前回の記事では、コーヒーの数え方(※)について、毎度おなじみWordReferenceのQ&A記事を参考にさせていただいてたわけですが、地味にいろんな人の質問も錯綜してやたら長く、翻訳紹介するだけで時間切れになっていました。
(※まぁ、「コーヒーの数え方」っていうより、コーヒーみたいな飲み物などを複数個言及したい場合、どう呼ぶか、って方が正確かもですけどね。)
今回はその辺の総括から参りましょう。
…と、ちょうどまた、このネタに触れるきっかけを提供していただけていたアンさんより、またコメントを頂戴していたので、振り返るのにちょうど良い感じにも思えたため、そちらから触れさせていただくとしましょうか。
大変ナイスな着眼点のコメント、いつも本当にありがとうございます。ひたすら感謝の限りです。
「two cups of coffee」を「two coffee」と短縮することはできない
という意見もあれば、
「2 coffee」は、 2 [cups of] coffee の省略バージョンだと思える
という意見もあり、、
やっぱり複数を言う時は複数形の方が良さそうかな…?っていう印象は受けましたが、文法的にカチッと答えを出すならどちらが正しいっていうのは、正直全然わかりませんでした。
⇒結局、「どっちの意見も見られた」というのが最大の収穫とでもいいますか、結論としては「『どっちも聞く』という人がいる以上、『2 coffee』でも大きな問題はないと思う」でいいんじゃないかな…とは思えるものの、書かれていた話を総合すると、特に言語に精通していそうなネイティブの間では「違和感バリバリ。私なら絶対に『2 coffees』と言うと思う」という意見の方が優勢なのかな…とも同時に思えた感じかもしれませんね。
しかし、無事に忘れ去られることなく返ってきたジョンからの質問回答では、またまた意外なことが書かれていました…!
そちらはまた後ほど触れるとして、ひとまずコメントの方を進めてみるといたしましょう。
色も、
…………
In the Olympic medal count, Ruritania is leading with six golds, four silvers, and three bronzes.
(オリンピックのメダル数では、ルリタニアが金6個、銀4個、銅3個でリードしています。)…………
ということでしたが、これもgold medalsのことなんですよね?
それなら、今回はgold medalsで「golds」なのに、前回はred birdsで「red」なわけで、、結局どっちがダメっていうこともない?っていう風に思えちゃいますね。
こういうのは、出来ればどっちか決めて欲しいです笑
今回は翻訳紹介だけで、結論は次回…ということなので、、きっと紺助さんがピシッと決めてくれていることでしょう笑
⇒このメダルの話も、後半別の方による回答では「私なら単数形で言うと思う」という意見すらあってまさしく情報が錯綜している感じだったわけですが、複数形にした方は、恐らくgoldを「形容詞『金色の』」ではなく、goldという言葉そのもので、あの丸い「金メダル」を頭に描いているのではないかな…って気がしますね。
つまりここはgold medalsの省略というより、goldそのものをここでは「金メダル」と捉えている、みたいな感じでしょうか。
まぁ複数形にしている時点で、その人にとっては名詞扱いなのでそうとしかいえないとも言えるわけですけど、金属である、元素記号Auの「金 (きん)」自体は特定の形を持たない物質なので不可算名詞なわけですけど、この文脈では丸いメダルという実体のあるものをイメージしており、そのままgoldsとしている…って流れのはずですが(鳥と違って、誰でも「あのメダル」が思い浮かべられるものなわけですし、この使い方はそんなに違和感もないかな、と思えます)、しかし改めて、「私ならsix goldと単数形で言う」というネイティブの方もいらっしゃり、この場合はこないだの赤い鳥と同様、six gold medalsからmedalsを省略した表現だと意識しているのではないかと思われる形ですね。
この辺はややこしいですが、日本語でもまさに「金6個」でも「金メダル6個」でもどちらでも同じ意味で通じるように、流石にそのぐらいの柔軟性は英語にもある、と解釈するのが一番かなと思えます。
(ローコンテクストな言語である英語は、日本語よりも省略や行間の空気に頼ることがなく、きっちりルール通りに表現されることが多いとは言え、ですね。)
前回「次回、総括しましょう」とか偉そうに言っていたため、「ビシッと決めてくれや」と期待されてしまいましたが(笑)、正直そんな感じで、カチッとした0か1かの話ではなく、結局、「人による」という何とも煮え切らない結論がファイナルアンサーとなってしまいそうですね(笑)。
でもこれは言語なんてものはやっぱり実際そうで、例えば日本語でも、(日本語の場合、単数複数は一切関係ないので、この例の場合は単位の問題でしかありませんが)「『コーヒーを2個ください』というのはありかなしか?」という話になると、多分若干意見が割れるんじゃないかな、って思えます。
そもそもこれがありかなしかは「場面次第」という、英語の説明で嫌と言うほど聞いたイラつくパターンであるともいえるわけですけど、
