青い花の同人誌『That Type of Girl』日本語訳その9:いきなりショック!

今回から、ついに『青い花』漫画本編の考察へ入っていく感じですね。

今節のサブタイトルも、補足説明がありました。

まずはそちらから触れておきましょう。

-----Frankさんによる今回の章のタイトル解説・訳-----

"A Rude Awakening":これは英語の慣用句で、「思い違いをしていたことに対する、突然の驚きと不快感を伴った発見」を意味する。ここでは、恋する女の子を描いたシンプルな百合物語を読もうと思っていた読者が、最初のシーンであきらと兄の近親相姦が示唆されていることを目の当たりにするという、「突然の驚き」を表現している。

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日本語でいうと、「突然知った嫌な事実」というのが最も近く、より砕けていえば「ひどい幻滅」「いきなりショック」という感じで、ブログ記事タイトルもそんな感じにしてみましたが、本の節のタイトルとしては、どうでしょうね、元々がイディオムということですし、「寝耳に水」あたりが一番近いかなとも思いましたが(awaken=目覚めとも近いですしね)、あぁ、こちらにはあんまりネガティブな意味合い限定感はない気がするものの、いきなりの衝撃的な驚きという意味合い、そして「青」という文字が使われていることからも、「青天の霹靂」あたりがいい感じに合っているでしょうか?!


この『青い花』シリーズにおいて、青は非常に大切な色ですからね、漫画に触れる一発目は、青を含んだこの慣用句で飾ってみるといたしましょう。

英語版『青い花』1巻お試し読みの範囲に、件のシーンもありました。https://www.amazon.com/dp/1421592983/より

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That Type of Girl(そっち系のひと)
志村貴子青い花』に関する考察

著/フランク・へッカー 訳/紺助

 

(翻訳第9回:49ページから52ページまで)

第一巻への覚え書き

青天の霹靂

注意:本節には、児童性的虐待に関する議論が含まれる。

しばしば、異国文化の作品に出会ったとき、その特徴に一瞬たじろいでしまうことがある。漫画やアニメも例外ではない。この作品で我々は、可愛い女子学生の甘い恋物語を期待しているわけだが、なんと、『青い花』を読み始めるやいなや、奥平あきらの兄が、あきらのベッドの中から見つかるというシーンを目撃してしまう(『青い花』(1) p. 8/SBF, 1:8)。これは、思春期前の兄妹が寄り添っているケースではない:奥平あきらは高校に入学した所なので15歳、兄は運転免許証を持っているので少なくとも18歳以上(それほど年上ではないにせよ)であることがわかる。

 一体ここでは何が起こっているのだろうか?一つには、志村が漫画やアニメでよくあるパターンの、「シスター・コンプレックス」を揶揄している可能性がある。アキラの兄は、「シスコン」の典型にぴったりと当てはまる:ガールフレンドの姿はなく、まだ実家暮らしで、仕事も何もしていないようで、さらに最後にして最も重要なことに、自分が何か間違ったこと、望まれないことをしているという自覚がない。

 志村は、あきらの兄が「チカンには気をつけろよー!」と偽善的に警告するのを笑いの種にし(『青い花』(1) p. 11/SBF, 1:11)、続くエピソードでは、合コンを計画する彼女について行く彼の過保護ぶりをからかっている((1) p. 102/1:102)。しかし、この冗談はいささか間違っているように思える:この物語の核心が、あきらとふみの間の発展的な関係を示すものであるならば、なぜ最初の段階で、彼女の兄を前面に出すことでそれを台無しにするのだろうか?

 これは冗談なのではなく、もしかしたら志村の意図はもっとダークなもので、特に、あきらが兄からの継続的な性的虐待の被害者であることを暗示しているのではないかということも推測され得る。このように解釈すれば、あきらが恋愛に無関心なのは、単に自分の心のあり方を反映しているのではなく、幼少期のトラウマによって感情が麻痺しているからであると、ひょっとしたらいえるのかもしれない。しかし、この解釈は、漫画の他の部分であきらと兄の両方が比較的陽気に明るく描かれていることとやや矛盾するように思われる―この疑問については、虐待を乗り越えた人々の判断に委ねたい。

 私の解釈は中間的なものだ:ユーモラスな結末に利用され得るよくありがちなパターンへの言及である以上に、志村はこれを、女性には男性というものを信頼できない理屈があり、それに対して他の女性(この場合はあきらの母親)からの保護を頼りにするという例として意図していたのかもしれない…という気が、しなくもないのである。次節で述べるように、すぐ後の電車内のシーンは、この観点を更に補強している。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

