似通った英単語に注意しよう(その22:プリンシパル他)

結構長いこと色々話が広がってくれたマギ単(紛らわしい英単語)シリーズも、これで最後ですね。

毎度前置きの御託が長いので、早速参りましょう。

25. プリンシパル (Principal/Principle)

こちらは、正直カタカナ語で使われることはまずなく、さほど馴染みのある言葉でもないわけですけど、前回チラッと書いていた通り、『青い花』英語版であるSweet Blue Flowers (SBF) でも、まさかの誤用された形で登場してくる(考察本を書かれていたFrankさんが、正誤表で指摘してくれていました)という、ネイティブにとってもめちゃくちゃにややこしく間違いやすい単語になっているんですね。


普段使うことなんてまずないですけど、せっかくなので記念(?)として、最後こちらにも触れておこうと思った次第です。


そんなわけでまずはSBFでの使われ方を見ておくと、日本語版では2巻のp. 10にあたる、「ふみが行かないんじゃあ私も行く気がしないなあ……」とちょっと駄々をこねる杉本先輩に、ふみちゃんが、「また! 先輩  主役じゃないですか」と窘めるシーン、ここが、SBFだと「BUT YOU'RE A PRINCIPLE CHARACTER!」という翻訳になっているんですけど、これは誤りで、「PRINCIPAL CHARACTER」でなくてはおかしい、これは誤用だね…という話になります。

くどいですけどネイティブ、しかもプロの翻訳者・編集者でも間違えてしまうということで非常に紛らわしい二語なわけですが、あえて日本語で例えていうと……ちょうど、「適性」と「適正」みたいなもんですかね?

これらは「生まれ持った才能・性質; (例)『ピアニストの適性』など」と「その状況において適切である・正しい; (例)『適正な価格設定』など」というはっきりとした違いはあるわけですけど、ぶっちゃけどちらも「相応しい」というニュアンスを持つことから(「適」という字があるから当然ではありますが)、油断すると(急いでいると)プロの物書きでも誤用側を打ち込んでしまうこともありそうな気がしてしまいます。


まぁ唐突に全く関係な日本語に触れるのも何のこっちゃだったかもしれないので英単語の方に戻ると、上記SBFのシーンからも分かる通り、まずprincipalという方は、「主要な・最重要の」という意味の形容詞であり、英語版ふみちゃんの(正しい)台詞は「主要なキャラクター」=「主役」ということでした。

一方の(誤用側である)principleは、「規則・ルール・法・ガイドライン」みたいな意味合いであり、文法的には名詞であるため、形容詞のようにその他の言葉を修飾するのではなく、それ自身が何かを表すものとして用いられる(まぁそれを「名詞」というわけですけど(笑))という感じだといえましょう。

(なので、SBFの「a principle character」というのは、名詞が2つ並んでいて、意味のみならず文法的にもおかしいという形でした。)


しかし、principleの方も、「最重要項目」というニュアンスから「規則・法」という意味になっているともいえるわけで、結局どちらも「重要」みたいな意味合いを持っているといえますから、その意味でネイティブにとっても誤用してしまいがちなんだと思います(まさに、「適正と適性」の例に近い気がしますね)。


これ、語源はやっぱり完全に同じものなのかなぁ?と思い検索してみたら、当然言うまでもなくネイティブにとってもややこしい単語なので解説記事はうじゃうじゃヒットしてきましたけど、Googleでトップに来ていたこちらの文法記事(↓)を参考にさせていただくと……

www.grammarly.com

(冒頭の該当部分だけを引用させていただきましょう。)

語源を共有する言葉は、現代での使用においても似たような意味になることが多いです。PrincipleとPrincipalはまさにそのような言葉といえましょう。どちらも古フランス語を通じて英語に入ってきました。どちらもラテン語を語源としています―principleの語源は「source(源・ソース)」を意味するprincipium、また、principalの語源は「first(初めの・第一の)」を意味するprincipisとなります。

…とのことで、古フランス語由来という共通項はあれど、大元のラテン語では、一応異なる言葉が語源ではあったんですね。


まぁ別にラテン語なんて分からないので、異なる語源であっても特に全く区別の助けにはならないわけですが(笑)、一つ大きな違いとしては、既に上でも触れていましたし、この記事の最上部まとめにもあった通り、principleは絶対に名詞としてしか使われない一方、principal形容詞としても使われる、って点がありますね。

