謎にいきなり始めていたGMATに挑戦シリーズですが、ここまででMath(数学)とIntegrated Reasoning(統合推論)の1問目のみのサンプルテストを見ていました。
正直、勝手に解いて勝手に「簡単すぎる、プゲラッチョ(笑)」とかバカにした感じで偉そうなことを抜かしており、「いや何なんコイツ…」と思えるまとめになってしまっていましたが…
(もちろんバカにしてる意図は一切ないんですけど、そうも取れるような書き方だったのは間違いない気がしますし、GMATは大学卒業者向けの大学院入試、かつ天下のMBAのセレクションなんだから、もっと専門的で高度な数学知識を要求されるものに違いないと思っていたため、大変意外ではあった感じでした)
…とはいえ実際日本人受験者の方には「できるだけ高得点、なるべくなら満点を…」ということが要求される科目のようですし、英語のハンデを加味しても、これは確実に正解しておきたいタイプの出題内容だといえましょう。
というか、問題になるとしたら数学の話よりも英語の解釈の方になるかもしれず、ちょうど、こないだの記事の最初の紅茶パックの例題に関して、毎度大変ご丁寧なメッセージをいただけるアンさんから「(もちろん日本語の方で)チャレンジしてみたけど、問題文自体がごちゃっとしており中々理解が進まず、悩んでしまった」という感じのコメントをいただいていたのですが、こればっかりは実際の問題文どうこうというより、和訳した僕が悪かった感じですね(笑)。
自分の目からはより分かりやすいように、ちょっと自分流に「セット商品」みたいな単語をあえて勝手に足したりとかもしていたのですが、それがむしろ仇になって「セット?どゆこと??」となってしまっていたようなんですけれども、まぁあくまで問題文は英語ですし、あの日本語は僕が自分さえ分かればいいやとバァーっと訳したものだったので、(「クッソ簡単すぎ」などと勝手に評してしまっていましたが)もし多少なりとも悩まれたとしたら、それは問題文の書き方が悪かったの一言に尽きる形かと思われます。
以後はもうちょい実際一緒に解かれてみる方のことも考えて、より分かりやすい問題文になることを心がけたい限りです。
…と、またもや前置きが長くなってしまいましたけど、早速サンプル問題の続きに参りましょう。
改めて参照元・The Princeton Reviewのリンクを貼らせていただきましたが、まずは途中状態になっていた、推論問題の続き・2番からですね。
前回終わりにもチラッと書きましたが、これこそまさにヤベェレベルの、ゲボクソ簡単すぎるヤツ…??
Sample Integrated Reasoning Questions
Item 2:
The bar chart above displays the population of the United States according to official census figures every fifty years over a 150-year period.
Question 2-1 The ratio of the U.S. population in 2000 to the U.S. population in 1900 is closest to __.
(A) 1 to 4
(B) 2 to 7
(C) 2 to 1
(D) 3 to 1
(E) 11 to 3
Question 2-2 The U.S. population in 1950 was approximately __ of the U.S. population in 1850.
(A) 800%
(B) 600%
(C) 200%
(D) 85%
(E) 15%
Question 2-3 The U.S. population increased by approximately __ from 1900 to 1950.
(A) 25%
(B) 33%
(C) 50%
(D) 100%
(E) 200%
(和訳)
上の棒グラフは、過去150年間の、50年ごとに行われた国勢調査によるアメリカの人口を表している。
問2-1: 2000年のアメリカの人口と1900年のアメリカの人口の比率は、 ○ 対 ○ に最も近い。
問2-2: 1950年のアメリカの人口は、1850年のアメリカの人口の約 %であった。
問2-3: 1900年から1950年にかけて、アメリカの人口は約 %増加した。
⇒いやいや、こんなのマジで紛うことなき小学生レベルの問題やんけ!
