それでは今回は、ここ最近の「ここが謎だよ現在形」シリーズでいただいていた質問に触れていきましょう。
脱線ネタ→ご質問補足→そこからまた脱線→さらに補足……と、全く遅々として進まない状況ではありますが、ぶっちゃけ特に話題・ネタの目的地などないただの雑記ブログですし…
(一応、この英文法シリーズの大元のネタとしては、「『放浪息子』の英語版で気になった部分を見ていこう」って話だったんですけど(中澤先生の電話の応対が全ての発端)、ひとしきり英文法ネタが終わったら、またそこに戻っていく予定があるとはいえますけどね)
毎日更新ですと一瞬でネタが枯渇していくのは明白ですから、このひたすら脱線&ご質問他のコメントからさらに広げていくこのパターンはまさに黄金ルートで、個人的には書いていてとても楽しいです。
ちなみに今年の初めの方に設定したツイッターと質問箱は、ほぼ完全死に体で、ツイッターは記事投稿時の自動投稿を投げているだけでツイートアクティビティはほぼゼロ、質問箱に至っては設置以来質問完全ゼロで、
「俺みたいな毎日長文投稿しまくってるのに反応ゼロのSNS下手糞野郎、他に、いますかっていねーか、はは」
…ってレベルになっていて我ながら笑えるレベルなんですが(笑)、まぁ僕は見る側ではツイッターもめちゃくちゃ楽しんでますけど、発信の方はやっぱり、ブログの方が自分には合ってるかな、って気がします(とにかく長文になるタイプなので)。
とはいえせっかく話に出したついでに、僕はこの通り気さくな男ですから、どんな質問も誠心誠意お答えするので質問・相談役にオススメですよ~、と質問箱の宣伝だけしておくといたしましょう。
(完全匿名で質問できる質問箱の他にも、このブログのコメント欄でもツイッターのDMでも、どんな内容でもお便りドシドシお待ちしております…!)
…と、本題と一切関係ない話に逸れちゃいましたが、そういう前置きというか裏事情は割とどうでもいいですし(って本当はそっちがメインなのでどうでもよくはないんですけど(笑)、書くならまた別の記事で、ちゃんとタイトル・テーマに沿った形で書くべき話ですね)、ご質問も結構溜まっているため、早速参りましょう。
例によって、コメントはアンさんよりいただいたものになります。
質問箱等の反応はゼロですが、ブログの方は幸いアンさんから毎回コメントをいただけているので、本当に心から感謝の限りにございます。
ここ最近のコメントはほとんどつながっている内容なので、特に順番にはこだわらず、分かりやすくまとめやすそうなポイントから順番にピックアップさせていただきましょう。
まずはついこないだの現在形の難しさについて書いていた記事に寄せられていた、こちらからですね。
例えば、
I kiss her.
は、キスをするではなく、日常的にキスをしている、彼女とキスをする習慣がある、ということですが、
I kissed her(then).
でも、
(あの時)私は彼女にキスをした。
にはならないということですか?
キスをする習慣があった、ということ?
だとしたら、
私は、(彼女と再会した時に)彼女にキスをした。
と言いたい時は、なんて言いますか?
同じように、I punch him.
の場合は?
I punched him.
私は彼を殴った。
という意味にはならない感じなんですかね?
⇒これまた素晴らしいポイント、GQ(グッド・クエスチョン)ですねぇ~。
説明不足でしたが、「状態=日常的な習慣」を表すのはあくまで現在形のことであって、過去形であれば、そんなニュアンスは全く存在しません。
なので、ご質問の点はズバリ、「I kissed her then.」であれば、「あの時、私は彼女にキスをした」という素直な意味で全く問題ない形です。
(「I punched him.」も全く同じで、「私は彼を殴った」ですし、「私は、(彼女と再会した時に)彼女にキスをした。」なら「I kissed her when I saw her again.」ですね。)
「じゃあ過去の習慣を表したいならドースル?!」という話になるかと思いますけど、これは高校で習う慣用表現、「used to」の出番だといえましょう(発音が「ユースト・トゥー」と、sもdも濁らない(実際は前置詞とほぼ融合して「ユースタ」レベルになりますが、いずれにせよ「ユーズド」ではなくなるのが大きな特徴ですね)。
「I used to kiss her.」=「(昔はよく)彼女とキスしたもんだ」
ここで確実に分かることは、「今はもう、彼女とキスをすることはなくなっている」ということがあるわけですが、幸いにして日本語でも「以前はよく彼女とキスをしていた」だと「今はしていない」ということが強く暗示されていますから、これは特に違和感なく受け入れられる話だといえましょう。
ちなみにこのused toは、クッソ似すぎているイディオムに「be used to」というのがあって、紛らわし杉内俊哉と思えてグラブを叩きつけて壁を殴りたくなるわけですけど(笑)、「be used to~」は「~に慣れている」で、続く「~」の部分には動詞ではなく名詞が続きます(あるいは動名詞などの名詞相当語句ですが、動詞がそのまんま来ることは絶対にない)。
(例:I'm used to hot weather.(暑いのには慣れっこです)
I'm used to eating hot foods.(辛いものは食べ慣れているよ))
なので、「よく○○したもんだ」「○○には慣れっこ」の、どちらに動詞が来やすいかを考えてみたら、これは間違いなく前者といえると思うので、「used to」が動詞が続いて「以前は(動詞)していた」の方で、「be used to」が名詞が続いて「~に慣れている」だな……と、僕は高校の頃自分なりに覚えた記憶がありますね。
