(最初の2回を含めて)繰り返すこと早30回目となったこのシリーズ、1ヶ月もこんなしょうもない話を続けてしまっている形ですが、もうちっとだけ続きそうな感じですね。
とっとと終えられるよう、今回も引き続きVerywell familyによる55語記事(↓)を見ていくといたしましょう。
前回は合成語のセクションに入り5語一気に終わらせられるかと思ったら途中で終わってしまっていました。
残る3語も一気に見てしまおうと思います。
- Hangry - Hungry(空腹な)と angry(怒っている)の融合
- Requestion - Request(リクエスト・依頼)と question(質問)の融合、または再度質問すること
- Tope - Tight(めっちゃイケてる!)と dope(めっちゃイケてる!)の融合
今回最初はHangry、これは、意味を見ればあまりにも分かりやすい組み合わせのやつですね。
「お腹が空いた」のハングリーと、「怒り」のアングリー、どちらも小学生でも知ってるレベルの単語といえましょう。
しかし発音に関しては、もちろんカタカナでは区別がつかない(だから我々には区別が難しい)んですけど、angryの方は、例の「cat」の「ca」と全く同じ、日本人はなぜかキャットやキャップでだけ完璧な発音ができる例の音で、まぁあえて書くなら「ェアングリィ」って感じですかね。
一方hungryの方は、「cut」同様、「u」が「ア」っぽい音になるときの、発音記号でいえば「ʌ」ですけど(なお、catやangryなど、aで「ア」っぽい音になる場合、ほとんどが「æ」ですね)、これはまさに素直な「ア」と考えればいい音になりますね。
これがangryと結びついた結果、音としては(例によってcatが「キャット」で極めていい発音になってることを鑑みると)hangryで「ヒャングリー」といえばバッチリな形かと思います。
とはいえこんな謎語はあんまり会話では使われず、基本的にはテキストチャットでの方が使われていそうな印象があるので、音はどうでもいいかもしれませんね(もちろん会話で使う人もいることはいると思いますが)。
意味としては、解説不要の分かりやすさですけど、新語としてあえて書けば「腹ペコ」と「怒る」が合体した、「腹オコ」みたいな感じでしょうか。
もちろん今適当に考えた、誰一人使っていない、あんまり上手いこと言ってる形でもない造語なので、「みたいな感じ」ってのもおかしな話ですけどね(笑)。
ニュアンスとしては、そんな感じで「空腹と怒り」を一緒くたに表している便利な言葉だといえましょう。
Slang.netにもちゃんとエントリーがありましたが……
…あまりにも分かりやすい語ですし、特に追っての情報はないですね。
例によって、チャット型例文だけ訳して見ておこうと思います。
Make sure you bring some granola bars with you so you don't get hangry.
(腹オコ状態にならないように、グラノーラバーなんかを必ず持参してくださいね。)
特に目ぼしい表現もないものの、冒頭の「Make sure」なんかは、我々の不得手な「超平凡単語でイディオム的な使われ方」の例ですけど、これは日常会話でめっちゃんこよく耳にする「確かめる・必ず○○する・間違いないようしっかりと確認を」的な意味の、念押し表現ですね。
では続いての語にいくと、Requestion、これまた小学生レベルの基本単語の組み合わせなので大変分かりやすいですね。
「リクエスト」と「クエスチョン」の合わせ技で、Slang.netの方の説明を見てみると…
「A question that is actually a request(実際は要求になっている質問)」ということのようで、なるほど、「クエスチョンに見せかけて、その実ほぼリクエスト・命令に近い話になっているもの」って意味なんですね。
まぁ解説文の最初にもありましたけど、友人に「今クッキー食べてる?」みたいな感じで質問をしてるふりして、実は「今私クッキー食べたいんだけど、察しろ」と言ってるも同然な感じになっている…というのがこの「リクエスチョン」ということで、これは鬱陶しいやつかもしれませんね(笑)。
解説文後半では、
女性をステレオタイプ化するわけではありませんが、妻やガールフレンドというのは、自分がしてほしいことを伝える方法として、パートナーに何かを尋ねることが往々にしてあるというのはよく知られています。例えば、あなたの奥さんが、「暖炉にかけるマントル(前飾り)の準備はできた?」と言うことがあるかもしれませんが、これは実際、「あのマントルをかけてよ」と言っているのと同然なのです。
…などとありましたが、今の時代そういう偏見は良くないので、これはSlang.net先生が勝手に言っているだけの、ノーコメントの話とさせていただきましょう(笑)。
チャット型例文も大変分かりやすく…
I heard that requestion from Katie. You better do it or she might break up with you.
