ミネラルについて

また1つ、前回書こうと思ってて書き忘れてた点があったのでそれから触れようかと思いますが、ナトリウムやカルシウムといったあんまり金属っぽくない金属の話をしていたのが前回だったんですけど、こいつらは、栄養学的な話ではミネラルと総称されるやつらでもありますね、ってことを書き損ねていました。

まぁ別に大した話でもなんでもないんですけど、ビタミン・ミネラルという感じでよく聞く気がするミネラル、案外雰囲気で使っていて何のこっちゃよぉ分かってない用語ではないかと思うのですが、これは結局、日本語にすると「鉱物」ってことで、まぁそう聞けば金属とほぼ同義なのも納得いくっちゃいくか、と思えるのではないかと思います。

といってもミネラルには金属のみならず、塩素やヨウ素やリンといった非金属も含まれるわけですが(ちなみに「~ウム」が金属グループに特徴的な名前だったのと同様、「○素」というのは非金属元素の代名詞的呼び名ですね)、結局、定義としては、『生体を構成する主要な4元素(酸素、炭素、水素、窒素)以外のものの総称』とのことで(参考:厚労省e-ヘルスネット(↓)より)、ぶっちゃけ有機物以外のほぼ全ての物質(単一元素)が「ミネラル」と呼ばれる感じだということですね。

www.e-healthnet.mhlw.go.jp
つまり、ナトリウムはミネラルだし、カルシウムもミネラルだし、鉄も銅もアルミニウムも塩素もフッ素も硫黄もミネラルである…と、そういうことですね(どれも、微量ではありますが、生体内に含まれる元素です)。

だから、ミネラルウォーターと普段気軽に呼んでいますが、それを踏まえたら食塩水もミネラルウォーターの一種なんじゃん?……と一瞬思えたんですけど、これは何気に「ミネラルウォーター」という用語自体が特別な意味をもつようで、そういうわけではありませんでした。

こちら同じく厚労省監修のミネラルウォーターに関する手引書ですが……

f:id:hit-us_con-cats:20210825052734p:plain

https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000468799.pdfより

ナチュラルウォーター・ミネラルウォーターとして販売されるものは、「特定水源より採水された地下水」で、かつ、基本的に水以外の物質を含まない(適宜殺菌等以外の処理を行わない)ものとされるようなので、「塩化ナトリウムはミネラルだぞ、だから食塩水はミネラルウォーター」とか呼ぶのはNGという感じのようです。

(…って、「ナチュラルウォーター」より区分け基準が甘い「ミネラルウォーター」なら、「ミネラル分の微調整」は許容されているようなので、食塩をドバドバ入れても「微調整です」と言い張れば、一応ミネラルウォーターを名乗れなくはない…?流石に、もともとの含有量を超える量を「微調整」というのは認めらんないですかね?)

…まぁ、そんなの正直マジでどうでもいいですね。


とりあえずこれで五大栄養素である炭水化物・タンパク質・脂肪・ビタミン・ミネラルの内、4つまでこのブログで取り上げたことのある感じとなったわけですが…

~軽くおさらい~

炭水化物:糖のこと。炭素が五角形や六角形になり、OHの場所というちょっとした違いで名前・甘さ・性質が結構変わるあいつら。五角形六角形の単糖がつながって、二糖~オリゴ糖~多糖などを形成する。

 生命の主役はタンパク質だけど、そのタンパク質を、必要なときに必要な場所で必要な量自力で作るため、または、既に存在するタンパク質=筋肉などを動かすため、すなわち総合すると、生きるためのエネルギーとして必要だということ。

 米、パン、麺、イモ、トウモロコシなどなど、食べ応えがあって美味しい、主食っぽいやつらの本体は、ズバリこいつ(もちろん、それぞれある程度の量のタンパク質や脂質も含まれるけど、主成分はこいつ、ということ)。食べ物の主役。飽食の時代においては、敵視されがち。


タンパク質アミノ酸がつながってできた、生命の主役、生物そのもの。20種類のアミノ酸がつながるだけで、目を形成して光を感知することもできれば毛になって体表を保護することもでき、筋肉にもなれば皮膚にもなるなどいわば体の本体ともいえ、血液中で酸素を運ぶとか、色んな化学反応(DNAの合成、タンパク質の合成、お酒の分解、食べ物の分解=消化などなど)を引き起こす酵素としてミクロのレベルでも働いている、クッソ有能すぎる分子。

