似通った英単語に注意しよう(その18:ソープ(?)他)

ちょうど前回の記事を書いていた最中、おもむろに一通のメールが届いたのですが、それが件名からしてまさにいきなり「すわっ?!紛らわしい単語すぎる!!」と思うものでした。

めちゃくちゃ良いタイミングだったということで、今回は予定を変更して、この語から取り上げてみようと思います。

(まぁ別に次回予告も何もしていませんし、「予定変更!」とか言われても「いやそんなの知らんがな」って話でしかないと思うんですけどね(笑)。)

18. ソープ(?)(Soap/Soup)

ちょうどアメリカは9月から新学年のスタートということで、先月から、新しいシェアメイトが入ってきました。

例の、コストコの話で何度も登場していたビンスさんとそのクラスメイトはそのまま更新してまだ同じ家にいまして、今年は一人だけの入れ替わりだったんですけど、その学生から、メールが来たのです。

件名は「Soup!」の一言で、まず通知の件名を見た際、「ん?ソープ?共用の石鹸があるのかとかの質問かな?」と思い、その後通知に表示されている本文の始まり部分、「Hi Konsuke! Just wanted to let you know that I made some...(やぁKonsuke! …をいくつか作ったことをお知らせしようと思ってね」まで目に付いたので、「なぬ?『石鹸を作ったから、欲しかったらぜひ使ってね』っていう話か?ぶっちゃけ石鹸なんてあんま要らねぇ~」とか思ったのですが、その続きが「bean and beef soup!(豆とビーフのsoup!)」だったのです。

「ぬわぁにぃ~、豆とビーフのソープって、どんな石鹸じゃいなそら!!」

…とは流石にならず、この時点で、「あぁ~っと、まさかの、Soupはソープじゃなくてよく考えたらスープのことだったじゃねぇの!」と気付いた感じだったという、ただそれだけのしょうもない話なんですけどね(笑)。


いやSoupがソープって、あーたどんだけカタカナ読みしてんのよ(笑)、って話かもしれませんが、流石に「豆とビーフでどうやって手を洗うの?」→「??」みたいなやり取りにはならず即座に自分で気付きましたし、ちゃんと意識して読めば流石にスープだと読めるんですけど、メール通知のポップアップ表示を見た一瞬の解釈では、なぜだかソープだと空目をしてしまった、っていうことにしておいてください(笑)。


言うまでもなく、ソープの方は「soap」であり、これはまぁ、そもそもカタカナでも発音が違うのでスープの「soup」と迷うこともないと思われますし(そもそもこのメールで空目という勘違い(←あくまで空目であったことにしておきたい模様(笑))をするまで、この二語が紛らわしいイメージすらなかったですもんね)、仮にド忘れして迷っても、「soap」はどうまかり間違っても「スープ」とは読めませんから、語呂とかそんなもの不要で、確実に自信をもってどっちがどっちかの判別は付けられる感じですね(結局これはカタカナの音が違うから当然、って話の一環に過ぎませんが)。


そんなわけでさほど紛らわしくはないし、「こんなの勘違いするの、お前だけだよ(笑)」って話ではありますけど、せっかくなのでいくつか話を広げていきましょう。


まずスープ/ソープの前に、もらったメールのメッセージですけど、「Just wanted to…」という書き方、これ、「英語には敬語が存在しない」などとよく言われますけどそれでも丁寧な表現というのは当然存在しまして、まさにこれもその一種といえるやつですね。

これはズバリ、別に過去形のwanted toで「したかった」ということを言いたいのではなく、いわゆる仮定法に近い感じで、過去形にすることで「(差し支えなければ)…させていただきたいのですが」というニュアンスのある丁寧な表現になっている…という形になります。

「仮定法」と聞くと何かやたら難しいイメージがあると思うんですけど、何気にこれは中学英語の初期でも学ぶ話で「『Can you……?』という質問より『Could you……?』という、canの過去形であるcouldを用いた方が丁寧な質問になります」という例のアレ、実はそれと全く同じパターンだということですね(「Could you...?」の質問に、過去のニュアンスはないのと同じです)。


とはいえ過去のニュアンスはないものの、何気にこれ、日本語でも割と近い形のこと(あくまで近いであり、必ずしも同じ用法とは限らないとは思えますが)はいえまして、例えば「ちょっとお聞きしたいんですけど」よりも「ちょっとお聞きしたかったことがあるのですが…」と過去形になることで、幾分丁寧度が上がっている気がするように思うんですけど、多分ニュアンスとしてはそれに近いものがあるんじゃないかな、と僕は勝手に思っています(まぁ自分独自のアイディアではなく、どこかで教わった話だったかもしれませんが)。


そんなわけで、そこまで丁寧すぎることはない、ややカジュアルな表現であるとはいえ(そもそも主語のIが省略されている時点で、かなりカジュアルな感じですしね)、そのまま直接「したい」と言うよりは若干丁寧な物言いになっているのがこの「wanted to」という表現だったということでした。


(丁寧になる仕組みについては、やっぱり仮定法について学ぶのが一番で、簡単にはまとめられませんし詳しくは分かりやすい読み物(例の、こないだ紹介していたマーク・ピーターセンさんやミントンさんの本はとても分かりやすかった印象があります)をご参照いただきたいですが、結局は先ほどの日本語の例でもそうですけど、過去形にすることで、お願いや物言いを直接的に伝えるのではなく、言及する内容に若干の心理的な距離・クッションを設けることができる、つまり…

「実はこんな話があったのですが、差し支えなければお聞きいただければ幸いであると同時に、今すぐにと押し付けてるわけではございませんので、もし面倒くさいなら無視していただければと思います…」