冗談抜きに、百分率を習ったばかりの小学校のテストでも違和感ない話に思えてビックリしちゃいましたが、これはどうなんでしょうね、もちろんこういったデータ解釈が出来ないとMBAなんて取得できるはずもないのは当然のこととはいえますし、いわゆる「禁忌肢」問題扱いでもいいんじゃないか、とすら思えるかもしれません。
禁忌肢ってのは、医師国家試験や薬剤師国家試験で見られる、「この間違いを犯したら人命に関わる重大なことになるので、これを間違えた時点で、他がどれだけ満点でも自動的に不合格にします」という「これだけは絶対に間違えてはいけない」という問題(選択肢)なわけですが、まさにそのレベルで、こういうグラフを読み解けない人はMBAの適性がゼロといえますから、間違えた時点で申し訳ないけど門前払い……とはまぁ実際にはなってないと思いますけど、そうでもおかしくないぐらいの基本問題に思えました。
解説することも特にないぐらいですが、まず問2-1は、これは一瞬悩むとしたら比の対応関係ぐらいに思えますけれども(特に、小5の百分率で習う「比の値」とか、比べる2つのどっちを分母にすればいいのかしばしば迷った記憶があります)、これはむしろ英語の方が分かりやすく、問題文は「(2000年の人口) to (1900年の人口)」で、回答選択肢も「X to Y」と、どちらも「to」でつなげられているので、単純に左に来る数字が2000年、右に来る数字が1900年のものを考えれば問題ナッシングですね。
グラフを見ると、2000年が275ちょいオーバー(実際は2億7500万ですが、比を取るので桁は無視してよいでしょう)、1900年が75なので、275 to 75、まぁサクッと25で約分して、11 to 3の(E)が答ですね。
続く問2-2も、冗談だろ?ってぐらいの問題ですが、1950年の「150」は、1850年の「25(よりちょっとだけ少ないけど)」の何%にあたるか…で、150は25の6倍なので、600%……いやまぁ「6倍というのは600%のこと」というのも、最悪、パーセントとかを習いたての子だとパッとは出てこないかもしれないものの、「0.5倍は半分だから50%、1倍はその数字そのものだから100%、じゃあ2倍は200%だし、3倍は300%だな」と順番に考えれば容易に想像がつきますから、ちょっと考えりゃ分かる、ってなもんですね。
ということで、正解は(B)の600%でした。
問2-3は、ああ、まぁ「元の何%」と「元から何%増加」というのは、ひっかけとまでは言わないまでも、一応注意しないとやらかしちゃう可能性があるっちゃあるかもしれませんね。
1900年に「75」だった人口は、1950年時点で「150」に倍増していましたが、改めて、ここはさっきの問題とは違い、「何%の増加か?」なので、75が75増えて150になった、つまり、元と同じ数=100%増加したということですから、正解は(D)の100%という感じですね(さっきと同じ考えをすると選んでしまう200%というのが選択肢にしっかり存在しているのも、意地悪な出題者というか何とも憎い感じです(笑))。
棒グラフを見た瞬間、おっ、これは複雑そうな問題なのかな?と思ったのですが、実際は衝撃の難易度でした。
…って、結局何か「簡単すぎて爆ワラ」みたいな、何とも偉そうというか「自分にはこんなレベルの問題余裕すぎるわけですが」という鼻持ちならない感じのニュアンスになってしまいましたけれど、しかし改めて考えてみると、まぁたまたま自分はこの手のトレーニングを積んだことがあるだけで、教わったことがなければ・訓練したことがなければ、自力では絶対解けなかっただろうし、そういえば教わったばかりの最初期は、紅茶で考えていた組み合わせの計算然り、シャツと帽子で金額ピタリになる個数を決める不定整数方程式然り、今回の百分率の考え方然り、実際全然分からなかったというか、すぐには理解できなかったよなぁ…なんてことを思い出しました。
改めて、今でこそ楽勝すぎてバカにしているぐらいであるものの、よぉ考えたら僕自身最初は自力で解けないどころか説明を聞いてもてんで理解できなかったぐらいなので、もし仮にこれまでの問題が分からなかった方がいらしたとしても、それは頭が悪いとかそういうことじゃなくって、単に練習をしたことがなかっただけに過ぎないと強く思えます。
「中学生でも解けるよね?」「小学生レベルやんけ!」と好き勝手書いてしまいましたが、実際僕は例えば小学校の家庭科で習った「半返し縫い」とか「かがり縫い」とか、今いきなりやれと言われたら絶っっ対にできませんし(説明を2, 3度聞いたとしても、しばらく自力では不可能)、結局全ては慣れなんですよね。
なので、あんまり自分の得意分野で偉そうに「誰でもできる、簡単すぎますね」と書くのもよくないなぁ、と、今さらながら少し反省した次第です。
ちょうど、「昔は解けなかっただろうなぁ」ということを考えていたら思い出したネタとして、ずーっと前の記事(↓)で触れていたサリー・アン課題やアイスクリーム屋課題なんかが浮かんだとともに……
もう一つ、ずっと前ネットで話題になっていた時に見た、中高生対象の何かの読解問題で、正答率が大変低かったと報道されていたものが思い浮かびました。
詳細は覚えていなかったものの、幸い「Alex」と「アミラーゼ」というキーワードは覚えていたので検索してみたら、当然見つかりましたね…!