(※「形容詞として」と書いた通り、実はこちらも名詞としての用法があり、むしろそちらの方が日常会話でより使われているんじゃないかと思いますが(「最重要の」という形容詞は他の言い方がいくらでもある(the most importantとか)一方、名詞の意味での利用は、普通この語が使われるので)、名詞としてのprincipalの意味は、ズバリ「校長」になります。)


ということで、この二語の区別法・覚え方としては……

(今回は、スペルは明らかですし意味もまぁ覚えやすいので両方ちゃんと覚えているとして、「どっちがどっちだったか?」を思い出せればOKという形ですね)

「形容詞っぽい終わり方の語はどっちか?」ということを考えると、これは、例えば「オリジン→オリジナル (original)」とか「アクシデント→アクシデンタル (accidental;突発的な)」とかがあるように、「-al」で終わる方が明らかに形容詞っぽいですから、「形容詞っぽい方が形容詞的な意味だった=principalが、『主要な』という意味だったな」と導き出せる…

……というのがまぁ思い出し方の一つで、あとは、やっぱり「校長先生」という意味は非常に印象的で覚えやすいので、これをきっかけにすると、一方の単語の語尾・「pal」という部分に注目してみますと、この「パル」というのは「友人・仲間」という意味ですから、「『パル』がある方が人間だから、principalが校長先生だ(そして、「校長=学校で最重要な存在」だから、『主要な』という意味もこっちだったな、と導ければバッチリですね)」という感じでいけるでしょうか。


なお、この「パル」ですが、これはやっぱり「文通相手」を意味する「ペンパル (pen pal)」という語なんかで割とおなじみの言葉かと思うんですけど、しかし文通なんて、文明が発達した今の時代には恐らくもうほぼ絶滅したと思われる存在でしょうから、この語もすっかり馴染みがなくなってしまっているかもしれませんね。

(かくいう僕も、既に幼少期からもう文通文化なんて絶滅していたも同然でしたし、物語でその存在を見聞きしたぐらいで、自分や周りの人で経験したなんて話は全く聞いたことがありませんしね。)

その代わり、最近は「PayPal(ペイパル)」というオンライン決済サービスが日本でもかなり有名になってると思いますけど、これは「支払いの友」という感じのネーミングですから、新時代ではこれをきっかけに覚えておくといいかもしれませんね(でも、「文通相手」のペンパルとは違い、このサービス名だと「パル」そのものに人間味はあんまりないとも言えちゃう気もしますが…)。


いずれにせよまぁそんな感じで区別すればいいんじゃないかなと思える単語ですけど、そもそもの話、幸いにして発音は違うから、幾分わかりやすいともいえるんですよね、こいつらは。

……と、僕はずっとそう思っていたのですが、実はそこにも落とし穴が……!

 

これ、僕は日本を発つ前にまぁ多少の準備として色々英語の勉強に手を出していた際、当時大人気だったポッドキャストiPod (iTunes)を使った、オンライン音声配信みたいなものですね。今はもう、YouTubeとかでの動画配信全盛ですし、ポッドキャスト文化も廃れているのではないかと思いますが…)をよく聴いていたんですけど、その中に、ESL PodcastESLは、「English as a Second Language(第二言語としての英語)」の頭字語である、教育界隈で用いられる一般的な言葉です)というものがありまして、これは文字通り第二外国語として英語を学ぶ人のために、Jeff McQuillan(ジェフ・マクワラン(ずっと音だけ聞いていたので、「マクワリン」だと思ってましたが(笑)))とLucy Tse(ルーシー・セー)のお二人がかなりゆっくりめに、しかしネイティブの目からとても分かりやすく、生きた英語での10分程度の会話例&その解説や、他にもアメリカ文化の紹介シリーズとかもありましたが、そういった大変興味深い音声配信を週3週4ぐらいで無料で配信し続けてくれていたという凄まじく有用なポッドキャストだったんですけど、世界中で爆発的な人気のあったポッドキャストだったはずですが、もう10年近く前ですかね、僕は日本を発つ前&発ってからしばらくも、移動中とかはずっと聴いてましたけど、ちょうど僕が当時確か700とか800とかは存在していたエピソードのほぼ全てを聴き尽くしたぐらいのタイミングで、「おかげさまでESL Podcastは、教育ジャンルで世界で一番再生されている、大人気ポッドキャストにもなりました。これからはメンバーシップ制にして、より高いクオリティの配信をしていこうと思います!残念ですが、エピソードの無料公開は今後はやめて、これまでの公開分も一部を残しメンバー限定に変更する予定になります」…みたいなアナウンスがありまして、ちょうど区切りも良かったので僕もその時点でこれまでありがとうという感謝の気持ちとともにESLPODを卒業した感じでした。