 ただ、タンパク質は高分子なので、これを食べても、直接自分の体内でそのまま使うことは基本的にできない。胃腸で消化して、アミノ酸にまでばらして使うのが基本。つまり、タンパク質を食べるというのは、タンパク質を(自分で)作るために必要な材料を摂取している、ということといえる。
 バラバラにしたアミノ酸からどうやって必要なタンパク質を作るかというと、DNAに記された「タンパク質設計書」に従い、アミノ酸を1つずつつないでいくという、例のやり方。(何気に、まだ説明の途中・詳しい話に移るちょうど直前のタイミングで、ずーっと余談に脱線してしまっている最中ですが。)

 卵や肉や乳や豆といった、甘くはない(むしろ、味付けなしのそれ単品だと、味気ないことがほとんど)けど、あからさまに健康的なイメージのあるナイス食品。
(まぁ豆は正直、炭水化物を多く含む場合もありますけどね。イモも豆も、甘いやつは炭水化物が多いし(アズキやサツマイモなど)、味気ないやつはタンパク質の割合が大きい(大豆とか長芋とか)って感じでしょう。)

 どれだけエネルギーがあっても(=炭水化物を十分摂取しても)、働くやつらがいなければどうしようもないのは明らかですから、いかにタンパク質が重要かはいうまでもないでしょう。
 僕は味的にも栄養的にも分子機能的にも、あらゆる意味でまさしくタンパク質ファン、むしろ「タンパク質先生の力だけで十分生きていけやす、ヘヘッ」とすら思っているので、ファンを通り越して信者とすらいえるかもしれません(とかいって、普通に糖にも浮気してますけど(笑))。

 高タンパク・ローカロリー・ローファットな食事は、やっぱり個人的には現代の食生活において非常に優れているものであるのは間違いないと思えちゃいますね。

 

脂質:ヌルヌルした。フライパンに引くサラダ油とかで、 純品を目にする機会が多いので、一番イメージはつきやすいかもしれませんね。もちろん、液体の油のみならず、霜降り肉の白い所や、安い肉のブヨブヨした白い部分、いわゆる脂身なんかも脂質の一種。

 分子的には、炭素が18個とかそれ以上つながった、長い鎖みたいな構造をとる、二重結合があると融点が下がって固まりにくくなる…なんて特徴もある脂肪鎖(脂肪酸)がアブラっぽさのメインパートであり、こいつらがグリセリンやスフィンゴシンなどとエステル結合で複数個結びついて、1つの脂質分子となる…などということについて、以前、有機化学講座の脂肪についてのこの辺の記事から何回かにわたり、熱弁をふるっていました。

 代謝・栄養学的には、エネルギーの貯蔵物質として使われるという点は、小学生でも知っていますね(食べた後に使われなかった余計なエネルギーは、脂肪となって身につき、肥満へ…)。
 そのせいで非常に印象が悪いけれど、これがなければ大飢饉とかですぐ餓死してしまって人類は滅亡していたかもしれないし、生物学的には、エネルギーの貯蔵以外にも膜を形成するという超重要な役割を担っている、これも生きる上で欠かせない栄養素の1つ。
(細胞や、その中にある各種細胞成分が独立して存在できるのはひとえに「膜」というものが自己と外界とを分けているからで、その「膜を形成する」という一点において、脂質は万能選手タンパク質より便利・有能であり(油の「水に溶けない」という性質のため)、ミクロの世界で特化した役割をもっている、って感じですね。)

 これもいうまでもなく誰でも知っていることだけど、あらゆる食べ物に極上のテイストと中毒性とを加える。中華料理とか、どんだけ大量の油を使っているか、ご存知なくって…?(まぁ僕は料理をしないので知りませんけど(笑)。でも「中華の美味さはとにかく油をふんだんに使うから」ってのはやっぱり常識ですね)。
 栄養に乏しかった時代を生き抜くために、甘いもの(炭水化物)と並び、油っこいものを口にすると、人間というのは尋常ならざる快楽物質が脳から分泌されるようにプログラミングがされてしまっている……ということでしょう。

