オルガンとティッシュ

核・リボソームミトコンドリア葉緑体・液胞・ゴルジ体あたりで、まぁオルガネラの話はとりあえず十分といえましょう。

毎度、あまり中身というか本質とは関係ない「名前」についても結構つっかかっていましたが、せっかくなのでついでに、そもそもオルガネラとはどういう意味なのか?についても触れておこうと思います。

まぁ日本語で「細胞小器官」のことなので、それの英語(ラテン語)呼びなだけなわけですけど、そもそもこの語の土台はオルガン(organ)ですね。

オルガンというと、教会や学校によくあるあのピアノっぽい鍵盤楽器のイメージが浮かびますが…

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https://ja.wikipedia.org/wiki/オルガンより

こいつはWiki辞書によると古代フランス語のorganeラテン語organum古代ギリシャ語のórganonという語由来で、意味は装置・道具・ツール的な言葉であり、音楽であればあの楽器、そして生物学であれば器官(胃とか肝臓とか、特定の機能をもつ体内装置みたいなもの)という意味になる言葉という感じです。

もちろん日常生活で「オルガンがさぁ」とか聞いたら最初に楽器が浮かびますが、生命科学系の研究の場では、organといえばイコール器官というぐらいに、完全に臓器のことを指す語となっています(もちろん、英語的な発音ではオーガン……でもそれは楽器も同じですし、特に表記の違いはないでしょう)。

これに-ismという語尾(「主義」という意味や、それに派生して「行動」とか「体系」的な意味をもつ接尾辞ですね)がついて、organism=オーガニズムで「生命体」(有機物の集合体)という意味になりますし、恐らくorganそのものよりこのorganismという語からさらに派生して、-ic(~的という意の接尾辞)がつくことでオーガニック=「有機的な」という語も関連しているといえましょう(まぁオーガニックは別に野菜とかの栽培法のみの意味ではなく、生物のように密接に個々の要素が絡み合っている状態を指すので、その意味ではorganそのものともいえますが)。

他にも、-izeという接尾辞=「~にする」的な意味で、秩序立った状態のorganにするという発想からorganize=「オーガナイズする・整理する」という言葉にもなり、団体・組織を意味する「.org」のorganizationもこの派生ですね。

そして最後、-elleという接尾辞がつくことでorganelle・オルガネラという語が得られるわけですが、この接尾辞はコリンズオンライン辞書によるとフランス語からの借用語で「小さい」を意味する語とのことで、まさに、「小器官」という意味そのものの用語になっているのでした、というそれだけの話です。


…当初、名前の余談なんてパッと終わらせて、質問を進めていこうと思っていたのですが、かなり中途半端にしょうもない語源話だけで結構長くなってしまいましたね。

まぁもう割と分量も大きくなってしまったので、今回も雑談回と割り切ってまた脱線しましょう。

そもそも、色々なレベルの物質をこれまで見てきましたが、改めて、生命の構成単位を小さい順に並べると、ざっくりこんな感じでしょうか。

原子<分子<<<細胞<<<組織<<器官<<個体


原子

CとかHとかOとか


・原子が並んだ分子
(例:こないだ膜の消失の話に出ていた、リン酸化されたアミノ酸・セリン(リン酸化されると性質が変わり、核膜をつなげなくなるうんぬん的なアレ))

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https://ja.wikipedia.org/wiki/ホスホセリンより


・分子が集まって高分子
(例:核膜の穴ぼこにいるタンパク質・ヌクレオポリン)

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https://en.wikipedia.org/wiki/Nucleoporinより


・大量の低分子高分子から形成される細胞小器官

(例:そんなに詳しく触れなかったけど、核膜から伸びてできた小胞体)

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https://en.wikipedia.org/wiki/Endoplasmic_reticulumより


・細胞小器官が大量に集まって構成された、細胞
(例:Wikipedia・細胞ページにあった、タマネギの根(恐らく核を染色したイメージ図))

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https://en.wikipedia.org/wiki/Cell_(biology)より


・沢山の細胞が集まってできた組織
(例:肺の一部組織を切り取った検体の染色図)

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https://en.wikipedia.org/wiki/Tissue_(biology)より


・特別な機能をもった各組織が集まって器官
(例:胃)

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https://ja.wikipedia.org/wiki/胃より


・器官が集まってできたのが、僕達人間だ!

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https://en.wikipedia.org/wiki/Surface_anatomyより

この辺のスケール感を自分なりにきっちりイメージできるようになれば、まさに入門編を学んだ甲斐があったという感じかもしれませんね。


名前に関していえば、オルガンと対をなす、初めて聞いたときに「そんな意味あったん?」と思えるものに、ちょうど器官と親子関係にあるといえる語、組織が挙げられましょう。

Wikipediaのリンクにもありましたが、組織は英語でtissue、まさかの、ティッシュ!!

こちらの語源はまたしてもフランス語で、意味としてはwoven=織物という感じのようですけど、まぁあんまり織物感はないし、これはティッシュペーパーの方がむしろしっくりくる感じがするなぁ、って印象かもしれませんね(幼少期から、ティッシュといえば鼻紙ですしね)。

なので、ティッシュペーパーは別に組織をくるむためのものだとか、古代に解剖で使われたためそう呼ばれるようになった…とかいったことはなく、普通に織物のような紙という意味で誕生した言葉でしかないと思われます。


ちなみに、ティッシュは英語でそのまま「ティシュー」呼びしてもまぁ通じるんですけど、より一般的に使われる語が存在しています。

割と有名な話ですが、アメリカでは鼻紙のことを、「Kleenex」、そう、ティッシュのブランドの1つであるクリネックスと呼ぶことの方が多いんですね!

…ちゅーても正直、そもそもアメリカ人はあの日本では絶対に1部屋に1つレベルである箱入りティッシュというのはあまり見かけず、基本的にはペーパータオル・キッチンペーパー・トイレットペーパーなんかが生活で活躍する紙なのかな、って印象があるかもしれません(ロールタイプが多いってことですかね)。

まぁでもないことはなく、箱入りティッシュも普通に売られてますし、呼ばれるならクリネックスが多いという、商標呼びなのが有名な生活用品ってやつですね。

(バンドエイドみたいなものですかね?まぁバンドエイドはバンドエイドで、呼び方に地域差があるもの筆頭みたいにいわれてますが…

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阿蘇製薬のばんそうこうの呼び方マップより

…これも面白いネタですねぇ~。

 記事下にありましたが、サランラップ・エレクトーン・味の素(これは、化学調味料全般とのことですが、まさに味の素以外の商品を味の素呼びすることはないんちゃう?って気もしますが、それは僕が料理をしないから知らないだけなのかもしれません)なんかも、同じパターンですね。)


ちなみに英語の場合、さらに有名というかこちらはマジで確実に使われまくってるしよく耳にするものとして、コピーを取ることを「xeroxゼロックス)する」といいますね。

キヤノンやリコーやシャープ製品であってもxeroxと呼ばれますから、日本企業涙目、って感じかもしれません(笑)。

(一応、富士フイルムxeroxと提携していたのか、しばしばFuji Xeroxという名称を見かけはしますが…)


ということで、生物とはほぼ無関係な、またまた名前ネタ雑談でした。

次回はようやくご質問に戻っていくといたしましょう。

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