それでは、同じことを形を変えて書いているだけの前置きは程々に、早速イマドキ英語スラング紹介シリーズの続きに参りましょう。
今回も人間関係・人物描写関連語ですが、改めて元ネタはこちら(↓)、Verywell familyの55語記事を参考にさせていただいております。
今回は珍しく単語と意味の紹介のみならず、説明もかなり充実しており、例文まで紹介されていました。
まずはこちらを見ておくとともに、後ほどまたSlang.netのより詳しい説明も参考にさせていただきましょう。
ふ~むなるほど…Karenはもちろん女性の名前ですけど、不定冠詞の「a」がついていることからも分かる通り、これは特定のカレンさんを指しているわけではなく、ある特徴を持った人を総称して「カレン的な人」(といっても使い方としては「a Karen」のみですが)と呼ばれるものということですね。
そしてその特徴というのはまさに説明されていた通り、自己中極まりない横柄な中年女性を指すということで、これは……実際にKarenという名前の方が可哀想になるぐらい、超絶ネガティブな蔑称といえますねぇ…。
そもそも中年女性だけをターゲットにしている時点で、昨今のポリコレ的にそういうの大丈夫なん?とも思えるわけですが、蔑称系スラングにポリコレなんて関係ねぇ!…///という話なのか、バリバリ差別表現なのにかなり人気のスラングのようですね。
(「イイネ👍42」に対して「イクナイネ👎12」と、イイネの数がかなり多いのも、使う人が多いことの表れかと思います。)
まぁそういうことを書くのもアレですが、実際中年の女性にそういう横柄な人が多いのがアメリカ社会なのかもしれません(幸いにして僕は出会ったことがないというか周りにa Karen的な人は全く見かけませんが、改めて、スラングとして市民権を得ているぐらいなわけですし、「あぁ、まぁそういうクレーマー的な女性が多くいるのは、想像できるっちゃできるかもね」と思える感じですかね)。
もちろん語源としては、今時の中年世代にちょうど「Karen」という名の女性が多い、というのが由来…というか、多くの人がそういう横柄な女性を指して「Karenだなぁ…」と呼ぶことを「何か分かる(笑)」と思ったからこそ広まった語に思われるわけですけれども、日本語で似たようなのでいえば……あぁ、ちょっと考えたらパッと思いつきました、まさに野球掲示板系でネタにされがちの、「あっくん」が似たパターンの「固有名詞に特徴をつけて呼ぶ」系ですね(参考:ニコニコ大百科(↓))。
まぁこれもド直球の差別ミームで、実際に「あっくん」というニックネームをもたれている方からしたら「何でだよ(笑)」とたまったもんじゃないと思いますけど、あっくんの特徴としては、「団地住み」に始まり、「家の壁にマルフクの看板」とか、「何ソレ」と思って検索してみたら「…めっちゃ見覚えあるやつじゃねぇの(笑)」と笑えてしまいましたが……(参考↓)
…他には「階段が急」とかもあった気がしますけど↑のニコ百科のまとめにはなかったですが(それはふかわりょうさんのネタですね(=「お前ん家の階段、急だな」))、それはともかく、まぁニコ百科後半の解説文にある通り「育ちが悪そう、または差別されるような要素を盛り込んだネタ」なわけですけど、正直言わんとしてることは分かるというのもあるんですけれども、それ以上にあっくんの特徴があまりにも増えすぎて、矛盾要素が何ら悪びれることなく並列されまくっており(例:「親が居ない、親が若い、親が定年」とか)、「誰だよあっくん、最早矛盾した存在じゃねーか(笑)」と笑える面白さの方が勝っているネタに思えます(笑)。
…とはいえ明白に貧乏的な要素をネタにしているものなので、あんまりネタにするのも良くない話ですけど、英語で一番よく使われる差別的な「本来固有名詞のものに特徴付与して一般化」の例の一つは「Karen」だということですね。
結構詳しい説明がVerywellの元記事にありましたが、上述の通り、例によってSlang.net先生の解説もチェックさせていただきましょう。
やはり謎用語だけあってこちらも説明が充実しており、長すぎたため一部省略させていただきましたが、定義としては「An entitled woman」と、「エンタイトルド」とかカッコ良さ気ですけどこれはそんな大層な意味ではもちろんなく、一応「entitled」は「権利が付与された」みたいな意味が第一義ではあるものの、ここではそこから派生して「(自分は権利が付与されて当然だと思っているような、)甘やかされた・ワガママな・自分が特別だと思い込んでいる」という意味であり、メリウェブ辞書でいう2番の定義だということですね。
(なので、メリウェブの例文にもある通り、この語はしばしば「entitled children(何でも思うままにしたがる子供たち)」と、child/kid的な表現とともに使われる語といえましょう。)
Slang.netの説明も当然その通りになっており、「entitledな、特権や特別扱いを望む、怒りっぽい女性」を指すということですね。
例によってカレンさん、散々な言われようです…。
また、ここでは更に属性が追加されており、「自己中心的な白人女性、富裕層、中年女性の行動」を指してしばしば使われるものだ、とありました。
…まま、ポリコレ的には、白人・富裕層は差別してもそこまで叩かれにくい対象なので(もちろんその背景には、歴史的に差別する側だった、ということもあるとは思われますが)、今の時代でも割と気軽に使われている結構ストレートな蔑称なのかもしれませんね。
そして、途中の段落では「Karenの由来はどこから?」と、きちんと元ネタも紹介されていましたね!
