続×13・英語スラングシリーズ:なぜ「Cap」で「ウソ」になるの?

早15回目となったイマドキ英語スラングシリーズですが、今回も前置きは抜きにとっととvery well familyによる55語紹介記事(↓)を進めていこうと思います。

 

www.verywellfamily.com

人間関係スラングで、(一気に触れようと思って)5語まとめて挙げていたもののラストまでようやく辿り着いた感じですね。

アルファベット順リストの、Cに入った所でした。一気にCで始まる3語を終わらせちゃいたい限りですが、まずは続きのこちらから見ていきましょう。

  • Cap - ニセモノまたはウソ

 

これはまさに、「簡単な単語が、別の簡単な意味で用いられている」という、お手本のようなスラングですね。

僕は知りませんでしたし、そんな用法を聞いた経験もなかった気がするものの(まぁ知らなかったので、聞いていてもキャッチできていなかっただけの可能性も高いですが)、イマドキの若者に大変よく使われているフレーズのようです。


例文や由来を垣間見てみるため、55語記事以上にここ最近お世話になっているSlang.netの方をまた参考にさせていただこうと思います。

 

https://slang.net/meaning/capより

説明としては一言、「Lie(ウソ)」で、これは元記事と完全に同じですね。


解説文最初の段落を見てみると、こちらは2018年頃から流行りだした言葉で、「No cap」という「For real(マジに)」や「No lie(ウソじゃなく)」を意味する真逆のスラング(まぁ「No」が付いてるから当たり前ですが)から派生する形で使われ出したようです。


そっちが元々のスラングのようですし、せっかくなのでそちらもチェックしてみましょうか。

 

https://slang.net/meaning/no_capより

…と思ったら説明文も「Cap」のそれとほとんど同じで、ほぼ同時発生的に流行を見せ始めたものだったみたいです。


ひとまず両者のチャット型例文を見ておくと……

He said you gave him the answers.

(あいつ、あんたが答を全部教えてくれたって言ってたよ。)

Cap!

(ウッソだー!)

  

I just saw a dude jump out of a moving car. No cap.

(走ってる車から飛び降りた野郎を見たぜ。ウソじゃねぇ。)

 

大変に分かりやすい使い方ですね。

 

一方、(両記事とも後半はほぼ同じ解説文になっていた通り)流行の火付け役となったのはNBAのスーパースター、ケビン・デュラントさんが2019年のツイートで用いたものだそうで、スターの言葉遣いが若者に影響を及ぼすってのは国の東西を問わずどこでも一定レベル見受けられるものといえそうです。

「Cap」記事の方にそのツイートのスクショが掲載されていたので、実際のツイートリンクを貼っておきましょう。


Fox Sportsの記者、クリス・ブルサードさんが、

「ウォリアーズはKDなしでもよくやっている。このまま優勝したら、KDにとっては悪夢であろう」

…みたいな、ケビン(KD)さんを馬鹿にするようなことを言ったのが事の発端だったようですけど、それについて非難されると、

「KDと私は愛憎関係にあるんだ。こないだも、人生、バスケ、メディアなどなどについて、2-3時間は語り合ったよ…」

というツイートをし、それに対しKDさん本人が、

「Cap. Cap cap....俺の電話番号すら知らないだろ、おっちゃーーーん」

…と返したのが↑のツイートのようですけど(ちなみにその後クリスさんは「今の時代は電話番号を知らなくても、インスタやツイッターのDMでも語り合えるんだ」と返していたようです)、まぁ日本語に例えると、大スターが「おいおい、真っ赤な800じゃねぇか!」とツイッターなりで発言し、その後「真っ赤な800」が「ウソ」を意味する若者言葉として流行した……って感じかもしれませんね。


僕はバスケにはあまり詳しくないので、KDさんは名前を知っているぐらいで、以前まとめサイトで超話題になっていて、スーパープレイ動画とかも見たことがあったのはステフィン・カリーさんの方でしたが……

ja.wikipedia.org

ja.wikipedia.org

なんと彼らは同い年で(一応、学年的にはKDさんが1つ下なのかもしれませんが、お二人とも1988年生まれですね)、NBA史上最高プレイヤーとの誉れ高い超絶スーパースターが同年代に2人も現れる(しかもチームメイトになる)ってのも、面白いものです。

(カリーさんを最初に知ったのは、アンダーアーマーのこのイベント動画(↓)だった気がしますが……

 

www.youtube.com

…流石は世界を代表するスーパースター、こ~れはめっちゃカッコいいっすね!