(もしかしたら、メンバーシップ制移行は失敗で、また無料公開に代わってるのかもしれませんが(軽く検索したら、エピソード数が普通に結構増えていたので。…あぁ、でも、メンバーシップ制に移行しても、通し番号はそのまんまなのかもしれませんね)、その後僕は覗いていないのでよく分かりません……。今でも無料で誰でも使えるといいのですが……。

 ただ、僕が一区切りを付けた、もうエピソード番号にして800とかそのぐらいになると、Jeffの声が明らかに当初より年老いて、めちゃくちゃ低くなって正直何か聴きづらい…と思えるレベルになっていたのも、ちょっと残念ポイントとしてあったかもしれません。)

…って本題とは関係ないESLPODネタになりましたがひとまずそれはともかく、このESLPOD.comでは、世界中の英語学習者からの質問も募集しており、その中に当然、この「principalとprincipleの違い」もあったのです。

そこで、Jeffが、「この語は発音も完全に同じ、どちらも全く同一の『プリンシポ~』(※もちろんそんなカタカナ読みではなく、実際はネイティブ発音ですけどね(笑))なので、大変ややこしいやつだね」と語っており、僕は、「ん?似てはいるけど、同一ではないっしょ?『プリンシプル』と『プリンシパル』なわけだし。でもまぁ、実用上は、全く同じに聞こえるぐらいに発音されることが多い、ってことなのかな?」と思っていたのですが……。

しかし、念のため調べてみる(もちろん今ではなく、当時も調べましたが)と、まさかの!


(画像は例によって、発音記号付きである、信頼のケンブリッジ辞書より)

https://dictionary.cambridge.org/us/dictionary/english/principalより

 

https://dictionary.cambridge.org/us/dictionary/english/principleより


…ホンマや!!

えぇっ?昔(そのポッドキャストのエピソードを聴く前)調べたとき、絶対違う発音記号だったような記憶があるけど、それはカタカナ表記につられただけの、勝手な思い込みだったのか……。


…と衝撃を受ける感じでしたが、両者の発音は「似ている/カジュアルに発音したら同じ」ではなく、まさかの「完全一致」であり、ゆっくり発音しようと何だろうと、全く一切の区別が付かない感じなんですねぇ~。

カタカナでは絶対に「パル」と「プル」なので、これは本当に意外でしたが、この辺も注意が必要な点かもしれませんね。

 

…と最後ちょっと「終わりに」的な感じで英語一般の話へいくためにESLPODに戻りますと、会話シリーズと、文化紹介や質問コーナーであるEnglish Cafeを通算すると間違いなく合計1000以上のエピソードを複数回聴いた経験から語ってみますに、確実に得られるものは多くあったとはいえる気がするんですけど、正直、これを聴き続けても英語が話せる・聴けるようには、個人的には全くならなかったですねぇ。

もちろん、設定的に英語初学者向けの、本当にめちゃくちゃゆっくりテンポで繰り広げられる会話なので、「これをずっと聴き続けてもそりゃダメだろ、これをきっかけにもっとステップアップしなきゃ」って話かもしれないんですが、数年間、ほぼ毎日移動などの合計30分とかそこら聴き続けてましたけど、僕には、目に見える効果はほぼ実感できなかった感じですね。