…的なニュアンスを持たせることができるため(もちろん本当にそこまで言っているわけではなく、あくまでそういうニュアンスがわずかに仄めかされている感覚がある、という話ですね)、過去形にすることで丁寧な表現になる、って感じなんじゃないかなと思います。

 

もらったメッセージに戻ると、その次はこれまたこないだの記事でも「よく使います」という感じで触れていた、「let」を使った表現が使われていました。

「Just wanted to let you know that…」で、「…をちょっとばかりあなたにお知らせしておこうと思ってさ(単なるちょっとした連絡だから、忙しければ無視して、的なへりくだったニュアンスが、過去形のwanted toで仄めかされている感じ)」というメッセージだった形ですね。


ちなみに、その次の文は「It’s out on the stove right now, and you’re totally welcome to have some. (今はガスコンロの脇に置いてあるけど、ぜひぜひ適当に食べていってね)」というメッセージだったのですが、ガスコンロはしばしばstove(ストーブ)って言われてますねぇ~…という豆知識もあった感じですけど、それはともかく、「お裾分けするよ」と言ってもらっていたのに、実は家に帰るのが遅すぎて、帰ったらそのスープがどこにあるかは不明で(既にガスコンロ脇にはありませんでした)、「ぜひ後でいただくよ!」というメッセージを返していたにもかかわらず、残念ながら豆ビーフスープにありつくことはできませんでした(笑)。

(まぁ多分冷蔵庫にあったんでしょうけど、勝手に冷蔵庫開けてまで探すのも憚られましたしね。)


ただ、スープは飲めなかったんですけど、この学生は周りに振る舞うのが好きな人のようで、この前にも既に、「バーベキューチキンをいっぱい持って帰ってきたから、シェアメイトの君たちにお裾分けするよ。いつでも好きな時にどうぞ!」と、まさしく日本の焼き鳥みたいな串刺しBBQチキンを分けてくれたんですけど、こちらは分かりやすく大量に置いてあったため翌日・翌々日…といただきましたが、こんな焼き鳥っぽいのめっちゃ久々に食べただけあって、「ウッマ!」と思えましたねぇ~。

何かお返ししようにも、納豆あげるわけにもいきませんし、料理をしない僕にはちょっとお返し的には困りものかもしれません(笑)。


そんなわけで残念ながら飲めなかったビーフスープの話はその辺にしてソープの方に話を移すと、まぁ別に大したネタはないものの、ソープといえば「Soap opera」というイディオム的な表現が印象的かもしれません。

(別にこれまたまさしくどうでもいい話ですが、こいつは高校の頃の夏休みの課題として渡された英語の読み物(時事ニュースみたいな、高校生向けの教材)があったんですけど、そこで触れられていて、「これはここで見なきゃ絶対に知らないし、休み明けの試験ではここが絶対に問われるだろうな」と思っていたら、まさしく案の定、ちゃんとサボらずに読んできた人にしか正解できないであろう、「『Soap opera』とは何なのか答えなさい」という問題がテストに出てきて、「やっぱねぇ~」と思えた、ということがあったのでめちゃくちゃ記憶に残っている感じです(笑))


かなり優秀な人ほど、学校の課題なんて最早無視することが多かったので、男子高校生だけに「ソープ・オペラ」という響きから「性的な催し物」みたいに回答している友達が結構いて笑えましたけど(そんなのがテストに出るかよ(笑))、このイディオムは、ズバリ「メロドラマ」を意味する(「昼ドラ」が一番近い気がしますが、ちょっと俗っぽい表現ですし、その教材では「メロドラマ」としていました)フレーズなんですね。

(ちなみにその呼び名の理由は、当時のアメリカの昼ドラ枠が、スポンサーに石鹸の会社が多かったため、というもののようです。)


最後にさらに無関係な話に飛ぶと、ソープといえばやはり、日常社会では(どんな社会だよ(笑)って感じかもですが)風俗のソープランドで使われることが一番多いというかそういうイメージになっちゃうんじゃないかと思いますけど、この呼称に関しては、僕はやっぱり『めぞん一刻』を思い出しますねぇ。

『めぞん』では、五代くんがソープに連れていかれるエピソードがあるんですけど、これ、初出時は「トルコ風呂」であり、高橋留美子さんはこの表現にこだわったと聞いていますが、やはりこれは実際に存在するトルコという国に対いてかなり差別的な意味を持ちますから、ある時(80年代後半ですかね)から「ソープ」に置き換わっていき、僕の持っていた『めぞん』のワイド版では全て「ソープランド」に変更されていました。

(当然初出時のその台詞は実際に見たわけではありませんけど、めぞんは本当に好きな作品であり、色々調べる中で何度も目にした話だという感じです。)

まぁ僕は世代的にトルコよりソープの方が聞き馴染みがあるので、変更後のそっちの方でも別に違和感はなかったですけど、もちろんこれは差別的な意味合いがあるので仕方ないとはいえ、より上の世代の方にとっては、馴染みのある表現が変えられるのは一抹の寂しさもあったのではないかな、と思えてしまうかもしれませんね。

(もちろん改めて、くどいですが「トルコ風呂」という表現を肯定しているわけでは決してなく、当時は特に差別の意識なく使っていた親しみのある言葉が変わってしまうこと、および、実際に差別的な言葉を使ってしまっていたと気付くこと…というかその罪悪感に対してのお話…みたいな感じですね。)

 

という所で、やや無理くりなネタも目立ちましたが(笑)、また一項目だけでそれなりのボリュームになったため、続きは次回とさせていただきましょう。


いらすとやには当然、いわゆるソープを想定させるようなイラストは一切ありませんでしたので(笑)、代わりにソープオペラっぽいいらすとを今回のアイキャッチ画像に使わせていただこうと思います。

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