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割と短い節でしたが、なるほど、そう来ましたかぁ~。

「ひょっとしたら、あーちゃんは兄の悪しき手により、性的虐待を受けていたのでは…?」という部分を読んだとき、僕は正直、申し訳ないですが声を出してワロてまいましたね(笑)。

いやバカにしているとかそういうわけではなく、「んなわけねーじゃん(笑)」といいますか、「もう~真面目なんだから~」といいますか、「坊主、志村作品は初めてか?まぁ肩の力抜けよ…」とでもいいますか、こんな変態シーンは本当に志村作品ではまさに序の口、日常茶飯事といっても過言ではなく(やや過言ですけど(笑))、少なくともこのシーンにそんな深刻な空気や意味合いは全く微塵も一切感じられないと、個人的にはそう断言しても構わないように思えてなりません。


…とはいえこれはやはり文化の違いもあるかもしれず、そういった意見を問答無用に否定するのも、良くないことなのかもしれないですね。

例えば、『となりのトトロ』で、お父さんとメイ・五月が一緒にお風呂に入るシーンがありますけど、これ、日本国外だと冗談抜きに「児童虐待では?」と思う人が多数いらっしゃるというのはあまりにも有名な話ですし、そこまでいかなくとも「不快だ」と思う人が多数いるというのもしばしば見聞きします。

(検索したら、「トトロ お風呂」だけで、「海外の反応」のページがたくさんヒットしてくるぐらいですね。一例↓)

fumfum100.com

これもいずれブログで書こうと思ってましたが、アメリカ(というか、日本以外のほとんどの国)では、子供を一人で公園で遊ばせると逮捕される(親が)・子供を家に一人で留守番させると逮捕される(親が)、子供を一人で車に残すと逮捕される(親が)…などなど、日本の常識からすると(まぁ最後のは真夏の車中で小さい子が…みたいな場合、事故も頻発していますし、最近はダメだとされてる気もしますけど)、「マジで?!」と思うことが本当に多いんですよね。

(検索したらヒットしてきた、アメリカでのルールの一例↓)

www.youmaga.com

そういう、子供を保護することに対する価値観の違いというものが間違いなくあるからこそのFrankさんの感想でしょうし、海外の方がシリアスに受け止めるのもむべなるかな、という点はあるといえるのかもしれません。

ただやっぱり、この作品の冒頭のシーン(そしてこれはFrankさん自身も書かれていましたが、それ以後の描写など総合して)が、性的虐待に当たるかどうか…という点はまぁこれは文化的な違いもあるしややセンシティブなのでともかくとしても、作中であーちゃんが兄に性的ないたずらをされていたとかそういうことは、100%絶対にないと、漫画好き日本人の目からは断言させていただきたく思う次第ですね。


そういえば、似たような話で、ちょうどごく最近、『はじめてのおつかい』がネットフリックスで世界中で公開され、尋常じゃないぐらいに世界で話題&人気になっているというニュースもまとめサイトで目にしましたが…

掲示まとめサイト系より、しっかりまとめてくださっている記事↓)

www.watch.impress.co.jp
これも、「日本以外だと、こんなもんマジで逮捕されるでしょ、親が。その意外性が受けてるんじゃない?」というまとめサイト民の反応も記憶に新しいですけど、しかし本国我らが日本でも、もうこの番組は成立しないような気がしますねぇ。

(あくまで倫理的にどうこうというより、何か、やらせと演出の境目とか、そういう視聴者側の受け取り方的な話で、難しいんじゃないかな、というそっちの意味ですけどね。)

多分今は放送してないと思いますし……と思ったら、有名人の子息令嬢をフィーチャーして、今でも不定期に放送自体はされているみたいですね、Wikipediaによると!


…まぁ、僕はあんまりこの番組を熱心に見たことがあるわけでもないですけど、世界中の人がこの古き良き日本スタイルに今更ながらハマっているというのは微笑ましくて大変嬉しいニュースに思えます。

あんまり倫理とかモラルとかそういう深いことを考えず、子供の無邪気さを楽しみましょうや、と個人的には思えるものの、それは子供を持たない人間の勝手な意見なのかもしれませんね。


と、話があっちゃこっちゃ飛びましたが、とりあえず青い花冒頭のシーンについては、「安心してくれ、そんなにダークなものでは絶対にないから!」と断固主張したいという感じでした。

とはいえ大変興味深い視点の考察でしたし、まだまだ関連話は続くようですから、この先の内容も楽しみに読ませていただくとしましょう。

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