そもそも、これも当時読み漁っていた何かの英語本に書いてあって、実際そうだなと思えた話なんですけど、

「英語学習というのは筋トレのように、直線的に伸びるものではないのです。そうではなく、言語の習得レベル・上達というのは階段状になっており、ある日突然、視界がパッと開けるかのように、自分でも実感できる形で見えなかったものが突然見えるようになり、聞こえなかったものが聞こえるようになるものなのです。実際私もそうでした。もちろん、階段を上がるためには、日々トレーニングをし続けなければいけません。しかし、レベルアップはある瞬間にハッキリと分かる形で訪れるので、皆さんもそこに達するまで諦めずに継続を心がけてください」

…というようなことが、結構まともな内容の沢山載っていた良書で述べられており(上の文は大分記憶を頼りに自分なりに書いていますが)、上述のように僕自身、経験からもこれは恐らくそうなんだろうなと思える同意可能な話になっています。

なぜ同意できるかというと、ハッキリ申し上げて、アメリカで10年以上生活していても、僕は未だにその階段を上がった実感がただの一度もないからなんですねぇ~(笑)。


まぁ笑い事じゃないんですけど(笑)、本当に、人ってここまで変わらんもんかね?と思えるぐらい、発音はカタカナのままだし、受け取った英語は全部脳内で高速日本語変換して日本語で考えているし、ネイティブがゴニョゴニョっと言った日常会話的なものは聴き取れないことが多いしで、どれだけ色々やっても、実際に「上達したな」と思える実感が1ミリもない感じなのです。

さほど海外に憧れとか英語が大好きとかいうわけではない人は、大体そんな感じで、仮に現地で暮らしたところで変わらないままであることがほとんどでしょう……という夢も希望もない現実を、自分自身が身をもって実証している感じかもしれません。

(もちろん、ずっと見ている単語の違いとか英語小ネタとかそういう豆知識系を入れるのはすごく好きだしそういうのはそれなりに詳しいタイプだと思うのですが、それと生きた英語とは全然違う、ってことですね。)


結局、「言語の適性」ってやつもあるのかもしれませんね。

…あぁでも、まぁ自惚れかもしれませんが僕は日本語力は割と高い方だと思うので、「第二言語習得の適性がない」の方がより正確かもしれませんけど、しかしこれも要は、あんまり伸びた実感のないことを適性のせいにしたいだけで、ずーっと前、一番最初期の自己紹介記事でも書いていた通り、そもそも僕は日本語が好きすぎて英語がそこまで好きというわけでもなく、単純に、英語を使いこなせるようになりたいというモチベーションが圧倒的に低くて、色々手を出しても結局普段(…まぁ仕事関連の研究論文とかはともかく、それよりもっと重要な娯楽方面の話は)日本語の情報の方ばかりを断然取り入れていることもあり、純粋に英語に触れた経験値が問答無用で少なすぎるだけ、って可能性もある(というか間違いなくそう)かな、という気もします。


…まぁ、「そんなあんたの英語力の伸びなさなんて知らんがな」って話だったかもですが(笑)、かように、第二言語を得るのはよっぽど心からその国や言葉が好きとか、あるいはやっぱり幼い子供じゃないと、本当に大変な道のりであることが多いと思われます、という、英語ネタに関連するこぼれ話でした。

 

…おぉ~っと、何気にまだもうちょい書こうと思っていたネタ(前回も書いていたもう一項目の他に、このプリンシパルの話も含め)があったのですが、もう大分長くなってしまいましたね!

ということで、本シリーズのLast trackは2回に分けて、次回が正真正銘のラストとさせていただきましょう。

…なんという最終回詐欺!(って、別に最終回を煽って何かイベント起こしてるわけでもないので、どうでもいいというか詐欺でも何でもないですが(笑))


アイキャッチ画像は、プリンシパルなんて流石にそのままでは何もなかったので、意味の一つ、「校長」のいらすとを採用させていただきましょう。

(今の時代、校長=この手のおじいちゃん、というのも、偏見・ポリコレ的にあんまり良くないのかもしれませんが、まぁネタとして面白いイラストなので良しとさせていただこうと思います(笑))

(っていうか、このイラストだと、校長先生っていうより、胡散臭い会社の社長、って感じもしちゃいますけどね(笑))

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