります。


つまり、陽イオンというのは電気的にプラスの物質ですが、これはパッと考えてそうなりそうな気のする「電気的にプラスの陽子が割り込んでくる」という形では決してなく、電気的にマイナスの電子が「サイナラ~」と自分の周りから去ってしまう結果生まれるものだといえるんですね。

(もちろん陰イオンは電子が入ってくるパターンで、こっちはまぁ普通に考えてもそう思えますけど。)


例えば水素イオンHは、水素原子から電子が1つ失われたものなわけですけど、これは決して、「陽子1個電子1個」で安定している水素原子に、どっかから陽子が1個割り込んで入ってくるものではないということですね。


これは考えたら当たり前で、「陽子が2個」のものは、原子番号2番のヘリウムなわけですから、陽子が割り込んできたらもうそれは水素自身ではなくなるといいますか、完全に別人になってしまうといえるわけで、それを「水素イオン」と呼べるわけがないのは当然だといえるように思います。


とはいえ、先ほど「そう簡単には陽子の移動は起こらない」と書いていたわけですが、「じゃあ、難しいのかもしれんけど、それは可能なんけ?」と思われる方もいらっしゃったかもしれません。


もちろん現代の科学技術を使えばそれは可能で、それはどんなもんかといいますと、恐らく言葉はどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか、ズバリ「核融合」がそれなんですね!

ja.wikipedia.org

なぜ核融合というのかは、もう明らかでしょう、原子の中心に鎮座している「陽子と中性子」のカタマリのことを「原子核」と呼ぶという話だったので、陽子を別の原子に合体させる=原子核を融合させるということだからですね。

 

また、類似の反応として、陽子を「くっつける」のではなく、ある原子の原子核そのものを「分ける」ことも高度な技術で可能であり、それはもちろん、何というものになるかはお分かりのことでしょう、こちらは「核分裂反応」と呼ばれるものになります。

 

ja.wikipedia.org

…と、用語の紹介だけしてみたものの、とはいえこれらはどちらも20世紀物理学の花形ともいえる極めて難解な話であり、僕も詳しくは解説できるような立場にないため詳細は省略させていただきますが、前者を応用したのが水素爆弾、いわゆる核兵器で、一方後者は原子力発電などで用いられる技術であり、どちらも人智を逸した莫大なエネルギーを生み出すものだということはどなたもご存知に違いなく、その凄まじさはその応用例を見るだけで窺い知れるものだといえましょう。

 

話が逸れましたが、軽くまとめてみますと、まず、電子のやり取りはめっちゃんこ自由に行われており、イオンという形で日常でも余裕で目にできるものである…

(例:食塩を水に溶かすだけで、イオンに分かれた状態の物質(ナトリウムイオンと塩化物イオン)を入手可能……そもそも数は少ないものの、水自身が既に、ごく一部、水素イオンと水酸化物イオンに分かれてますしね)

…一方、陽子のやり取りは基本的に元素自体が変わってしまうものであり極めて稀(高度な科学技術を用いて人為的に行われる、あるいは、遠い宇宙、太陽が熱を発し続けているのも、その核融合によるものだといえますが、地球上にはない現象ですね)…だという点に触れました。

 

では第三の粒子、電気を持たずに一番目立たない存在といえる気がする、中性子は…?


前回からもう何度も繰り返し、「リチウムは陽子3つに中性子4つだし、他にも例えば原子番号79番・体重197の金(きん・ゴールド)は、陽子79個・中性子118個を持つし、逆に一番小さい水素は中性子を持たないんですね」などと書いていましたが、中性子の数が違う原子というのは、電気的には中性の粒子なのでそんなに問題がなさそうにも思えるけれど、果たして存在するのでしょうか…?


…と、それが前回中途半端に触れていた「原子の体重=原子量が小数点になる」というポイントにもつながる話になるのですが、またまたちょっと時間がゲボクソなさすぎたもので、今回はほぼ何の説明・解説もしていない「核融合核分裂」の話しかしていないしょうもなさすぎる内容になってしまいましたが(笑)、続きは次回とさせていただこうと思います。


あ、一点だけ、「原子の体重=原子量」と書いていましたが、もう1つ似た概念の擁護として、「質量数」というものも存在します。

こちらは「陽子と中性子の個数の合計」という、何気に原子量より遥かに分かりやすい気がするものなのですが、前回貼っつけていたWikipedia先生の周期表が原子量を表示していたため、分かりやすい「質量数」ではなく、前回は「原子量」と書かざるを得なかった感じでした。


「陽子と中性子の個数の合計」なので、これは必ず整数になる上、考え方も非常に単純明快・ハッキリした概念なので、今後は「原子の体重」とかいうふざけた書き方ではなく(とはいえ、専門用語よりも、こういう分かりやすい表現の方が個人的には好きなのですが)、「質量数」と書くようにしようかな、と思います。

水素の質量数は1(陽子1個・中性子0個)、リチウムの質量数は7(陽子3・中性子4)、酸素の質量数は16(陽子8・中性子8)、金の質量数は197(陽子79・中性子118)…といった感じですね…!

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