……と思いきや、実際カリーさん本人は当たり前なことしか…というかそこまで特別なことは言っておらず、むしろ何気にこの女の子の精神力が一番スゴない?…と思える気もするわけですが(笑)、それでもそれを可能にしたのはカリー神の後押しですし、ここに居合わせた全員が心打たれて甚く感動したことにはきっと間違いないと思いますから、こういう場を作れるのが正真正銘本物の大スターの証といえる気がします。)

 

話をcapに戻しますと、しかし、流行のきっかけを説明してくれてはいたものの、「なぜ『Cap』で『ウソ』になるか?」の説明はされていませんでした。


まぁこれは、例えば先ほども書いた「真っ赤なウソ」や「嘘八百」という日本語がなぜそういう意味になる(使われ方をする)のか?…なんてことを知っている日本人はほとんどいないのと同じで、例によってそこは気にする話でもないようにも思えるものの……


(なお、この辺も、語源辞典に当たればすぐその由来とされるものが分かる話とはいえますけどね…!

gogen-yurai.jp

 「真っ赤」は、「赤」という言葉自体が「明らか」と同源であること(読みも似ています)がポイントのようで、さらにはサンスクリット語の「マハー(maha)」に由来する説もあるが…という、ガセネタもしっかり掲載されていて面白いですね~。


 一方八百の方は…

gogen-yurai.jp

 「8」という数字が数の多いことを表す、仏教の考えからきたものと思われる…とのことで、そう聞けば納得ですね。)

 

…まぁそんな感じで、真偽はともかくそれっぽい説明を聞ければ満足できる(というか、覚える取っ掛かりになる)ので、検索してそれっぽい説明を探してみました。


ヒットしてきたのは、匿名掲示板の一種であるReddit (↓)で、こんなの「2ちゃんねる」みたいなもんですから正直ソースとして弱すぎる情報源ですけど(笑)、僕はむしろこの手の集合知の方が好きなので、割としっかり説明されていた気もしましたし、こちらを参考にさせていただきましょう。

www.reddit.com

なぜ「cap」はスラングで「ウソ」を意味するのか?私が読んだものは、結構理に適っているものであった。

dictionary.comによると、1990年代前半、「cap」は「brag(自慢する)」とか「exaggerate(誇張する)」という意味だったようだ。キャップとは、身につけるもの、あるいはボトルをカバーするもののことで、どちらも誰か/何かの頂点に装着するものである。つまり言い換えると、何かを誇張するときの「ピーク」や「トップ」に位置するものであり、それが高じて「嘘をつく」になったわけだ。

どうも、特に「no cap」という表現はともかくとしても、「cap」という語は今年になってこの使い方をひたすらよく聞くようになっただけで、実はこの語は1940年代から常に何らかの形で比喩やスラングとして使われてきたようである。

Dictionary.com:Green's Dictionary of Slangによると、1940年代時点で、to capは「to surpass(上回る)」という意味のスラングとしての利用が実証されており、cappingという儀式化された侮辱行為と結びついていたようだ(1960年代)。これらの用語は、capの「top(トップ)」や「upper limit(上限)」という意味に根ざしているようである。


なんと、この後にコメントが142件もついているかなり賑わっているトピックでしたが(流石はReddit!)、最初の段落の、結局「頂点に位置するものを使って、『誇張する・自慢する』という意味から派生したのではないか」という話で、まぁ言われてみれば恐らくそんな感じなんでしょうね、と納得できるものといえる感じに思えます。

(改めて、言葉の語源なんて、言った者勝ちとまではいわないまでも、ハッキリしたものなんて誰にも分かりませんしね。)


他についていたコメントも80年代を振り返ってワイワイ語り合ってるものなど色々とありましたが、まぁその辺は省略するとして、1つだけ目についたものに触れておきますと、「イギリス英語ではどうなん?」というコメントがあったのですが、これはどうやら「アメリカ文化に言及する時にしか使わないね。いちイギリス人より」みたいなレスが付いており、「Cap=Lie(ちなみに名詞としても動詞としても使われるようです)」は、アメリカ英語限定のスラングだといえそうです。

 

そんなわけで「ウソ」を意味するスラング「cap」についてでしたが、そもそも基本単語すぎて触れていませんでしたけどもちろんこれは(先ほどRedditの書き込みにもあった通り)「帽子」や、ビンとかの「キャップ」を意味する言葉ですけど、「キャップ」と書いていて改めて思い出した点が1つありました。

以前、この記事(↓)でも書いていた話ですが……

con-cats.hatenablog.com
「日本人、catの発音だけなぜか完璧すぎ問題」と全く同じ形で、我々は、日本語の特質からか、この「キャップ」という発音だけは完璧にできるんですよね(笑)。

例えばcapとbagは完全に同じ発音記号 [æ] なわけですけど、「cap」を「キャップ」と言うのはめちゃくちゃ自然に思えるのに、「bag」を「ビャッグ」と言うのは著しく大いなる抵抗感を覚えてしまい、どうしても「バッグ」としか言えない…というのは、日本人あるあるといえましょう。

「キャップ」と「カップ」を使い分けているように、もしも「バッグ」と「ビャッグ」も日本語として違いがあったならばまた話は違ったのかもしれませんが、こればっかりは意識して使い分ける他ないものといえそうですね。

 

…といった所で、またしてもわずか1語で時間切れとなってしまいました。

この先は全然話が広がらなさそうなものが多いので(そればっか言っててそうでもないことが多すぎますけど(笑))、次回からは続きをサクサク進めていこうと思います。

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