前回の補足:やっぱり「We Japanese」はやめた方がいいと思う、など

前回の「you」ネタに関して、また大変「改めて触れておきたい」と思えるご質問コメントをアンさんよりいただいていました。

ということで、今回はまた予定を変更して(そもそも言うほど予定なんて立ってなかったですけど(笑))そちらに触れていくといたしましょう。

内容ごとに分けて、順番に触れていく形ですね。非常に面白いコメント、毎度本当にありがとうございます。

 

「あなた」ではなく「人々一般」を表す「you」ですね、、これは、「we」ではなく「you」を使うっていうことなんですよね?

なるほど。読めばわかります。めっちゃわかりやすい説明だなって思えます。

ただ、「you」を使って「人々一般」っていう意味でネイティブの人に何かを言われた場合、本文中にもあったように、自分のことを言われてるのかっていう勘違いは確実にしてしまうでしょうね。

そして、自分を含めて「you」だなんて、今ここで使うのが正解なんだろうなってもしわかったとしても、やっぱり使える気がしないですねぇ。


⇒結局、やはり相当語学に大きな力を注いでいる方でもない限り、思考の基本は母国語であり(何度も書いている通り、僕もまさにそうですが)、日本語に存在しない表現、それも非常に基本的で生活に密着したyouみたいな単語が、これまでの経験から鑑みても想像すらできない使われ方をしているというのは、理屈では理解できても実際に運用するとなるとかなり大きな抵抗がある感じかもしれませんね。


ちょうど、「日本人は、物を見つけた瞬間に、『あ、ある~!』と叫ぶことは絶対にない」ということを書いていたこないだの記事に以下のコメントもいただいていましたが…

そして、「あ、あった!ありました!」も…めっちゃなるほど〜!って思えて、「アメリカに来た前から…」も、知り合いのベトナム人も中国人もそんな風によく言ってるわ、そう言えば、って思えるし、、

日本語がややこしいのか、日本語を話す日本人が凄いのか、なんだかもうよくわからないですよね笑

…ちょうど、日本にいる外国人の方が、日本に来たのはもう過去のことであるはずなのに、自然な日本語では「日本に来前から…」ではなく、なぜか「日本に来前から、日本のアニメはよく見ていました」と言わなくてはいけないというのは、理屈(というか慣例用法)を頭では分かっていても、どうしても、かなり日本語が流暢な方でさえ使いこなせていないことが多いのと、全く同じではないかな、と思います。


とはいえ実際、自然な日本語の場合、職場や学校で「今朝家を出前にさぁ…」と言う人はまずおらず、間違いなく我々日本人は「今朝家を出前にビックリしたことがあったんだけどさぁ」などと言うのとちょうど同じように、我々にとっては理解に苦しむ形であっても、ネイティブの人は想像以上に「you」を、自分を含む人々一般の意味で用いている…というお話ですね。


ですが改めて、多少理解の齟齬が発生する可能性はあるとはいえ、自分がyouとするべき所をweと言ってしまっても、あるいはネイティブに言われた人々一般のyouを自分自身のことを指すと捉えてしまっても、恐らく致命的なコミュニケーションエラーにはならないと思うので、多分そんな点よりもっと気をつけなければ行けない点は山ほどあると思いますから、その辺はあんまりそこまで意識して身構える必要もないんじゃないかな、と思います。

(もちろん使いこなせるようになったらグッと英語レベルも上がるのではないかとも思いますが…。)

 

で、この場合の「you」と、自分自身っていう意味の「yourself」は、別問題っていうことなんですね。「myself」や「ourself」ではなく「yourself」だよ、っていうことを言ってるんじゃない、っていう意味で。

(「人々一般」の「you」は、使い方として「Do it yourself」の「yourself」にはカスってもいない?)