(ケイティからリクエスチョンを聞いたよ。やっておかないと、別れを切り出されちゃうかもよ~。)
…これも特筆すべき点はなしですね。
一方、Verywellの元記事には、補足として「再質問すること」という点も記されていましたが、これは、頭の「re」を、「再」を意味する接頭辞である「re-」とみなして考えたものだと思われます。
(replay(リ・プレイ)で、テープとかに録音録画された物を「再生する」とか、recycle(リ・サイクル)はサイクルを再び回すということで「リサイクル(再循環)」、reuse(リ・ユース/ユーズ)で「再利用(する)」、reproduce(リ・プロデュース)で「再生産(する)」など、枚挙に暇がない接頭辞ですね。)
とはいえSlang.netにはその意が挙げられていませんでしたし、どちらかといえば「質問のふりした要求」の意味で使われることの方が多いのかな、って気がします。
続いて最後はTope、こちらは面白いことに、既に触れていたスラング2語の組み合わせですね。
Tightがこないだのこちら(↓)で…
Dopeはシリーズの続編第一回(↓)で触れていた感じでしたか。
まさかの、どちらも全く同じ「クール!イケてる!カックイィ~!!」という意味であり(もっとも、Verywell記事ではtightの意味は違うものが記載されていましたが)、イケてるの2乗でイケイケ感あふれる単語ってことですね。
(とはいえ日本語で考えると、「トープ」とかぶっちゃけ情けない響き感が強く、まるでイケてない感じしかしませんが(笑)。)
こちらもしっかりSlang.netの方にもエントリーがありましたが……
これまた特に特筆すべき話はなさそうですね。
例文だけ見ておしまいとしましょう。
She told me she loves me!(あの子が好きって言ってくれた!)
Wow, that's tope, man. Congrats!(ワーオ、そりゃテンアゲイケイケじゃねぇかメーン。めでてぇ!)
今回は幸いサクっと終えることが出来たので、早速次の最終セクションに入っていきましょう。
合成スラングの次、最後を飾りますは、スラング大好きな若者といえばやはりコレに帰着するのか、「Parties, Drugs, and Sex」!
こちらは、カタカナにせずとも問題ないでしょう、ヤンチャな若者がガンガン楽しむ系の言葉という感じですね。
…と、あえて日本語にするのを避けたことからも明らかな通り(笑)、特に3つ目が、下ネタ苦手民としては中々触れづらいネタなわけですけど、リストの一発目がそのものズバリ、かつ隠語みたいな感じだったので、こちらに触れることで上手いこと代用させていただこうと思います。
- 53X - Sex
アルファベット順のリストなので、数字のこちらが一発目に来てくれて何よりでした。
解説は不要でしょう、「S」を似た文字である「5」にし、「E」を反転させた「3」にすることで、直接的に言及することを避けた、賢い表現(何が賢いんだよ(笑)と思えるものの、Slang.net先生の説明文の最後でもちゃんとそう書かれていますしね(笑))だといえましょう。
あぁ、せっかくなのでその最後に出て来ていた「clever」に触れておくと、これ、カタカナでもよく「大谷はクレバーな選手だから」とかいう感じで使われると思うんですけど、実はこの単語、日本語で「賢い」というのとはニュアンスが大分異なります。
「clever」という単語は「悪賢い・ずる賢い・小賢しい」というニュアンスがかなり強い単語であり、実は若干ネガティブな雰囲気をまとった語であるのです(なので、先ほどの解説文にはピッタリですね。もちろん純粋な褒め言葉で「利口だ」みたいな感じで使うこともなくはないと思いますが)。
そうではなく、純粋に「賢い・頭が良い」であれば、これは英語なら「smart」と言うのが間違いなくより適切な表現といえる感じですね。
まぁ、カタカナ語の「クレバー」は、ある意味和製英語で、みんなそういう「小賢しい」というニュアンスでは取らないと思うので日本語で使う分には問題ないとも思いますが、英語ではかなり意味が変わってくるため、正しい語を使った方が良いように思える場面といえましょう。
(なお、スマートはスマートで、カタカナ語だと「痩せている・スリムな」という意味がある印象も強いように思えるのですが、英語の場合その意味は全くないものの、それでも「賢い・頭の切れる・気の利いた・洗練された」という、大変ポジティブな意味合いの単語ですね。
その辺、以前の記事でも書いたことがあったような……と思ったら、やっぱり↓の記事でちょろっと触れたことがあった感じでした。)
本題に戻って、Slang.netの例文だけ見て今回はおしまいといたしましょう。
Did u know that they had 53x?(あいつらが53xしたって、知ってた?)NW!
(ウッソ、まっさかー!)
NW=No way! なんかも、日常会話で大変よく聞く「マジ?冗談でしょ?!ありえん!」「とんでもない!」「絶対嫌だー!」的な感じ(のみならず、「信じられないけど、凄いじゃん!」という称賛の意味でも使われることすらある感じですね)の、カジュアルフレーズですね。
ちなみにsexはもちろん「性別」という意味もあるので、公的書類にすら現れてくる単語ですけど、日常会話ならやっぱり「have 53x」的な、日本語でも使われるアダルトなあの意味になるのが普通で、普通に下ネタな、あんまり口に出して言うのは恥ずかしい単語なのは英語でもそうかな、って気がします(もちろん100%その意味になる日本語とは違い、英語では性別に言及する本来の用途もありますけどね)。
そんなわけで、次回以降、また続きの53X関連(とも限らず、パーティー系のスラングもありそうですが)の単語を見ていきましょう。