・I'm used to eating hot foods.(辛いものは食べ慣れているよ)
・I used to eat hot foods.(昔は辛いものを食べたものだった(=今は食べていない))
…と、意味がまさに正反対になるともいえるので、注意が必要ですね。
※ちなみに、「辛い」に「hot」を使いましたが、日本人的には「『辛い』って『スパイシー』じゃないの?」とも思えますけど、僕の経験上は、アメリカではいわゆるピリ辛のものは、hotで表されることの方が多いような気がしています。
Spicyは、よく考えたら「スパイスの豊富な」という意味ですし、例えば赤唐辛子なんかは(まぁ唐辛子自体がスパイスになるとはいえ、実そのものなら)スパイスってわけでもないですしね、こういうのの辛さは、hotの方が正しいのかな、って気がします。
…というか、以前いたインド出身の学生(超初期の記事で登場していた子ですが)に、送別会だかでレストランへ研究室のみんなで行ったとき、別の中国人の学生が「スパイシー、スパイシー」と言っていたら、僕の方に耳打ちで「この料理はスパイスを使ってるわけじゃないんだから、スパイシーじゃなくてホットでしょ、みんな適当に使うんだから!」と、言ってた本人ではなくなぜか僕が説教されましたけど(笑)、スパイスの本場インドの方では、その違いは重要なのかもしれませんね。
(あれ、もしかしたら、スパイスを使ってる料理なのにみんなアメリカ英語に慣れすぎて「hot, hot!」と言っていたから、「hotじゃなくてspicyでしょ!」とお怒りだったかもしれませんが、いずれにせよ彼女にとっては譲れない違いだったということだけは記憶しています(笑))
実際、レストランのメニュー表なんかでは、「激辛注意」的なことを示すために、唐辛子の絵とともに「HOT!!」という文字が書かれていることが多いような気がします。
まさにこういう↓、ペッパーくんの数で辛さを表すようなやつですね(唐辛子のマークのいらすとより)。
もちろんhotは温度の「熱さ」も表す語なので、場合によってはややこしいんですけど(先ほどの英文も、「熱いものを…」と取ることも一応可能とはいえますね)、まぁ普通は、熱い物を食べ慣れてるとかいちいち言うわけないので、「辛いもの」って解釈するのが自然だといえましょう(レストランのメニューとかも、温度なら冷ませばいいだけなのでそんな注意があるわけないといえますしね。一応誤解防止に唐辛子の絵が描かれることも多いわけですが)。
話が逸れましたけど、used toに関してはもう一つ別の注意点がありまして、「別の意味のbe used to」ではなく、今度は「似た意味の表現」のややこしい輩も存在するのです。
それが、would!
助動詞willの過去形がここでも登場しますが、正直、個人的には様々な意味を持ちまくっている便利屋の王様wouldだと発言の意味がボケそうな気がするので、「以前は○○したものだった」と言いたい場面は、分かりやすさ優先で確実に「used to」を使うように思えますけど、よく考えたらそんなこと言いたい場面は今まで出会ったことがなかったので、どっちも別に使ったことはありませんでした(笑)。
(でもまぁ、使うなら絶対そっちを使う気がします。)
実際、またまた登場のミントン先生も、名著『ここがおかしい 日本人の英文法」の第一巻で(既に引用しまくっているので、全文引用はしませんが、一部だけ…)こう語っています。
(wouldとused toは、基本的に似た意味だけど、同じ文でused toをwouldに入れ替えることはできない場面もある、例えばこの2つの例文がそうです…と、used toを使った例文(1)(2)が挙げられていた、という流れで…)
要点は、(1)(2)とも、以前は存在したが今は存在しないような「状態」について述べているということです。それに対してwouldは、以前は定期的に行っていたが、今は行っていないような「動作」に対してだけ使えるのです。
例文(1) (2)はズバリ、smokeとbeという、まさしく最近見ていた状態動詞を用いたものでした。
つまり、used toは状態動詞を従えることもできるけれど、wouldはそれができない……万能選手wouldにしては珍しく、「使えない」パターンもあるという話だったんですね。
なので、『もしみなさんがwouldを使うのはやめてused toだけを使うようにしても、これは間違いを犯す危険性が少なくなるだけなので、安全な選択といえます!』と、「絶対used toを使いたいマン」にはありがたいお墨付きをいただけていたのですが、補足として面白い情報も掲載されていました。
しかしながら、この意味でのwouldをまったく放擲してしまうのは、残念なことでもあるのです。なぜなら、wouldはused toよりも、「過去を懐かしむ気持ち」をずっとよく表現できるからです。
…やはり、ムードを表せる助動詞を用いた方が、感情がこもっているといえるのかもしれませんね。
(あぁ一応、「used to」も文法の分類上は助動詞になるわけですが、いわゆる仮定法的な、コテコテの助動詞を指してのお話です。)
最後あと一つ、これまたお役立ち情報が書かれていたので、そこだけ今一度引用させていただきましょう。
また、wouldにはほとんどいつでも「頻度を表す副詞(特にoften)」がつくことも覚えておいてください。
僕はこの意味でwouldを使うことはないので、読んだことあったはずが全く覚えていませんでしたけど(笑)、wouldを使う際は、分かりやすくていいポイントですね。
…という所で、もっとコメントを進められそうだと思っていましたが、また一段落のみで話が広がって結構な分量になっていました。
続きはまた次回触れさせていただきましょう。