脱線ばかりで遅々として進まない状況が続いていましたが、途中状態になっていたコメントの続きに早速参りましょう。
(アンさんよりいただいていた該当コメント、もう複数回目ですが改めて再掲しておきます。)
単数形と複数形でいつも迷うやつ…というか、最近知ったんですけど、、personとpeople。
これ、常に使ってるのに全く意識していなかったのですが、
1人ならone person
2人ならtwo people
って、不思議ですよね。
普通に「Two persons?」とか言っちゃってましたけど、まぁ通じますしね笑
そして更に、
全員ならeveryone?
peopleは複数扱いなのに、everyoneは単数扱いなんですよね?
例えば、
全員の教科書なら、everyone's textbook
textbookは単数形ですか?
全員の教科書を持ってきてくださいなら、
Please bring everyone's textbooks.
こうなると、教科書は複数形になるんですか??
しょうみ、口語で複数形にしたことあるかな?っていう感じですけど笑
やっぱりいろいろ難しいですね。
⇒こちらのコメントに触れていた前々回では、
「『全員』を指す際、個人的には『all』もよく使う」
…ということに触れ、その後メールのあいさつ文から「guys」なんかに話が逸れていたわけですけれど本題に戻ると、「全員の教科書」は、全員が一冊の教科書を共有するというあり得ない場合を除き、textbookはやはりtextbooksになるはずですね。
everyoneは形式上単数であっても、「単数複数は、その名詞そのものの数を表す」というまさにこないだあまり関係ない場面でしていた(やや当たり前な)話の通り、textbookの方は当然複数が想定されるので、everyoneが単数であることには何ら関係なく、こちらは複数形で表される形だといえましょう。
そして全体としては「everyone's textbooks」で全く問題ないものの、例によって「全員」を「all」で表す場合、これは何となくの印象でしかないのですが、「all」という語単独を所有格=「all's」という形で使うのは、まぁなくはないんでしょうけど、何となくあんまり聞かないかな、って気もしちゃいますね。
普通は、「textbooks for all」という感じでしょうか。
ただ、「all's」というつながりが違和感があるだけで、あえて全ての「誰」かを明示した場合=例えばall studentsなんかを使う場合は「all students' textbooks」でもまぁ、少なくともall's booksよりは違和感が小さい気がしますね。
(とはいえこの場合も「textbooks for all students」の方が流れとしては自然かなという気もしますが、これは別にそんなことはないかもしれません。
さらにいえば、「textbooks for everyone」も、普通に使える形といえましょう。
…とはいえ、all'sはやっぱりあんまり聞かない気がするものの、その他の名詞をこのように言いたい際、所有格かそれともforやofを使って表すか…みたいな微妙な差異や実際どちらが優勢なのかについては、僕にはよく分かりません。
でも確実に言えることとして、「どっちでも問題なく通じる」ってのは間違いないように思います。)
そんなわけで、普通に「全員分の教科書を持ってきてください」なら、「Please bring everyone's textbooks.」で全く無問題、おけまる水産といえましょう。
という所で、こないだの記事では「メインネタとして後ほど…」と書いたままドンドンあらぬ方向へ脱線してしまっていた(笑)、前半の、two personsの話に戻っていこうと思います。
こちら、個人的には実際two personsはやや違和感があるというか聞かない気はするものの、その辺を非ネイティブの感覚だけで語ってもアレなので、早速またQ&Aフォーラムの集合知をお借りさせていただきましょう。
検索したら、Quoraの記事がヒットしてきました(↓)。
www.quora.com
相変わらず「関連質問への回答」が本来の回答より優先して表示されることが多いなどよくシステムの分からないQuoraですが(並び順も、必ずしも閲覧数順でもスコア順でもなさそうですしね)、とはいえ今回は関連質問というよりほぼ同一質問になっている話への回答も目立ったので、この質問へのコメントではなくても、役に立ちそうな回答があればちょいちょいピックアップさせていただこうかと思います。
「two people」と「two persons」、どちらの言い方がOKなんだろう?