なんか、ごっちゃになってますね笑


⇒いや、Do it yourselfの方も、まぁ売り手目線で「客であるあなた」という説明ももっともで、もちろんそれでもいいとは思えるものの、こないだのQuoraの記事でAsamiさんが書かれていたとおり、これも、特定の人ではなく一般的な人々を指すyouの用法とも考えることはできるのかなと思える、って所ですね。

言葉の用法というか起源というかは、必ずしもこれと断定できるものでもないですし、もしかしたら全然関係ないかもしれないものの、僕はその考え方が好きだし、説得力も大変ある気がするかな……みたいな話でした。

(この用法のyouは、ミントンさんに教わって以来自分にとっては身近ですし、「あ、それ知ってる!」という、知識をひけらかしたい的な感情があっただけかもしれませんが(笑))

 

そして、次の部分が最後で、今回のメイントピック的な話でしょうか。

 

ひとつ引っかかった部分があって、教えていただきたいのですが…

『We Japanese…という日本人のよく使う表現がしばしば批判される理由にもなっているわけです。』

というのは、文脈から考えて、日本人はこの場合もweを「人々一般」という意味で使っているけれど(我々日本人はっていう意味でしょうか?)、ネイティブスピーカーからは傲慢な人だと受け取られてしまうっていうことですよね?それって、weではない人たち(いわゆるthey?)は、日本人ではない人を指しているんですか?

だとしたら、この場合の正解は何なんでしょうか?

それとも、「我々日本人」というニュアンス自体が批判されるっていうことですか?


⇒こちらは、もちろんweを人々一般の意味で使ってしまう日本人も多くいますが、それに加えて、「我々日本人」という言い方に潜むニュアンス自体の批判も含んでいる形だと思います。


まさに先ほど上の方の文章でも僕は書いてしまっていましたが(まぁ流石に先ほどの場面は意図的に入れた形ですけど(笑))、我々は非常に気軽に、カジュアルに「我々日本人」というフレーズを使ってしまいがちなんですよね。

…まぁ「ですよね」って、使わない方もいらっしゃるかもしれませんが、このフレーズが、別に選民思想みたいなのは一切なしに結構気楽に使われがちである…ということは、恐らくご理解いただけるのではないかと思います。


そして、その日本語での大変気軽に使われる表現であるという背景と、ちょうど前回触れていた英語の代名詞の持つ用法・ニュアンスの違いとから、この表現はマジで英語ではやめた方がいいと思うフレーズの代表的な例に感じるやつかなという気がする、という話ですね。

もちろん我々にそんな意図は一切ないのですが、改めて人種のサラダボウルであるアメリカや複数国家が陸続きのヨーロッパ圏他と、島国単一民族の我々の意識の差があるのか、「we Japanese」と書いて(言って)しまうと、「我々誇り高き日本国民は…」とか「お前ら劣等民族とは違う、我が日本人という人種は…」みたいなニュアンスが、英語だとどうしても感じられてしまう形になっている(まぁ僕も非ネイティブなので直感的にそれが感じられるわけではないけれど、色々と学んだ限り)…ように思われるわけです。

(もちろん、ハッキリと明言しているわけでは決してないですし、あんまり言葉尻を深く捉えない雑な人(大らかな人?)には引っかからないこともあると思いますが、言葉を丁寧に受け取るタイプの人には、そういうニュアンスが少なからず引っかかってくるのではないかな、と思われます。)


一応、勝手な妄想でない証拠に、検索して出てきた、またもやQuoraの記事を引用紹介させていただきましょう(↓)。

www.quora.com

Quoraはたまに見る程度でそこまで頻繁に使っておらず、イマイチ仕組みの細部が未だに分からないので、この質問が誰によってなされたものなのかよく分からなかったとともに、質問は表題しかなく内容というか本文が見当たらなかった感じなんですけど、特に表題部分だけで問題ないですし、付いていた回答の方をいくつか翻訳引用させていただこうと思います。

 

(質問トピック)

なぜ日本人はしばしば「we Japanese」と、あたかも全ての日本人が同じことを考え、感じ、信じ、行動しているかのように言うのであろうか?