せっかくなので、上のツイッターまとめで貼られていた画像にあった問題文から、名作に思えるそのAlexとアミラーゼの2問をテキストに起こさせていただきましょう。
Q1. Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。
空欄補充問題: Alexandraの愛称は( )である。
A. Alex
B. Alexander
C. 男性
D. 女性
Q2. アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。空欄補充問題: セルロースは( )と形が違う。
論理的思考力を問う、す~ごくいい問題に思えるため、何気に大人でも間違えるのではないか…と思えますし、ぜひチャレンジしてみていただきたいですが、とりあえず、中高生の正答率的に、Q1の方が簡単で、Q2の方が難しいというのは間違いないですかね。
Q2は、まぁ僕は専門という訳ではないけれど近しい分野なので、実際に物質を知っているというチートができてしまう……というか、厳密にいえばセルロースはA-Dのどれとも形が違うので問題としておかしいとも言えるんですけど(笑)、この場合そうではなく、「この文章から言えることは?」というのがポイントですね。
(参考:この辺の糖に関する話、更にずーっと前の「楽しい有機化学講座」で触れていました(↓))
…といった所で、問題の解答に参りましょう。
まず、アレックスについてですが、これは流石に大人が冷静に考えれば分かると思えるものの(まぁそう書くと、万一間違えてしまった方に「見た目は大人、頭脳は子供!」と言ってしまっているようなものなのでよくないと反省したばかりですが…)、むしろ形を変えて、「中高生(特に中学生)は何と一番間違えたか?」というのも面白い問題かもしれませんね。
まぁ問題自体の答としては、当然、Alexandraのニックネームは、文中で紹介されている通りAlexなので答えは(A)になりますけど、togetterのリンク先の元画像にある通り、中学生の3人に1人が(D)の「女性」を選んでしまったとのことです。
これは結局、問題文中の「女性の……愛称である」という部分だけを見て、途中の部分はもう無視して単純にそのまんま見た目的にそうなってそうな・いけそうな・正しそうなものを選んだ結果だと思いますけど、これは詰まる所、文章の意味を理解していない(しようとしていない)だけ、下手したら「愛称」という意味が分からなかっただけ、っていえる気がしますね。
もしかしたら、「ニックネーム」や「あだ名」だったら、愛称よりも意味が取りやすいですから、意味を込みで文章を読めて正解できる生徒たちが増えていたのかもしれません。
続いてのアミラーゼ問題ですが、これは中学生の正答率わずか14%、高校生でも33%で、実際僕も、小学生だったらほぼ間違いなく確実に、中学生でもまぁ多分辿り着けなかったかな…ってぐらい、とてもよく出来た難しい問題ですね。
どう解説するのがいいか難しいですけど、生物・化学的な話を出すのも邪道に思えるものの、まずアミラーゼは多糖を分解する酵素であり(なので、アミラーゼ自体は酵素=タンパク質)、多糖というのは(例の有機化学シリーズで見ていた通り)糖の最小単位・グルコースという単糖がつながってできたものであり、この多糖グループのメンバーとしては、デンプンやグリコーゲン(どちらも大量のグルコースが、α-グリコシド結合でつながっている)やセルロース(β-グリコシド結合でつながっている)なんかがよく知られているものですね。
(より正確にいえば、アミラーゼは、α-グリコシド結合のみを切断する酵素)
まぁそれを踏まえると分かりやすいといいますか、同じグルコースがつながってできた多糖類であっても、セルロースとデンプンは形が違うということになるので、結局答は(A)になるわけですけど、これもやはり、論理うんぬんというより、文章で記述されている対象に興味がないというか知識がないと、マジで謎の文字列に過ぎないわけで、ぶっちゃけ↑の段落の(丁寧に記述したつもりの)説明ですら、初見の中学生が見たらイミフにも程がある感じではないかと思います。
例えば「★という■は、▲がつながってできた●を分解するが、同じ▲からできていても、形が違う◆は分解できない。」という完全なる暗号文だと難度は一気に跳ね上がるわけで(といってもこの場合、下手したら余計なことを考えずに済むこっちの方が正答率が上がる可能性はあるかもしれませんが(笑))、結局「意味が分からないと論理構造も追えない」というのは真理に思えますから、何事も意味・中身を考えて理解することが大事だといえましょう。
この問題は、大人でも絶対に正答率が100%にはならないと思いますし、基本的に複数の項目が複雑に絡み合う論理構造の文が難解なのは間違いありませんから、僕もダラダラと長ったらしい文を書いてしまいがちなので、仮に全体が長文になってしまっても、少なくとも1つの文単位で見ればより多くの人が楽に理解できるような文章を心がけたいものです。
(…って、この文(↑)自体が既に論理構造が入り組んでてややこしいにも程がありますが(笑))
ってな所で、今回もちょっと時間・分量的に結構なものになってしまったので、続きの、まさに論理力が問われる、かつそれを英語でやらされる、GMAT最難関といえる言語科目については、次回見ていく形とさせていただこうと思います。
既にちょっと解いてみましたが、少なくとも数学や今回のしょぼグラフ問題よりは、明らかに難しい感じですね!
とはいえ無駄に引っ張るほどのものでもないですし、サクッと終わらせていきたい限りです。