三重の極み…四重の極み…!

エチレンのおかげで二重の極みをマスターした我々一行は、一路、三重の極みをマスターするべく、新たなる旅路へと向かったのであった…。

まぁエチレンガスについてちょろっと触れただけで二重結合マスターなのかよ(笑)って感もありますが、実際、 二重結合を持つ炭化水素グループ・アルケンには、エチレンの他には日常生活でパッとするやつはいない感じですね。

むしろ、アルデヒドやカルボン酸に顔を出すC=O二重結合の方がより頻繁に目にすることもありますし、一応今後の話でまた二重結合が顔を出すこともあるかとは思いますが、出てきたらそのとき確認していくことにしましょう。

ってなわけで二重結合の次は当然三重結合ですけど、三重結合ともなると炭素Cの4本腕中3本を使うことになるわけで、使える腕は残りたった1本しかなく分子の自由度が大分小さくなりますから(また、三重結合自体も、かなり無理のある構造なので、一般的に不安定)、大して有機物の学習では登場しませんし、日常生活になじみのあるものも皆無かもしれません。

とりあえず最も簡単な物質、CとHのみから成る炭化水素を見ていきますと、例によってC1つから成るメタンCH4では三重結合をもちようがありませんから、ここでもC2つのエタンCH3-CH3が出発物質になります。

この炭素同士が三重結合をもちまして、ちょうど三本線は合同を示す記号「≡」が存在するのでこれまた文字列で表記可能ですが、H-C≡C-H、こんな物質ができるわけですね。
(なお、この表記法の点に関して以前ご質問をいただいていたのですが、Hが腕1本なのは明らかなので、CH≡CHと書いても問題ありません。
 でも、何となく、HC≡CHと書く方が多い気がしますね。逆に、エタンはCH3-CH3の方が普通というかよく見かける書き方であり、H3C-CH3というのはあまり見かけない気もしますが、別にどれも間違ってはいないと思うので、好みで書けばいいように思います。)

一重結合(単結合)のみの炭化水素アルカン、二重結合を含むものがアルンでしたが、三重結合を持つものは……カ→ケ→ときたら、コだ、アルコン!…と思いきや、そんな日本語ルールが当てはまるわけもなく(というかよく考えたら、カ→(キク)→ケなら次は(コサ)→で「シ」になるのが素直な推測だったでしょうか)、こちらはアルンになります。

なので、HC≡CHは、エタン→エチン…かと思いきやまたもや、もちろんエチンでも間違ってはいないし通用しますが普通はそう呼ばれず、慣用名のアセチレンと呼ばれることがほとんどです。

アセチレンも、うーん、聞いたことあるようなないような…って感じで、あんまり身近ではない気がしますね。

日常生活ではアセチレンランプとして用いられるということですが、そもそもアセチレンランプってなんだよ、普通の豆電球(白熱電球)しか使ったことねぇよ(笑)としか思えませんし(さらにいえば、今時の子だと、白熱電球すら経験がなく、LED電球しか知らない、なんてパターンも多そうですね。まぁ、間違いなく一番多いのは、白熱電球と蛍光灯とLEDの区別すらついていない子、だと思いますが)、まぁこんなものはもう絶滅したとみなしても概ね問題はないといえましょう。

しかし、三重結合の代表的な物質はこのアセチレンで、C3プロピン(こちらは、プロパン→プロピレンみたいな通称はなく、そのままプロピンです。しかし、CH3−C≡CHという構造を見ると、「あ!これ、アセチレンのHがメチル基(-CH3)に変わってるだけじゃん!」とお気づきになる方も恐らくいらっしゃる通り、こいつは「メチルアセチレン」とも呼ばれます。どっちみち、あんまり出てこないですけどね)やC4ブチン(例によって、どこの炭素間に三重結合があるかで、1-ブチンと2-ブチンの2種類があります)などはよりマイナーな物質なので、こんなもう日常生活からは絶滅したかのようなやつが三重結合の代表面しているのが、いまいちマイナー感否めないアルキングループの現実でしょうか。

エチレンガスとして、身近に存在して人間社会にも役立っているアルケンの爪の垢を煎じて飲ませてやりたいぐらいですね。

全然生活になじみはないですが、一応構造だけ見ておくと、これは非常に分かりやすい形になっており、とても分かりやすいナリをしているという意味では、アセチレンが(覚えやすさの)チャンピオンかもしれません。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/アセチレンより

そう、三重結合があると、その左右につながっている原子は、結合角度が180度でつながっている…つまり一直線に並ぶ分子なのです!