(例えば、駄菓子屋でレジの横の大きなボウルに色々な味のチロルチョコが大量に入っていて、欲しい味を店主のおばあちゃんに直接言って取ってもらう…ような場合、子供がおばあちゃんに「キャラメル3個と、コーヒー2個くださぁい!」と言うシーンはめちゃくちゃ自然に浮かびますが、オフィスで紅茶とコーヒーを入れたポットが用意されていて、カップに直接注いでもらうような場合、「コーヒー2個お願い」なんて言う人はまずいないといえましょう(絶対いないかというとそうでもない気もしますけど、普通は「同僚の分も持ってくんで、2杯ください」とか言うのが自然に思えます)。)
…それと全く同じで、言葉の使い方の是非・可否は場面によっても違うだろうし、人によっても言うことは多分違うだろうな…というのは、想像に容易いといえるような気がします。
上のコーヒーの例だと特定の場面であっても割れそうですが(スタバなどのカフェ系で、「○○(ドリンク名)2個」は、普通にある気もするし、でも「私は使わないかな」という意見も分かる気がする)、しかし例えば「うちは車2個もってるよ。来月もう1個買うんだ」という文、これは、よっぽど物を知らない幼稚園児ならともかく、大の大人がこう言うのはまず想像できないというのは、流石に割れないのではないかと思えます(自然でアダルトな日本語は「うちは夫婦それぞれ使ってるので、車2台もちです」みたいな感じですね)。
メダルの例なんかはまさに、「車2個」ほど絶対的な違和感というものは決してないものの、例えば「ペットボトル2個」ぐらい、使う人もいれば変に感じる人(=普通は「2本」では?)もいる…ぐらいにネイティブでも意見が割れるものなんじゃないかな、って所ではないでしょうか。
そしてこの「人それぞれ」に拍車をかけるように、同じ研究室所属のマルコメくんみたいなジョンからもらった質問回答は、中々に興味深い内容を含むものになっていました。
改めておさらいしておくと、前々回の記事で紹介していた、アンさんの書かれていた文、
「One is coke, one is coffee with sugar and milk.」
…や、5セット注文の場合の
「One is coke, two are coffee with sugar and milk, two are orange juice.」
という文は自然か、というもので、当初、コーヒーの複数形ではなく「one and one/one and the other」の言い方について疑問を感じていた形だったため、質問としては「the otherではなく、oneや具体的な数字の列挙で書いても自然なのかなぁ?個人的には、前者の文はthe other is…の方が普通なのかな、と思うけど…」という旨を聞いていました。
(なお、「他の人はどういう意見をもってるか、念のため調べてみよう」と、全文をコピペして検索された際に、ひょっとしてこのブログがヒットして来ても嫌だったので(こんな場末の日本語ブログがヒットしてくるわけはないですけど(笑))、cokeだけはteaに変えて質問を送らせてもらいました(笑)。
もう話は終わっているので、ジョンがあえてこんな英文法の話を再度調べるわけもないですし、今回はteaの文をそのまま貼っても問題ないでしょう(笑))
早朝に「Sorry, Konsuke - I forgot about this.」という一文とともに、回答の返信メールが来ていました。
翻訳紹介させていただきましょう。
ここで「is」が必要なのかは、ちょっと何とも言えないなぁ。単に「two drinks - one tea and one coffee with milk」または「five drinks - one tea, two coffee, and two orange juice」が欲しいと言えばいいよ。
…という、あんまり気が利かない人特有の、聞いた内容・疑問点に余す所なく触れてくれるのではなく、肝心の気になる部分にはあんまり答えてくれていない、やや不完全燃焼に感じる返事だったのですが(質問しといて酷い言い草ですが(笑))、それでも、自然に思う文を返してくれる形でした。
まずやっぱり、こういう注文の際は、いちいちbe動詞をつけて言うのはまどろっこしすぎるようで、省略する(名詞の羅列)ことの方が多いといえそうですね。
(もちろん、動詞をつけて言っても何ら誤りではなく、丁寧な言い方になっていて全く問題ないとは思いますが。)
そしてやはり(当初の)本題としては、the otherなんかより、具体的な数を使って表す方がよく使うのかな、ということが窺える回答でした。
しかし、the otherというのは使わないのかなど若干気になる点があったとともに、まさかの、ネイティブのジョンがcoffeeを単数形にしている!という非常に気になる点があったため、まだ研究室へ行く前にメールを見ていたこともあり、メールで再度質問しておきました。
内容はこんな感じ(↓)ですね。
「the others」や「the last」とかより具体的な数字を好むってことだね?あぁでも、「is」を使わない文なら、これらは出て来にくいともいえるのか…。
一方、追加質問:「…two coffee, and two orange juice」について、これらは単数形でも問題ないの?複数形、two coffees, two orange juices, three teas, four beers…の方が自然ではないのかな…??