 炭水化物同様、現代人の食生活では過剰摂取になりがちなので、忌避されやすい栄養素。それもあって三大栄養素の中では一番重要度が薄い印象だけど、単に不足しづらいというだけで、完全に欠乏したら当然ヤベェことになる(健康な生命活動に異常をきたす)のはいうまでもありません(だから、三大栄養素に挙げられてるわけですしね)。


ミネラル:炭素・酸素・水素・窒素以外の元素の総称。ミネラルという単語自体は「鉱物」のことだけど、非金属の塩素やリンや硫黄も含まれるということですね。

 とはいえ日常生活で意識すべきミネラルは限られており、先ほど貼ったe-ヘルスネットによると、摂取基準が掲げられているものは、「多量ミネラル」として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンの5種、「微量ミネラル」として、鉄、亜鉛、銅、マンガンヨウ素、セレン、クロム、モリブデンの8種があるとのこと。

~おさらいここまで~


…あとはビタミンについて、まぁサプリの話で一回だけ特定のビタミンを取り上げたことはありましたけど、どんなものかを見たことは今までなかった感じですね。

当初「分子分析技術の続き」の話をする予定→また余談だけで終わりそうだったので、「ビタミンについて」に記事タイトルを変更……としていたんですが、まさかの、ビタミンにすらたどり着けずいい量になってしまったので、ビタミンは次回以降にまわすとして、ミネラルについてもうちょいだけ触れてみるとしましょう。

1. ナトリウム(Na)

説明不要、主に食塩の塩化ナトリウムとして摂取される、必須でありながら過剰摂取を心配しなければいけない、ミネラルの王様。

全ミネラル中、唯一の「目標量が『○グラム以上』ではなく『○グラム未満』になっている」カス。

…といってもこいつ自身は本当に生命活動に必須で、あまりにも重要だから、進化の過程で、「人間が摂取する普通の食事で不足することは絶対にない/どんなに栄養に恵まれない状況でも、口にするものから必ず容易に摂取できる」という形に落ち着いたというべきかもしれない、例えるなら「出しゃばりすぎて、逆に飽きられてしまったスター」みたいな悲哀もある、ピエロのような存在なのかもしれない……。
(王者といったりカスといったりピエロといったり、忙しいなオイ(笑))

当然、人間が使うのは、単体の金属ナトリウムではなく、イオン並びにイオン結合で結びついた化合物の形で存在するナトリウムですね(以下金属元素は全て同様)。

2. カリウム(K)

ナトリウムと対を成す存在といえるカリウム、こちらは、以前の記事で触れたこともありましたね。

細胞の内部はカリウム濃度が高く、細胞の外部はナトリウム濃度が高くなっており、この濃度勾配が生命活動を維持する上でとても重要……的な話をしていました。

そういった性質から、カリウムを摂取すればナトリウムを体外に排出することにもつながるため、塩分過剰摂取に対してナトリウム討伐戦士としての活躍が期待される、有能ミネラルといえる感じですね。

↑の記事でも書きましたが、カリウムといえばバナナな印象で、バナナ1本には約400 mg程度のKが含まれているとのことです。

一方成人1日の摂取目安量は、2600~3000 mgとのことなので(厚労省より)、流石にバナナだけでは太刀打ちできませんから、やはり幅広い食品から摂る必要はあるみたいですね。

なるべく控えることを推奨されているクズNaとは違い、上限は設けられていないので、ガンガン摂るようにすると良いでしょう。

…といっても、これといってカリウムが目立って多く含まれる食品なんてものもないようなので、「カリウムを摂るために、これをいっぱい食べたろ」という話は特別ないんですけどね。

一応、野菜や果物に多く含まれるといわれているので、「野菜や果物を多く摂りましょう」という、何の変哲もないつまらん健康アドバイスにしかなっていない感じかもしれません。


…と、ビタミンどころか、ミネラルの続きすらもう長すぎてアレになってきてしまったので、続きのカルシウムから、次回にまわさせていただくとしましょう。

にほんブログ村 恋愛ブログ 婚活・結婚活動(本人)へ
にほんブログ村