 

Nicky Sekinoさんコロンビア大学卒業で現在千葉県市川市在住の、日系アメリカ人の方でしょうか?)の回答:

「we Japanese」または「我々日本人」(※注:原文も日本語表記)という表現は、日本語ではよく使われるものである。日本語の表現を機械的に英語に訳すのは簡単なことなので、多くの人は意味が同じだと思って使ってしまうが、それは間違いである。

「we Japanese」という表現は、日本人を含むが、日本人以外の人は含まないという意味である:つまり、排他的なweだ。

したがって、日本人以外が「we Japanese」と聞くと、その人には「あなたは非日本人だ、だから、あなたは除外されている」という意味に聞こえるので、気分を害するだろう。


数年前、私はこの「we Japanese」を、ある日本人の英語教師が話しているのを聞いたことがある。学会でのことで、座長は非日本人であった。その日本人の言い方は、「我々は頭が良いが、あなたはそうではない、なぜならあなたは日本人ではないから」という意味のように聞こえた。

日本人の英語の先生が、他の国の先生を不快にさせているのを目の当たりにして、不愉快な出来事であった。

 

Alvin Grissom IIさん(何度か日本在住経験のある、コンピューター言語学者)の回答:

ここで挙げられている、社会学的な理由について論じた丁寧な回答群は参考になるが、「we Japanese」と言う日本人は、恐らく頻繁に使われる表現である「我々日本人」を直訳しているのであろう。多くの国籍の人が、例えば「Americans(アメリカ人)」「the British(イギリス人)」、あるいは単に「we」と言うのに対し、日本語では「我々」を加えるのが一般的である。英語では「we」をつけると、大量の人々について勝手に発言しているようで、おこがましい。日本人でもそう思う人はいるだろうが、しかしそもそもセットで表現されているものであるし、日本では他の国よりも「we(我々)」や「everyone else(みんな)」という言葉で考える人が多いのかもしれないね。

アメリカの場合、私の経験では、他の国の人を指して「foreigner(外国人)」という言葉を使うことはほとんどないように思う;一般的すぎるし、他人と距離を置いているように聞こえてしまう。「Are you a foreigner?(外国人の方ですか?)」と聞くのは、私には侮辱的に聞こえる。これは恐らく、アメリカが非常に多様な国であることも影響しているのであろう。しかし、日本語の「外人」(または「外国人」)という言葉は、日本人以外の人を指す言葉として(しばしば迷惑そうに)使われており、私の経験では、日本にいるほとんどの日本人は、なぜ他の人がこのように分類されることを特に好んでないのかを理解していないように思う。

どちらも一般論としては問題だが、「We Americans(我々アメリカ人)」のように均質な集団として言及するのは、それ以上に不条理だと思う。アメリカ人は(例えば)日本人と比べて歴史も文化もあまり共有されていないからね。


他にも日本生まれで現在米国在住の方のコメントなどもありましたが、概ね似たようなご意見だったためそちらは省略するものの、やっぱりこの辺は、良くも悪くも島国であり、全員が同じ日本人であるという意識が強めな我々日本人&日本語の特性ともいえる部分かもしれませんね。

もちろん僕自身が日本人だからですけど、「良くも悪くも」と書いた通り、必ずしもその一体感って悪いものではないんじゃないかな、って気もするのが正直な所かもしれませんが(言うまでもなく、「我々誇り高き、劣等民族どもとは違うヤマトタケルとヤマトナデシコ」みたいなのは一切ないですけど、基本的にみんな一緒・みんな仲良しみたいな気持ちが強いのは、良い部分もあるんじゃないかな、って感じですね)、少なくとも英語や外国語で表現する際は、そう取られかねない危険性もあるので、注意が必要かもしれないですね、というお話でした。

 

(あぁ、書くのを忘れてましたが、「じゃあ日本人について論じたい場合、どうすればいいのか?」は、排他的なweを付けず、単純に「Japanese」のみ、あるいは「Japanese people」とでもするのが良いと思われる…というのが結論でしょうか。)


この辺はややもするとセンシティブなトピックにもなりそうですが、例によって深い議論は僕にはできないので、「悪い面ばかりではないよね。良くない面もあるかもしれないけど」という、実質何も言ってない形で〆とさせていただきましょう(笑)。


(我々日本人の正装といえば和服・浴衣ですが、服に関しては、日常的に和装をする人は最早絶滅したに等しいと思われるため、一体感は何もないかもしれませんね。

 しかしこのいらすとの通り、浴衣はやっぱり大変いいものですし、夏は浴衣で過ごすのもいいんじゃないかな、って気がしますね…!

…まぁ、僕はそういえば浴衣を着て外へ出たことは一度もない気がしますが(旅館やホテルにあるのを着たことがあるぐらい)……)

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