基本的にジョンは色々反応も遅いため、また返事は遅くなるかな、と思っていたら、今回はメールではなく、デスクに座って作業をしている際、近場を通り過ぎたジョンが直接声をかけてきて、口頭で答えてくれました。
結局前半のポイントは反応なしでしたが(笑)(でもまぁこれは、「数字の方が分かりやすいし、よく使う」が結論でいいと思います)、後半の点については、非常に興味深い意外なコメントが…!
思い出してまとめてみると、
『深く考えずそのままコピーしただけで、sをつけるのを忘れていたよ。もちろん、coffeesの方が自然だね。ただ、orange juiceだけは、なぜか分からないけど、この文脈だと自分ならsをつけないかな。なぜかは自分でも分からない。ただ、juiceの種類が複数あることを言うような場合、例えばorange, apple, and grape juicesなんかなら、juicesってsをつけるんだけどね』
「へぇ~、面白いね!juiceだけsをつけないのか。それ以外はやっぱりsをつけるんだね」
『coffeeは絶対two coffeesだけど、この文脈のtwo orange juiceなら、つけないね』
「(前回のフォーラムコメントで、『two servings of beerは言わない』的なことが書いてあったのを思い出したので)beerはどう?beersは言う?」
『beerはbeersだね。不思議だけど、orange juiceだけは、two orange juiceって言うなぁ』
「理由は分からないんだね。響き的に、ってことなんかな?」
『でも、複数種類のジュースを並べるような場合は、juicesと言うよ。ただ、これは自分がそう思ってるだけの自分の好みの問題だから、絶対的な話じゃないだろうし、他の人は違う意見を持ってると思うけどね。他の人がどう思うか、ちょっと聞いてこよう!(…と、いきなり廊下に向かって走り出す)』
「…っておーい、そんな大ごとにしなくていいってば!(色んな人に聞いて回って、何でそんなこと気になるの?とかいう話になったらメンドくせぇ~)」
『いや、自分自身が気になるから!聞いてくる!!』
…と、「余計なことせんでいいのに…」と待っていたら、廊下を一周走ってきたジョンが戻ってきて、
『誰もおらなんだわ』
と、幸いにして気軽に聞けるネイティブが誰もいなかったようで、事なきを得ました(笑)。
(いやまぁ他のネイティブの意見も聞いてみたかったっちゃあ聞いてみたかったですけどね(笑))
そんなわけで、またしても不思議な、特に理由がない謎な数え方ポイントが追加されまして、
「やっぱりcoffeeやteaを複数注文する際は複数形(そのまま、本来不可算の飲み物の名前に-sをつける)にするのが基本、しかし、orange juiceは、複数でもjuiceのままで言う方が自然と感じるネイティブもいる」
…という感じでしたがしかし、よく考えたら、前回のフォーラムコメントでもまさしく同じ話でドンピシャの回答があり、こちらでは「注文をする場合の話なら、2 orange juicesでいいよ」という書き込みがされていたので、ジョン自身が言っていたように、これはやっぱり結局の所、完全に個人の好み次第の話なのかもしれませんね。
まさに、こういうジュース(↓)を「2個飲む」は言えるけれど…
こういうジュース(↓)を「2個飲む」は絶対に言えない気がする……
逆に、後者は「2杯飲む」になるけど、前者を「2杯飲む」とは普通言わないように思える………
では、「これらを『2本飲む』は?」という質問になった時に、これは「両方言う」という人もいれば「両方言わない」という人、そしてもちろん「片方なら言う」という人もいて多分別れると思うんですけど、前回の回答者とジョンは、「2 orange juices」に関してちょうど違う意見を持っていた、ってぐらいの違いといえそうですね。
結局、「絶対的な指針をくれ、従うから!」という気持ちは本当に痛いほど分かるのですが、英語に限らず言語というのはやっぱりそうスッパリとは割り切れない話もめちゃくちゃ多いので、逆にいえば本当に気軽に、仮に少数派の言い方や最悪カタコトの響きでも、絶対通じるから……と思って、「好きなように言えばOK!」と気楽に構えるのが本当にベストではないかな、と思います。
…という感じで総括してみましたが、今回はジョンの質問回答だけで短くなると思っていたため、似たようなネタのフォーラム記事(調べたら、やはり非ネイティブには気になる点なので、いくらでも関連記事が出てきますね)を追加で見てみようと思っていましたが、案外長くなっていたこともあり、そこまでめちゃくちゃ目新しい話もなかったため、特に触れる必要もなさそうな感じですね。
途中状態になっているコメントをまた、次回以降順番に見ていこうと思います。