こちらはなんと、巨大掲示板・Redditに2017年に書き込まれた、とある一(いち)男性ユーザーによる、「元妻のカレンがやっていたことでイライラすること」について投稿したたった1件のトピックが大受けした結果、元妻の名前である「Karen」がミームとして広まった…ということで、掲示板ネタが思いの外多くの人に受けて誰でも使う語にまで発展していく……というのは国を問わず見られる文化といえそうです。
(「あっくん」もそうですが、まぁこれはごく一部のネットユーザーしか知りませんし(笑)、そんなのが比較にならないぐらい、遥かに市民権を得て、本当に英語圏の若者の間でよく使われているスラングのようです。)
スクショで省略した段落では、「セントラルパーク・カレン」として知られる、2020年5月に起きた事件……まではいかずちょっとした炎上案件にすぎないのかもしれませんけど、セントラルパークにて「犬をちゃんとつないでくださいよ」と言ってきた黒人男性に対し、「いやあぁぁー、この人、私の命を脅かしてくるんですぅーー!」と警察を呼ぶ騒動にまで発展させて、ネットで総叩きにあったという「Karen」の話も紹介されていましたが、このように、特別扱いを要求するのに限らず、何事にも大げさで、こないだの記事(↓)でも触れていた「extra」な中年女性を指すこともあるのがこの「Karen」だ、と説明文にありましたね。
チャット型例文ですが、実はちょうど↑の記事の「Go off」で出てきた例文にこの「Karen」が使われていたので、今回のとそちらと、2つのチャット型例文を見ておくといたしましょう。
まず今回の例文は…
They should throw that man in jail for playing for money on the sidewalk.
(歩道で金儲けしてるあの男、刑務所にぶち込むべきだよ。)
Wow, you are acting like a real Karen, Linda.(おいおいリンダ、マジモンのカレンみたくなっちゃってるぜ。)
…と、やっぱり「そこまでカレンを悪く言うことなくない?レッテル貼りして差別するその行為の方が、よっぽど醜悪にも思えるけど…」とも一瞬思えるものの、まぁあっくんネタでキャッキャ笑ってる僕が言う資格はないでしょうし(笑)、スラングなんてのはそんなもんってことですね。
Go offの方の例文も、もちろんネガティブな使われ方ですね。
This Karen is about to go off on this poor waiter about her food.
