エピソードタイトルに触れていくネタも残すところ4話で、うち半分は既に触れたことがあったため、流石に今回で確実におしまいになる形ですね。
しかし、何とも素晴らしいタイミングで、また触れるネタが出てきてくれました。
そちらはまた後ほど話に出すとして、まずはタイトルネタを終えてしまいましょう。
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『青い花』エピソードタイトルの由来まとめ(勝手に予想;括弧内は英語版青い花の英訳タイトル)
#49 片恋(Unrequited Love)
こちら、以前「はつ恋」で登場していたロシアの文豪・ツルゲーネフさんの作品に、またしても同じ邦題の作品があるようです。
ただし、今回も作品単独のWikipedia記事は存在しませんでしたが、曖昧さ回避ページ(↓)のトップに挙げられていましたね。
二葉亭四迷が翻訳したロシア人作家であるイワン・ツルゲーネフの自伝的小説「Ася(アーシャ)」の邦題
…とのことです。
一方、『はつ恋』は青空文庫で公開されていましたけど、『片恋』の方は残念ながら青空文庫には存在しないようです。
www.aozora.gr.jp
そしてこちらも前回の『この世の花』同様、新品の小説はもうAmazonにすら見当たりませんでしたが……
Amazon古書出展のページ、前回同様いずれリンク先は無くなってしまう可能性が高いためリンクカードまでは貼りませんが(リンク自体は文頭の文字に貼っておきました)、レビューが非常に興味深い内容だったので、こちらだけ引用させていただきましょう。
HN・オハラ翔子さんの、非常に有益なレビューですね。
こういうレビューは、本当にありがたく役に立ちますね!
書かれている「ツルさんの時代に取り残され具合」も気になりますが(笑)、やはりまずはアクセスが容易な『はつ恋』の方を、いつかその内必ず読んでおきたい限りです。
#50 君待てども(Even Though I'm Waiting for You)
こちらは、やや特徴あるフレーズなので元ネタがあるんだろうなと思ったら、やはりズバリヒットしてきましたね。
ja.wikipedia.org
1949年に公開された中村登監督の日本映画とのことですが、検索しても断然、映画よりも平野愛子さんによる主題歌ばかりが出てくるぐらいに、主題歌の大ヒットの方がよりよく知られている形なのかもしれません(Wikipediaにすらその記述がありますしね)。
その大ヒット曲も、とても古い曲なためやはり公式動画が存在しなかったので今回は貼るのを遠慮しておこうと思いますが、もちろん時代的にやや古い感じは否めないものの、高音の伸びが非常に美しい、とても素晴らしい歌声に感じました。
前回の吉永さんもそうでしたが、やはり、大ヒットした曲というのは、(やや古く感じられても)少なくとも歌声は、時代を超えて本当に心に響くものがあるなぁと思えてなりません。
…と、「主題歌が有名」とはいえ、やはり映画が面白かったからこそでしょうから、きっと映画の方も素晴らしい作品なのでしょう……と思ったら、非常に面白いことに、この作品は原案があるとのことで、それがこちら!
椿姫!
もちろん僕は読んだことがないのですが、19世紀半ばのフランス長編小説で、作者はなんと『三銃士』を執筆されたアレクサンドル・デュマ・ペールの息子さん、アレクサンドル・デュマ・フィス(父と区別するため、「小デュマ」と呼ばれるとのことです)ということですから、これは面白いつながりですねぇ~。
恐らく作中最後の演劇が三銃士だったこととのつながりも込めての、このタイトルだったのではないかと思われます。
#51 第七官界彷徨(Wandering the World of the Seventh Sense)
こちらは既に以前の記事で触れていました、尾崎翠さんによる1933年の小説が元ネタですね。
(Wikipediaには作品単独記事がなかったので、作者ページを貼っておきましょう。)
ja.wikipedia.org
志村さん渾身のタイトルであったこと、さらに僕個人的には先にそちらに触れてしまったばっかりに、『第七女子界彷徨』が元ネタかと思ってしまった(いや流石に元ネタと思ってはいませんでしたが(笑)、そちらが浮かんだということですね)、ということは以前の記事で書いていた通りです(後者はとんでもなくどうでもいい話ですけど(笑))。
#52 青い花(Sweet Blue Flowers)
そして最後のエピソードサブタイトルが作品タイトルで終わるという、非常に美しい形の終わり方ですね。
ただもちろん、『青い花』それ自体は、考察記事でも触れられていましたけど、ノヴァーリスの未完小説を挙げることができる形といえましょう。
ja.wikipedia.org
でもまぁ、これはたまたまというか、結構一般的なフレーズですし、単に名前が「被った」であって、そこまで元ネタというわけではないんじゃないかな、って気もします。
英語タイトルは全然青い花要素もありませんしね。
また、青い花といえばやはり、「ブルー・ローズ」が「不可能」の代名詞……だったのが、近年、技術の発達により「夢 かなう」という花言葉に変わった……という素敵すぎるエピソードがとても印象深いですけど、これは、ずーっと前のブログ記事でその辺にも触れていましたね。
最後におもむろに1年以上も前の記事を宣伝するというクソムーブで、本シリーズの幕を降ろそうかと思います。
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という所で、冒頭で触れていた通り、何とも都合よく、ネタが尽きた所で新しいネタがまた出てきてくれたといいますか、ちょうど本日、Frankさんから「追加のパラグラフが一通り完成した。こちらにリンクを貼っておくので、また翻訳をしていただけたら大変嬉しく思う」という連絡をいただいていました。
これは(まさにこちらこそ)大変嬉しい!
早速読ませていただいていますが、相変わらず面白いですねぇ~。
しかし、送っていただいたのはまだPrivateフォルダに入っている文書で、Frankさん自身は全体公開されていない文章なので、原典が公開されてないのに翻訳を勝手に公開するのはいかがなものだろうか…とも思えたゆえ、水面下で翻訳をさせていただきつつも、まずはFrankさんが公開されるのを待とうかと思います。
とはいえプライベートフォルダなのは、単純に最後の追加パートがまだ校正前の段階だからのようで、メールの返事に↑で書いた通りの「翻訳を先に公開するのも変に思うから、公開処理を待つよ」というメッセージを送ったら、「最後以外はもう最終版だし、全部が完成するのを待つ必要もないね。出来た分は、公開処理にしておこうと思う」という連絡をいただいていたので、割とすぐに公開されるのではないかと思います。
そんなわけで、(もし明日時点ですぐに公開処理がされていたら)次回からはまた『That Type of Girl(そっち系のひと)』の追加パート・日本語訳をご紹介していこうかな、と思っています。
まだしっかり読んでいませんが、楽しみですね!
(※ブログ記事アップ直前に、「既に公開処理をしたよ」という連絡をいただいていました。リンク含め、早速次回から見ていこうと思います…!)
最後、アイキャッチ画像で使わせていただいている表紙、淡島も3冊貼り終えた所で、時系列的に次に新しいのは、『こいいじ』ですか。
個人的には『娘の家出』の方が新しい印象でしたが、始まったのも終わったのも『こいいじ』の方が後だったんですね。
こちらも、素晴らしい作品でした。
また順番に表紙をAmazonからお借りしようと思いますが、マメちゃんの一途な(意地な?)恋、ご覧になったことがない方はぜひお手に取っていただきたい限りです。