Jonathan Simonoff(大学卒業後、物書きとして賃金を得ている):回答スコア6点
口語表現としては、「two people」の方が響きが良く、しっくり来るね。「Two persons」は、警察官が報告書に書くような、やや技能的というか、専門的な感じがするかな。
Alfred(英語を知っている):
関連記事(two peopleまたはtwo persons: どちらが正しい?)への回答言及されている文脈に関しては、どちらも正しいよ。もし集団の人々全体を指しているのであればtwo peopleでOKだけど、もし関係者の人数を示すための言及であれば、two personsでOKだね。
Frank Kroger(ミニマリスト(1947年~現在)):回答スコア13点
関連記事(two peopleまたはtwo persons: どちらが正しい?)への回答通常の用法では、「two people」が最も響きよく聞こえるね。「Persons」は法的な場面や書類、法廷での会話なんかで使われるよ。
Harry Dewulf(編集者・創作物書き・英語教師):回答スコア1点どちらも正しいけど、「two persons」は多くの場合、ちょっと堅い感じがするね。
20世紀後半、イギリスでは公的な立場の人が「people」ではなく「person」や「persons」を使っていた時期があったんだ。その理由は、より距離を置いて、かつより一般的でないように見えるからなんだ。
これは間違いなく、有名な審問(死因究明のための審理)の評決で、「illlegal killing by person or persons unknown(未知の人物または人物達による違法な殺害)」といった、特定の法文で使われていたことに由来していると思われる。
「persons unknown」が「unknown people(未知の人々)」よりも優れている点は、この表現がいくつかの異なる事柄を含意していることがあるね。
「Persons」は、その人数が分かっている可能性を示唆している;さらに、その人たちは、開示されていないか確定まではしていないものの、個々の身元がある程度割られている可能性があることまで示唆しているんだ。
しかし、「People」は曖昧で一般的なものだね。
故に、警察の報告書では今でもよく使われる用法の違いとなっているわけだ:「We identified two persons at the scene.(我々は現場で二名の人物を確認した)」
これは、以下とは全く違う:「I saw two people there.(二人の人たちを見た)」
不思議なことに、「I saw two people」は、その二人が一緒にいたことを暗示しているように思えるね。少なくとも、お互いを知っていたことを示唆しているのに対して、「two persons at the scene」ではそのような示唆は全くない。なので、余計な推論が挟まれることをあえて避けたいのであれば、「Two persons」と言った方が良いかもしれないね。それが、この表現が堅苦しく聞こえる理由でもあるかな。意図的なものってことだ。
今回の回答は、少し取りとめのない漫然としたものになってしまったね;質問内容に思いを馳せながら書いていたんだ。もし、分かりにくかったら、お気軽にコメントをどうぞ。
Whitney Peters(SAP(ソフトウェア企業)で働いている):
この質問に対しては、いくつかの回答が考えられるね。
一般的には、two peopleでもtwo personsでもどちらでも許容されているよ。
ただし、フォーマルな場ではtwo personsの方をより好む人もいるね。
Bob Sabo(英語を知っている):
どちらも正しいと思うな。「Two people met me at the station(駅で二人と落ちあった)」と言えるだろうし、さらに追加で「Two persons at the station asked me to say, "hi!" to you, by the way.(そういえば、駅で二名の人物から、君に『こんにちは!』と声をかけておくように言われたよ」と言ってもいいだろうね。文脈の問題だよ。
Michael Damian Brooke Baker(元退職した教師(英国、1970-95年)):回答スコア2点
文法的な見地からはどちらも正しいけれど、私なら常に1つ目の方―「two people」を使うだろうね。「Two persons」は、まるで警察官のノートからそのまま抜き出してきたような言い回しだよ!
Alan Conyard(元・外務英連邦省一等書記官(1951-91年)):回答スコア3点
どちらも、正しい文脈では正しいね。ホテル予約の際、フロントで何人宿泊するのか(=how many persons will be staying)聞かれることがよくあるけれど;その際、two persons in single rooms(シングルルームに2名)またはtwo persons in a double room(ダブルルームに2名)と答えるよね。また、こう言うこともあるかもしれないね:「I saw two people dancing together on the pier last night, after most other people had gone home(昨晩、ほとんどの人たちが帰ってしまった後、桟橋で二人が一緒に踊っているのを見た)」。この文脈で「persons」を使うことはあまりないんじゃないかな。一般的には、自分にとって一番しっくりくる表現を使うので構わないよ。
Chen Akanat:回答スコア4点
どちらも文法的には正しいけど、「two people」の方が響きが良いね。
George Lord Jr DC(編集者、翻訳者、宗教のアマチュア研究者、バハイ派):回答スコア1点
「Two people」は口語会話でよく使われるけど、「two persons」はそうではないね。
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(全然どうでもいい話ですが、この手のフォーラム記事は毎回コメントごとに引用スタイルを取っていたものの、投稿者を太字にしておけばそこから新しいコメントということは分かりますし、一括引用の方が見やすかったかもしれませんね。)
結構色々な回答がありましたが、まとめると、「two persons」は警察調書に書かれてるみたいな堅い表現だから、普段の日常会話なら「two people」が自然だと思う、って感じでしょうか。
これは大変分かりやすい違いでした!
(ただ、あえてキッチリした丁寧さを出したいのであれば、あえて堅苦しい表現を使うのもアリといえるかもしれませんね。)
あとついでなので、途中挙がっていた文法解説ブログ記事の方も一点面白い話題があったので見ていこうと思っていたので寸が、ちょっともう大分長いし、目新しいのは「peoples」についてだけだったので、(ブログ記事の全文引用はまた許可が必要な気もしますしね)、最初のまとめ段落だけを翻訳紹介させていただこうと思います。
(改めて、リンクカードを貼り付けておきましょう。)
Persons 対 People 対 Peoples―違いは何?
Catherine Traffis(カトリーヌ・トラフィス)著
ほとんどの場合、peopleはpersonの複数形として選ぶべき正しい単語になります。Personsは古風な言葉なので、独自の伝統的な言葉を持つ法律関係の文章を除いては、使わない方が無難でしょう。Peoplesは、(例えば、同じ地域内の)異なる民族グループについて言及する場合に必要となるだけです。
これも、中学英語で触れられていたような気もする話で、peopleを「民族」の意味で使う場合は可算名詞で「peoples」と複数形で使えますよ、というそれだけの話ですね。
(挙げられていた例文:
The Israeli and Palestinian peoples have long been at war.
※この場合、日本語ではまぁ「人々」とするのが一番自然なので、日本語的には違いがないともいえますが、だからこそやはり、数の概念のない我々にとっては英作文する際に注意すべき点といえるかもしれませんね。)
一方、「人々」の意味なら、例によって「furniture(家具類)」と同じ集合名詞で、これは複数形にはできないというのも、これまた注意点といえましょう。
という所で、次回はまた、追っていただいていたご質問に触れていこうと思います。
アイキャッチ画像は、今回は「personsという表現が好まれるのは?」というクイズがあった場合の答といえる、「刑事の尋問」にしてみました。
(まぁ、尋問と調書は違うだろ、って気もしますが(笑))