(このカレン、自分の食事について、可哀想なウェイターに暴言を吐こうとしてるよ。)
とにかく文句を言ったり横柄な態度を取ったら即座に若い子らに「カレン」認定されるということで、その意味では「カレンと思われないようにしよう」と、公共の場で喚き散らすことへの抑止力になってる側面はもしかしたらあるとも言えるかもしれません。
(まぁ、周囲の目のある場所で大声でクレームをつけられるような人は、元々そんなこと気にしないともいえそうですが…。)
最後、Slang.netの方では、「Karen」の他にも、同じように特定の名前がある典型的な集団を表す一般名詞として使われている例が挙げられていましたね。
興味深いので、チェックさせていただきましょう。
意味だけで十分なものは、特に例文までチェックする必要もないので定義のみで良さそうですね。
「Kyle」は、これまたこないだ見ていた「basic」という語が使われていますが、「量産型のつまんない白人少年」を指す言葉のようで、解説文では、
「モンスターエナジーを飲み、ビデオゲームをし、ヘビメタを聴くのを愛しているような、つまんねぇ白人少年」
…と「別にそれぐらいいいじゃん、モンエナ飲んだりゲームしたりぐらい、そんなの少年の勝手じゃん(笑)」と思える感じでこれまた笑えたものの、まぁ由来はこれもネット投稿系みたいですが、「白人少年の喧嘩」というタイトルのネタ動画で、投稿者が画面外のKyleくんに向かって怒鳴ってる様子をアップしたものがその始まりとのことです。
検索したら普通に見つかりましたが、これがオリジナルの投稿ではないものの(元々は5秒程度のものを、繰り返し編集して、より面白くしている感じでしょうか)、これが元ネタ動画のようですね(↓)。
www.youtube.com
Kyleくん以上に、この動画自体が全然オモんねぇ~(笑)……ですが、まぁ英語圏の人には「あるある、こうやって怒るキッズ(笑)」と面白かったようで、これも瞬く間にミーム化したようですけど、「量産型で特徴のない白人少年」よりむしろ、「激怒している白人少年」を指してより使われることの多い表現である、とも書かれていましたね。
一方、同じ意味の女の子版・「典型的な没個性白人少女」の方は、「Becky」のようです。
こちらの由来はそこまでハッキリしないとのことですが、「ベッキー」はいかにも欧米圏の女の子っぽい名前ですし、これは何となく分かる気がしますね。
他にも、「Chad」なんてのも挙げられていました。
Chadは「A physically fit, overly confident man(体力に溢れ、自信過剰な男)」で、まさしく「Karen」の男性版といえる感じでしょうか。
もちろん軽蔑的な意味合いで使われる言葉で、いわゆる「アルファ・オス」(これも特にネットで使われる言葉ですが、「ボス猿」を意味する、集団の最上位の男性を意味する一般用語ですね)が、女性差別的な行為をしたような際に揶揄して使われる蔑称のようです。
(こちらもハッキリした由来は不明、とありました。)
…まったく、アメ公さんは、他人にレッテルを貼ってバカにしないと気が済まないんでしょうかね(笑)。
……ってまぁそれは、あっくんなりチー牛なり、日本語にも普通にありふれたものですし、世界共通のものなのかもしれません(笑)。
男2女2で蔑称の割合としては非常にバランスが取れていましたが、最後もう一つ、「Felicia」という女性名も紹介されていました。
こちらは、先ほどのKarenページのリンクをクリックしたら、少し違うこのエントリー(↓)に飛んだ形です。
こちらは「Bye Felicia」という形で使われることが多く、どうでもいい相手・鬱陶しい相手に対して吐き捨てるように「サイナラ~(笑)」と煽る感じで言うフレーズのようで、フェリシアさんは全く意味として何の関係もないようです(笑)。
例文が分かりやすかったので、こちらは例文をチェックしておきましょう。
K, I expect you to clean your room before I get back.
(…はい、んじゃ私が帰るまでに部屋を掃除しておいてね。)
Yea, OK, bye felicia!(あぁ~、わーったわーった、とっとと失せな!)
…と、「うるせーなクソが、とっとと消えろボケ」的なニュアンスの暴言、あるいは先ほども書いた通りどうでもいい相手に「はいサヨオナラ~、もう二度と来ないでねぇ~」みたいな煽り文句的に使うフレーズのようです。
(なお、例文最初の「K」は、「OK」の省略表現ですね。スラングとまではいかないものの、よく使われる略語といえましょう。)
由来はSlang.net先生の解説文にあった通り、1995年の映画「friday」の作中で使われていたものだそうで、よっぽど印象深い使われ方だったことが窺えますが、まぁこんなの絶対自分では使いたくもないと思える、しょうもないスラングといえる感じでしょうか(笑)。
…という所で、Karenから広がって名前系のスラングを見ていったら案外ボリュームが増えてまた1語で終わりとなってしまいましたけど、本日(現地時間3月12日・日曜日)からアメリカは待望のサマータイム!
これまで切り替わるたびに毎度触れていましたが…
…僕はサマータイムの方が断然好きなので、この「1時間シフト」は大変嬉しく、いわばブログを投稿するタイミングもアメリカ時間だと1時間遅くなる(=締め切りが1時間延びた)ので、多少時間にゆとりがとれそうです。
(…って、冷静に考えたら、本日は1日が23時間しかなく(=深夜2時になった瞬間に、時計の針は3時にワープ)、「1時間延びた」というのは厳密にいえば全くそんなことはなくむしろ逆に1時間減ってるんですけど、↑の記事でも確か書いていた通り、結局人間の行動は時計に左右されますから、体感では1時間延びたも同然だ、って話ですね。)
とはいえまだちょっと微妙に忙しい日々が続いているものの、まぁその辺の事情はともかく、スラングシリーズ・続きの語をまた次回以降、順番に見ていこうと思います。