まぁ、だから何なん?って話だし、こんな細かい話は覚える必要もないので、やっぱりアセチレンなんてどうでもいいんですけどね(笑)。

しかし、酸素Oは2本腕で三重結合は作れないものの、そういえば窒素Nには腕が3本ありました。

なので、CとNは三重結合を形成し、-C≡Nという官能基が存在します。
(これは細かすぎてどうでもいい点ですが、CN自体は官能基として(=フリーの腕1本を使って)他の有機物にもつながる一方、イオン化することで、金属などの無機物とも結合することが知られています。まぁ、入門編では本当にどうでもいいポイントですね。)

こいつの名前は、さほど重要でもないので覚える必要はないと思いますが、シアノ基またはニトリル基と呼ばれる物質で、両者はほぼ同じ意味の用語ですが、ニトリルは有機化合物限定で使われる名前になっているようです。

ニトリルの方は、高校の有機化学で2種類の物質を学びますが、単純な方がCH3−C≡Nアセトニトリシアン化メチルとも呼びますが、これも通称名のアセトニトリルと呼ばれることの方が多いでしょう)、そして二重結合と三重結合を有すという無駄に複雑な形なのに工業的に極めて重要な物質ということでなぜか突発的にニトリルの中からピンポイントで覚えさせられるアクリロニトリルCH2=CH−C≡N)、まぁ何か声に出して読みたくなる心地よさがあるのでついつい覚えちゃいますけど、どちらも特に生活に関わりはないので、あえて覚える意味も無いでしょう。

一方、生活に密着はしていないけど(してたらヤバい)、絶対に聞いたことある物質も、実はこのシアノ基を持つ化合物(シアン化合物)には存在しているので、話のタネにこいつらにも触れておくとしましょう。

それが、シアン化水素(H-C≡N)並びにシアン化カリウムKCN;これが、先ほどいってた、無機物とイオン結合で構成される物質)!!

え?聞いたことねぇよ、ですって?

チッチッチ、絶っっ対に聞いたことがあるはずです……まぁ別名の方が有名なわけですが、ピンと来ますかね…?

シアン化カリ、猛毒……このキーワードでピンと来る方は探偵モノが好きな方かもしれませんね。

そう、シアン化カリウムというのは、別名青酸カリ

シアン化水素の方は青酸とも呼ばれるもので、これはガスですから携帯には不向きであり、持ち運びができて毒殺に便利な青酸カリが、よく探偵小説などのフィクションで用いられている、って感じなんですね。

青酸ガスはあらゆる動物に猛毒で、呼吸反応をブロックする(吸って吐いての呼吸ができなくなるというわけではなく、分子レベルでの、血液による酸素の運搬を阻害)作用で、Wikipediaによると、空気中に0.027%混入するだけで即死するとのことです(毒性については諸説あるようですが)。

悪名高い、ガス室送りの刑なんかで使われるのが、まさにこの青酸ガスだそうです。

ってことで、基本的にシアノ基をもつ物質は人体に毒であり、名前の響きが心地いいアクリロニトリルも、工場でめちゃくちゃ使われている物質でありながら毒物なので取り扱いには厳重注意を要する物質、そしてアセトニトリルも、青酸系の物質より桁違いに毒性は低いものの、これも分類上は劇物に分類される危険物質ですね。

という感じで、一番日常生活に身近な三重結合を含む物質は、何気に、青酸カリだったといえましょう(まぁ、身近だったら困るので、「聞いたことある物質」ですけどね)。


最後、タイトルに四重の極みなどと書きましたが、二重三重と、ここまで来たら当然、最後四重結合の物質も気になるわけです。

つまり、C同士が4本の腕全部を使って結合する分子、C2ですね(四重線の記号文字列は、残念ながら見当たりませんでした…)。

こちらは流石にそんな構造は無理があるので、高校化学では習いませんし実際存在もしないと思っていたのですが、なんと、昨年、日本人研究者の宮本さんらの手によって、室温での四重結合C2の合成に成功した、という論文が発表されていたみたいです。

scienceportal.jst.go.jp

オリジナルの、原著論文はこちら…

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
詳しいメカニズムや性質についてまでは読んでいませんが、う~ん、こういう話も、夢があって面白いですねぇ~。

これからはこういうナノレベルの物質を活かした新素材や新物質が開発されていく時代になっていくのかもしれませんね。


…といった所で、とりあえず多重結合をもつ有機物について有名所は概ね見てきた感じで、官能基も重要なものはほとんど網羅した感じですし(超重要なのは、あと1つか2つ程度)、そろそろ高校で学ぶ有機化学の基礎というか入門の部分も、もうだいぶ、確実に半分以上は終えた感じになりますね。

残るネタから、あまり細かくなく、見て面白そうな部分を中心に、もう少し有機化学ネタを続けていくとしましょう。

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